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社会の裏側  作者: トビー
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第三章:交わり始める運命

第3話へようこそ!✨

物語はさらに展開していきます。

どうぞ最後までお楽しみください!

『社会の裏側』

第三章:波紋と予兆

果てしなく広がる緑の草原が、眼前に横たわっていた。広大で、荒涼としており、生命の気配は微塵もない。突如として吹き荒れた猛烈な風が、その不気味な静寂を切り裂き、どこからともなく飛んできた枯れた秋の葉を四方八方へと激しく乱舞させる。

それは極めて奇妙で、およそ論理とはかけ離れた光景だった。木一本生えていない吹きさらしの草原に、どうして枯れ葉が舞い散り、降り注ぐというのか。

ザックの目には、そう映っていた。……あるいは少なくとも、その瞬間の彼の混沌とした脳が、そう錯覚させていた。

彼は草の上に横たわり、広い茶色の瞳を恐怖に満ちた速度でせわしなく左右に動かしていた。この虚無の中で、現実につながる糸をどうにか手繰り寄せようとするかのように。彼の細身の体は、底知れぬ寒気に襲われて激しく震え、両足は無意識のうちに、何度も地面を打ち鳴らしていた。まるで、自分を救い出してくれる誰かが現れるのを信じて、閉ざされた扉を叩き続けているかのように。

そして、唐突に──彼の動きが凍りついた。

泳いでいた茶色の瞳がピタリと止まる。ようやく安息の地を見つけたのか、あるいは、最大の恐怖の根源を捉えたのか。

そこに立っていたのは、四十代半ばほどの、地味で色褪せた清掃服をまとった女性だった。整った顔立ちと、無数のソバカスが散らばる透き通るような白い肌は、ザックにとってひどく見覚えのあるものだった。すぐに思い出し、識別できるほどに。しかし、何よりも奇妙で不気味だったのは、彼女の背中が不自然なほどに深く曲がっていることだった。まるで、目に見えない巨大な山を背負って歩いているかのように。

女性が一歩、また一歩と近づいてくるたびに、ザックの体の震えは激しさを増していった。彼は怯えながらも、立ち上がろうとし、逃げようとし、あるいは後退しようとしたが、体は一ミリも動かなかった。脳の命令と足をつなぐ神経の糸が、完全に断ち切られてしまったかのようだった。

悲鳴を上げよう、助けを呼ぼうとしても、唇は彼の意志に従わない。

「あ、あ、……あ……」

声が出ない……それどころか、呼吸をすることすら不可能に思えた。動かない体から大量の汗が噴き出し、彼の下にある緑の芝生へと流れ落ちていく。まるで、自分自身の恐怖が作り出した泥沼に溺れていくような錯覚に陥った。

青白い顔をした女性は彼の目の前に立ち、解釈のしようのない謎めいた眼差しで彼の顔を見つめると、静かな声で囁いた。その声は、広大な草原の深淵から響いてくるようだった。

「あなたは、本当に変わっているわ……あの時のあなたには、こんな風に見つめてもらえなかったもの」

その言葉は、悲惨な状態にあるザックの耳に、まるで落雷のように突き刺さった。彼の目から音もなく涙がこぼれ落ちる。その哀れな顔は、まるで暗闇の中で迷子になり、この過酷な世界から救い出してくれる手を求めて絶望している小さな子供のようだった。

悪夢が唐突に途切れたとき、その目覚めは決して心地よいものではなかった。むしろ、現実に力任せに叩きつけられたような、手痛い衝撃だった。

ザックはベッドの上で跳ね起き、制御できないほどの激しい震えに襲われた。あの悪夢の草原で感じた冷気が、そのまま部屋までついてきたかのようだった。彼は背中が壁に当たるまでベッドの端へと後退し、本能的に自分を守るように両膝を胸に抱え込んだ。彼の呼吸は途切れ途切れで、怯えに満ちていた。

目の前の虚無を大きく見開いた虚ろな瞳で見つめ続ける。あの女性の姿、曲がった背中、冷たい声が、頭の中で何度も繰り返されるフィルムのように再生されていた。ここはベルファストにある自分の安全な部屋であり、今見たものはただの一過性の悪夢に過ぎないと理解していても、胸が締め付けられ、息を吸い込むことさえ困難だった。

気づけば、疲れ切った頬を静かに涙が伝い落ちていた。嗚咽を伴う号泣ではない。脳が抑え込むこともコントロールすることもできない、古い傷と強烈な恐怖に突き動かされた、静かで絶え間ない涙だった。

