「新たな手掛かり」
第27話を読んでくださり、本当にありがとうございます!
ここまで物語を追いかけてくださっている皆さんに、心から感謝しています。
もしこの作品を「続きが気になる」「これからも読みたい」と思っていただけたなら、ぜひお気に入り登録や評価、感想などを残していただけると嬉しいです!
皆さんの応援が、執筆の大きな励みになります。
それでは、第27話をお楽しみください!
次の停留所へ向かうバスの中。そこは、二人の道が分かれる場所でもあった。
ザックとロジャーは隣り合って座っていた。ザックは警察署へ向かっており、一方のロジャーは、ザックからその居場所を聞いたジェフとイサクに会うため、武道場へ向かうつもりだった。
ザックは窓の外を見つめ、物思いに耽っていた。
まるで頭の中で、決して答えの出ない重大な問題と、相反する思考が絶え間なく渦巻いているかのようだった。
やがてザックは、長い沈黙と物思いを断ち切るようにロジャーへ振り向き、口を開いた。
「ロジャー……君の父親は、C級犯罪者に関する重要な資料を保管していた。そして、おそらくそれが、君の父親のパソコンが盗まれた最大の理由だ。……それに、俺の考えでは、君の父親が殺されたことも、この件と深く関係している」
ザックは数秒ためらい、そして思い直すように頭を下げた。
「こんなことを聞くなんて、俺が最低な奴に見えるかもしれない……でも……」
ザックは目を閉じ、重い荷物を吐き出すかのように、素早く言葉を続けた。
「君の父親が、C級犯罪者の資料と同じようなものを最後に隠していそうな場所を、知らないか?」
ロジャーは小さく笑い、何かを理解したような笑みを浮かべて答えた。
「やれやれ……俺たち、本当に似てるな! 俺もそれを知って、同じように考えてたんだ。二つの事件が繋がっているのは間違いない。だけど、正直に言うと……父さんがあの資料を具体的にどこへ置いていたのかまでは知らない」
ザックは諦めたようにため息を吐き、わずかな笑みを浮かべながら言った。
「そうか……ありが――」
しかし、言葉を言い終える前に、ロジャーが真剣な表情で口を挟んだ。
「でも、父さんはロズボーンに別荘を持ってる。たまにそこへ行ってたんだ。あそこに何かあるかは分からないけど……あの辺りに買った家は、基本的に休暇をゆっくり過ごすための場所だったからな」
その思いがけない情報に、ザックの目が驚きで見開かれた。
だが、それも束の間。
驚きはすぐに、再び希望に満ちた大きな笑みへと変わった。
「本当にありがとう……友よ!」
その瞬間、バスが目的の停留所に停まった。
二人はバスを降り、短い別れの挨拶を交わすと、それぞれ別々の道へと歩き出した。
ビリオトスの拠点へと続く、狭く暗い通路。
バジディオは、内側で燃え盛る怒りを隠しながら、冷静さと余裕を装い、力強く一定の歩調で進んでいた。
やがて、フォミスが拘束されている部屋の古びた木製の扉へと辿り着く。
バジディオは扉を押し開け、中へ入った。
部屋の中央にはビリオトスが立っており、その傍らにはフォミスがいた。
フォミスは見るに堪えない姿で横たわっていた。
その時は目隠しもされておらず、縄で縛られてもいなかった。
だが、身体を動かすことは完全にできず、侵入してきた者が誰なのかを見るために、まぶたを開くことすらできなかった。
まるで魂を失った肉体のようだった。
それがビリオトスから受けた苛烈な仕打ちや、これまでに経験した凄惨な出来事によるものなのか、それとも、極度の空腹によって体力を奪われたためなのかは分からない。
ビリオトスは冷酷で、そこには一切の慈悲もなかった。
固く強く拳を握り締めている。
一方、フォミスはかすれた途切れ途切れの声で、数字を逆に数え続けていた。
「1656……1655……1654……1653……1652……1651……」
その姿は、見ているだけで身震いするほど悲惨だった。
顔には無数の痣が浮かび、肋骨も間違いなく折れていた。