彼は震える手で顔を覆い、ゆっくりと涙を拭おうとしたが、涙は次から次へと溢れ出し、彼の内奥に眠る傷の深さを暴き出していた。彼はベッドの上でそうして座り続け、その瞬間から抜け出すことができず、目覚めた後もなお、自分を縛り付ける悪夢の衝撃に溺れていた。

やがて衝撃が薄れると、ザックは深くため息をついた。この悪夢は最初のものではないし、最後のものでもないことを彼は痛いほど知っていた。彼の肉体と精神は、ずいぶん前からこの夜の不速の客に慣らされてしまっていたのだ。

彼はそのまま浴室へ向かい、温かいシャワーを浴びた。この短いシャワーは、凄惨な瞬間の残滓を洗い流すための、彼にとっての「聖なる儀式」だった。水滴が脳裏にこびりついた恐怖を押し流し、悪夢の灰を消し去ってくれるようだった。

すっきりとした足取りでキッチンへ向かい、彼のお気に入りで、最も心が落ち着く飲み物を用意した。──大きなマグカップに注がれた、温かい牛乳。その温もりを味わいながら一口すすったその時、スマートフォンが振動し、母親からの着信を告げた。

応答ボタンを押し、彼は少し気だるげで温かみのある声で応じた。

「おはよう、母さん! うん、僕は全然平気だよ。今ちょうど温かい牛乳を飲んだところ。心配しないで」

いつもの小言を耳にしながら、彼は軽く笑って続けた。

「ベルファストが実家から遠いのは分かってるよ。でも、ここでの生活にはもう慣れてるから。エディンバラの天気はどう? 親父は相変わらずハイランドの寒さに文句を言ってる? 近いうちに顔を出すから、それまで二人とも元気でいてよ」

笑顔で通話を終えた後、彼はこの休日を最大限に満喫しようと決めた。手早く朝食を済ませ、たっぷりのポップコーンを用意し、お気に入りの映画を再生するために画面の前に座った。

しかし、再生ボタンを押す直前、手の中のスマートフォンが再び激しく振動した。発信者は「リサ」だった。

彼は何も考えず、いつもの軽い調子で電話に出た。

「よお、リサ! 最高のタイミングだ。今からめちゃくちゃ面白い映画を観ようとしてたところで……」

だが、受話器の向こうから響いたリサの鋭く、詰問するような声に、ザックは凍りついた。彼は滑稽なほど驚きで目を見開き、自分の額をピシャリと叩いた。──完全に忘れていた! 今日はただの怠惰な休日などではなかった。二人はあらかじめ約束をしていたのだ!

彼の声は瞬時に焦りと平謝りのトーンへと変わり、子供っぽい言い訳を並べ立てながら、どうにか場を繕おうと口を回した。

「あ、ああ……リサ! 僕の最高の親友! 待って、一分、いや一分だけ待って! 忘れてたわけじゃないんだ! ただ……君を迎えに行く前に、部屋の掃除を少しね! 五分で行く、絶対に行くから!」

ロジャーは重い足取りで道を歩いていた。彼の意識は、周囲の騒がしい通りから完全に乖離していた。まるで機械的な動作で、スマートフォンを何度も耳に当てては、冷たく響く虚しい呼び出し音と、それに続く留守番電話の音を聞き続けていた。ジェレメインからの応答はない。スマートフォンの充電が切れたか、あるいは何かやむを得ない事情で電源を切っているだけだと自分に言い聞かせようとしたが、胸を締め付ける不安を消し去ることはできなかった。

「おい、陰キャ!」

その嘲りを含んだ叫び声が、彼の思考の壁を粉砕した。ロジャーがゆっくりと振り返ると、通りの角に近所の若者グループが立っており、その顔には見慣れた侮蔑の笑みが浮かんでいた。

リーダー格の体格のいい男が一歩前に進み、挑発的な笑い声を上げた。

「お前のあの『ポテト野郎』の友達はどうしたんだ? へっ……どうやら、あっさりと見捨てられたようだな!」

ロジャーの身体に冷たい血液が流れるのを感じた。表情が目に見えて強張り、彼は拳を白くなるほど強く握りしめた。まるで、自分の内奥から湧き上がろうとする、復讐と怒りに駆られた「もう一人の自分」を必死に抑え込んでいるかのように。

大柄な男はその変化に気づくと、わざとらしく怯える仕草をして一歩下がり、さらに茶化した。

「おや? 陰キャくん……怒っちゃったか? こりゃ怖い、みんな、やられちまうぞ! ボウヤが怒ったぞ!」

ロジャーの青い瞳に、激しい怒りと緊張の光が宿り、震える声で言い返した。

「黙れ、クソデカ野郎……いつもくだらないことばかり言いやがって!」

若者たちは一斉に下品な笑い声を上げ、互いに顔を見合わせながら、もう一人の男が追撃した。

「あのポテト野郎のおかげで、少しは口が叩けるようになったらしいな。出会ってまだ二ヶ月のくせに!」

「うるさい……お前らなんて大嫌いだ!」ロジャーは叫んだ。悔しさのあまり、目に涙が浮かびそうになっていた。彼は苦々しく、問いかけるように叫んだ。「なぜお前らはいつも、出会って二ヶ月だってことを強調するんだ? それのどこが問題なんだよ! 僕たちが本当の友達になっちゃいけないっていうのか!」

大柄な男は、大笑いしながら面倒そうに手を振った。

「嫌いだって? 誰がお前の気持ちなんか気にするかよ! いつだって泣いてばかりで、何の役にも立たない陰キャのくせに!」

路地に若者たちの嘲笑が再び響き渡ったが、今回のロジャーは退かなかった。彼は深く息を吸い込むと、その唇に奇妙な笑みを浮かべ、非常に静かで確信に満ちた声で言った。

「少なくとも……僕はミリーナにデートしてくれって泣きついたりはしなかったよ」

笑い声が、ピタリと止まった。

大柄な男の身体が凍りつき、その顔は急激な屈辱と怒りで赤く染まった。周囲の友人たちは驚愕し、それから面白がるような笑みを浮かべて彼を見つめた。

ロジャーは完全に自信に満ちた、揺るぎない眼差しで言葉を重ねた。

「あの日、僕はそこにいたんだ。驚いたかい? 僕とジェレメインはホールの中にいて、お前のみっともない哀願を、最初から最後まで全部聞いていたんだよ」

大柄な男は怒りで目を血走らせ、全身に怒りが沸き立つのを感じていた。一方、彼の友人たちは今度こそ容赦なく大爆笑し、男をからかう野次や冷やかしの声が通りに響き渡った。

大柄な男は拳を固く握りしめ、ロジャーの胸ぐらを掴まんと迫った。

「てめえ……陰キャの分際で……死にたいらしいな、あぁ?」

ザックは市街地にあるいつもの喫茶店のガラス扉を押し開け、視線で店内をせわしなく探した。そして、窓際のいつもの席に彼女の姿を見つけた。

そこに座っていたのはリサだった。彼女は弁護士という職業にふさわしい、知的でシックなダークトーンのジャケットを身にまとっていたが、今日のテーブルの上には、裁判の書類や事件のファイルは一切置かれていなかった。今日は、多忙な二人にとって極めて稀な、仕事から離れて過ごす貴重な休日だった。彼女は温かいコーヒーカップを手に持ち、ザックの影が近づくと、愛嬌のある皮肉な笑みを浮かべて腕時計に目を落とした。

ザックは椅子を引き、何食わぬ顔で彼女の正面に座ると、頭の後ろで両手を組んで大げさな謝罪の笑顔を見せた。

「着いたよ! 今回は電車も遅れなかった。……まあ、僕自身がちょっと遅れちゃったけどね」

リサはため息をつきながらカップを置き、呆れたような微笑みを浮かべて言った。

「ザック、もし私が依頼人にそんな態度を取っていたら、一年目で弁護士資格を剥奪されているわよ。子供の頃、この街の路地裏で一緒に遊んでいた時、叔母様がどうやってあなたのそのルーズさを我慢していたのか不思議で仕方がないわ。あなたの家族がエディンバラに引っ越す前の話だけどね」

ザックは笑いながら、姿勢を正した。

「君は昔から、グミを分け合っていた頃から時間の計算に大袈裟なんだよ」

リサは気遣いと温もりのある瞳で彼を見つめた。

「大袈裟なんかじゃないわ。ただ、今日はあなたを警察署の重苦しい空気から引き離したかったの。最近、あなたの顔色が少し悪そうに見えたから」

ザックの胸に、じんわりと温かい感謝の念が湧き上がった。彼の周囲にいる多くの人々の中で、リサだけはいつも、彼が刑事のバッジを背負う前の「昔の自分」を思い出させてくれる、唯一の安全な居場所だった。

ザックは深く息を吸い込み、彼女をまっすぐに見つめて、穏やかに、そして心から言った。

「今日、君と出かけて本当によかったよ、リサ」

ザックが椅子の背もたれに体を預けると、リサはコーヒーを一口すすり、いたずらっぽく挑戦的な笑みをその顔に浮かべて言った。

「ところで……ブライデンのこと、覚えてる?」

ザックの表情が瞬時に凍りつき、彼は持っていたカップをゆっくりとテーブルに置きながら、目を細めた。

「頼むから……その話はよしてくれ」

リサは声を立てて笑い、その思い出を楽しむように言葉を続けた。

「どうしてよ? 高校時代、彼が私をデートに誘って、私がそれを断った時、あなたが血相を変えて『男らしく決闘だ』なんて言いに行ったじゃない! 結局、一発もパンチを当てられずに、顔を腫らして惨敗して帰ってきたクセに!」