ビリオトスはシャツの袖を整え、そこについた埃を静かに払い落とすと、バジディオへ振り向いた。
「小僧……そのクズを起こして椅子に戻せ。そして、しっかり縛っておけ」
友がこのような姿になっているのを目にしたバジディオの顔には、激しい怒りと苦い悲しみが入り混じっていた。
それでも彼は、ビリオトスの命令に表立って逆らうことなく従った。
ビリオトスは自信に満ちた足取りで彼の横を通り過ぎ、部屋を出ていった。
そして、バジディオとフォミスだけが、その場所に落ちる影の中へと残された。
整然としていて落ち着いた雰囲気を漂わせる、上品な家の中。
フェリックスは質素なソファに腰掛け、その向かいに座る五十代の女性と向き合っていた。
女性の顔には、明らかな不安と戸惑いが浮かんでいる。
フェリックスは少しだけ身を前へ乗り出し、穏やかで安心させるような口調で言った。
「フロンドーサさん……あなたが娘さんの居場所を知っていることは分かっています。どうか我々に協力してください。結局のところ、あなたの娘さんは犯罪者ではありませんし、彼女に対して何の容疑もかかっていません。我々はただ、いくつか確認したいことがあって、彼女に少し質問をしたいだけです」
女性は彼の言葉を理解したように頷いた。
そして声を落とし、まるで重大な秘密を打ち明けるかのように身を寄せた。
「でも、警官さん……どうか私があなたに知らせたことは、誰にも言わないでください。娘はアゼルバイジャンにいます! ほんの数日前に出国したばかりで、幼い娘は私が預かっています」
フェリックスの目が、聞かされた内容への衝撃で大きく見開かれた。
彼は女性の言葉をほとんど信じられない思いで聞いていたが、それでも彼女を信じるしかなかった。
フェリックスは真剣な表情で尋ねた。
「奥さん……今回の突然の渡航には、我々が調べている事件と何か関係があるんですか?」
五十代の女性は、愛想のよい大きな笑みを浮かべ、ゆっくりと穏やかに答えた。
「いいえ……」
フェリックスは姿勢を正し、丁寧に礼を述べると家を後にした。
直接「ギルヴォラ」へと繋がる捜査の糸口は、まったく予想外の形で途切れてしまった。
車へ戻る途中、彼の携帯電話が鳴り響いた。
画面を見ると、そこには「ザック」の名前が表示されていた。
フェリックスはすぐに電話に出た。
すると、ザックの焦った声が聞こえてきた。
「フェリックス……今どこにいる? どうして署にいないんだ?」
フェリックスはため息を吐き、疲れた声で答えた。
「さっきギルヴォラの母親に会ったんだが……結果は散々だった。彼女はアゼルバイジャンにいる!」
電話越しに、二人の間へ数秒の沈黙が流れた。
それを破ったのは、興奮の入り混じったザックの声だった。
「問題ない……すぐに署へ来てくれ。新しくて、とても重要な手掛かりが出てきた。それを追わなきゃならない!」
完全な静寂に包まれた、暗い部屋。
その静けさをかき消すものは、低く響く、どこか謎めいた笑い声だけだった。
ギルヴォラはベッドの端に腰掛け、シャツを急いで脱ぐと、脇へ放り投げた。
その隣には、灰色の髪を後ろへ完璧に撫でつけた男が座っていた。
クラトロスだった。
クラトロスは彼女を見つめ、微笑みながら穏やかな口調で言った。
「ずいぶん長い間、二人きりで過ごす時間がなかったな……そうだろう、愛しいギルヴ?」
クラトロスは静かに彼女を押し、ベッドへ倒すと、そのまま彼女の上へ身を横たえた。
暗い部屋の中、二人の顔が近づいていった。
第27話を最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
今回の話はいかがだったでしょうか?
少しでも「面白かった」「続きが気になる」と思っていただけたなら、ぜひお気に入り登録や評価、感想などを残していただけると嬉しいです!
皆さんからいただく応援や感想は、本当に大きな励みになっています。
それでは、次回の第28話でまたお会いしましょう!