ザックは不機嫌そうなふりをして顔を背け、子供のように抗議した。

「あいつはタンスみたいにデカかったんだよ! あれはただの不運だ! 大体、なんで今さらあんなクソ野郎の名前を出すんだ?」

リサは首を傾げ、少しミステリアスな笑みを浮かべた。

「今週、彼がまた戻ってきてね、私をデートに誘ってきたのよ」

ザックは目を見開いた。だが、今度は怒る代わりに、その瞳に悪戯っぽい企みの光が宿った。彼は誇らしげにシャツの襟を整えながら言った。

「ふん……今の僕は、あの頃の弱い子供じゃない。もしあいつがまた君に近づくようなら、決闘なんてする必要はないさ。僕が適当な容疑をでっち上げて、そのまま刑務所にぶち込んでやるからね!」

二人は同時に大爆笑し、その笑い声が温かい喫茶店内に響き渡った。日頃のストレスはすべて消え去り、家族のような固い絆と和やかな空気がその場を包み込んでいた。

しかし、その笑顔の嵐の最中、木製のテーブルの上でザックのスマートフォンが激しく振動した。

画面に目を落とすと、ザックの笑みは徐々に消えていった。母親からでも、同僚の聞き覚えのある番号からでもなかった。──発信者は「コックス夫人」だった。

彼の表情は一転して真剣なものになり、その変化はリサにも伝わった。ザックはリサに手で静かにするよう合図を送り、休日の予定を根底から覆すかもしれないその着信の応答ボタンを押した。

「コックス夫人?……どうしました?」

ザックは努めて冷静な声で尋ねた。リサはカップを掲げ、ゆっくりとコーヒーをすすりながら、好奇心に満ちた目で彼の表情を見つめていた。

電話越しに、コックス夫人の穏やかな声が響いた。

「昨日の件ですが、レスター刑事……主人から連絡がありましたので、すぐにあなたにお電話しました。フリードリヒが先ほどベルファストに戻りました。あと二時間ほどで自宅に到着する予定です」

ザックは、彼女の家を出る前に「夫が戻ったらすぐに連絡してほしい」と頼んだことを思い出した。彼の血管を心地よい興奮が駆け巡る。母親からは得られず、息子のロジャーが話すのを拒んだ答えを、この父親なら持っているかもしれない。彼が感謝の言葉を口にする前に、目の前のリサが驚きと疑問に満ちた声を上げた。

「ザック……今、『コックス』って言った?」

ザックはスマートフォンを耳から少し離し、怪訝な表情で彼女を見て頷いた。「ああ、コックス一家だ。どうかしたかい?」

リサは真剣な面持ちで眉をひそめて言った。「その苗字、よく知っているわ。私が法廷で日常的に仕事をしている相手に、フリードリヒ・コックスという人がいるの」

ザックはゆっくりと瞬きをし、奇妙な感覚に襲われて動きを止めた。彼はリサを見つめ、どこか皮肉混じりの声で言った。

「……まさか、その男も君をデートに誘った、なんて言わないよね?」

リサは彼の冗談にクスリと笑って首を横に振り、敬意を込めたトーンで言った。

「まさか! フリードリヒ・コックスは、私が仕事をしている法廷で、非常に厳格で尊敬されている検事よ。彼は大変な実力と影響力を持つ、法の執行における超ベテランよ」

ザックは小さく口笛を吹き、信じられないとばかりに首を振って椅子の背もたれに体を預けた。

「マジか?……あの厳格で恐ろしい超ベテラン検事のフリードリヒ・コックスが、妻の作ったジンジャーブレッドを食べる『優しいフレディ』だって? そして何より……人と二秒も目を合わせたら爆発しそうな、あのロジャーの父親だって言うのか?」

彼は肩をすくめ、困惑と苦笑いを浮かべながら、低い声で続けた。

「なんて奇妙な家族だ。……ベルファストは、まだまだ僕に面白いサプライズを隠しているらしい」

彼はまだコックス夫人の通話画面が表示されているスマートフォンの画面に視線を戻し、二時間後に控えた、あの厳格な父親との会談が極めて奇妙なものになるだろうと予感していた。

「分かりました。……すぐにそちらへ向かいます」

第3話を最後までお読みいただき、ありがとうございました!

少しずつ謎が深まってきましたが، いかがでしたでしょうか?

もし楽しんでいただけましたら、評価やブックマーク登録で応援よろしくお願いします。次回もお楽しみに!

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