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社会の裏側  作者: トビー
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前への一歩

第14話へようこそ!


いつも『社会の裏側』を読んでいただき、本当にありがとうございます。

これからも物語を楽しんでいただけたら嬉しいです。

それでは、第14話をお楽しみください!

三人は足早に病院へ駆け込み、受付でロジャーの病室番号を尋ねた。案内に従って廊下を進み、病室の前へたどり着くと、ちょうど担当医が部屋から出てきたところだった。


ローレンは不安そうな表情で医師に歩み寄る。すると医師は彼女を安心させるように言った。


「ご安心ください。現在の容体は安定しています。顔にはいくつか打撲がありますが、それ以外は大きな問題はありません。ただ、以前固定していた腕のギプスを本人が無断で外してしまい、その後も無理に動かし続けたため、新しいギプスで固定し直しました。今は安静にしていれば大丈夫です」


ローレンは震える声で病室の扉を見つめながら尋ねた。


「今、あの子に会えますか?」


医師は静かに頷き、入室を許可した。


その間にザックとフェリックスは医師へ事情を尋ね、病院の外で何があったのか何か知っていないかと聞いた。しかし医師は、ロジャー・コックスの容体に関する医療情報以外は何も知らないと答えた。


ローレンは病室へ駆け込み、ベッドへ駆け寄ると、ロジャーを力いっぱい抱き締めた。豊かな胸元にロジャーの顔がすっぽり埋まり、涙をこらえながら彼女は言う。


「お父さんを失ったばかりなのよ……あなたまで失うなんて、そんなこと耐えられないわ、ロジャー!」


ロジャーは弱々しい声で答えた。


「そんなこと言わないでよ、母さん……僕みたいな人間のために、どうしてそこまで悲しむんだよ」


ローレンは両手で彼の頬を包み、感情を露わにした。


「何を言っているの!? あなたは私の大切な息子よ! あなたに何かあったら、私は悲しくて心配でたまらないわ!」


ロジャーは痛みに耐えながらも、小さく笑みを浮かべた。


「心配しないで……今回は、本当に成功したんだ。無茶をしたのは認める。でも、少なくとも計画は上手くいった」


ローレンには彼の言う「計画」の意味は分からなかった。


だが、今はそんなことよりも、息子が無事に生きていてくれたことの方が何より嬉しかった。


◇


病室の外で、フェリックスはザックに向き直った。


「俺の役目はここまでだな。家族が待っているから、俺は家に帰るよ」


ザックは心から感謝を込めて言った。


「本当にありがとうございました、フェリックスさん。もし今日あなたが訪ねてきてくれなかったら、俺は今でも家に閉じこもったままだったと思います」


フェリックスは微笑みながら軽く遮る。


「『フェリックスさん』はやめろ。ただフェリックスでいい。俺たちはもう相棒だろ?」


ザックは小さく笑った。


「おやすみ……フェリックス」


フェリックスは軽く手を振りながら廊下の向こうへ歩いていく。


ザックはしばらくロジャーの病室の扉を見つめたまま、その場に立ち尽くしていた。


やがて扉を開け、中へ入る。


顔中に打撲の跡を残したロジャーを見ると、その痛々しい姿に思わず眉をひそめた。


「無茶をしすぎたな、ロジャー……」


ロジャーは少し不機嫌そうに顔を背け、ザックと目を合わせようとしなかった。


ザックは数歩近づきながら続ける。


「たぶん、お前はまだ俺を嫌ってるんだろう。でも、それで気が楽になるなら構わない」


その言葉にローレンは驚いたように振り返った。


「嫌ってる? 何をおっしゃっているんですか、レスターさん?」


そこでロジャーが静かに口を開いた。


「ああ、嫌ってたよ……いや、正しくは嫌っていた、かな」


ザックはわずかに目を見開く。


ロジャーは続けた。


「僕が愚かだった頃はね。君を、僕とジャーメインの友情を付き合いの長さだけで判断する、他の連中と同じだと思っていた。でも今は違う。あいつは最初から僕の友達なんかじゃなかった……そう分かった今となっては、君を嫌う理由もなくなった」


ザックの表情に安堵が浮かぶ。


「やっと真実を知ったんだな。本当に良かった……お前がもう俺を嫌っていないことも、そしてジャーメインの正体に気づいてくれたことも」


ロジャーは少し視線を逸らし、痛みに耐えながらもどこか誇らしげに言った。


「もう一つ報告がある。君が喜ぶかどうかは分からないけど、僕はすごく嬉しかった」


ザックは眉をひそめる。


「ん?」


ロジャーは誇らしげに言った。


「ジャーメインは……警察に逮捕された」


ザックは目を見開き、思わず聞き返す。


「本当か!? そんなことが……! 待て、どうして逮捕されたんだ?」


ロジャーは自信ありげに答えた。


「僕の計画のおかげ、と言えばいいかな」


「計画だって……?」


ザックは息を呑んだ。


(まさか……ジャーメインを追いかけた本当の目的は、警察に逮捕させるためだったのか? 正直、驚いた……。まだあの成りすまし野郎に騙されたままだと思っていたのに)


ザックはロジャーへ歩み寄り、心から感謝を伝えた。


「ロジャー……どうやったのか詳しく聞いている時間はない。でも、本当に感謝している。お前は俺を大きく助けてくれた。ありがとう」


そう言うと、ザックは静かに頭を下げた。


ロジャーは傷だらけの顔で頷く。


「これで……事件をもっと前に進めてください、レスター刑事」


ザックは力強く頷き、ローレンへ別れの挨拶をすると、迷いのない足取りで病室を後にした。


(次に向かう場所は決まった……ジャーメイ――いや、あの成りすまし野郎のところだ)


病室の外では、ロジャーの正式な供述を取るために集まっていた警察官たちと鉢合わせた。


ザックは刑事手帳を見せると、逮捕時の状況や現在分かっている情報について尋ねる。


警察官たちは、ジャーメイン・ディ・ナスはロジャーへの傷害容疑で逮捕されており、現在はザックとフェリックスが勤務する警察署に身柄を拘束されていると説明した。


そして、ロジャーの供述を正式に記録し終え次第、そのまま刑務所へ送致される予定だという。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!


この作品を楽しんでいただけましたら、ぜひブックマークとご感想で応援していただけると嬉しいです。

皆さんの応援が、次の一話を書く力になります。


それでは、第15話でまたお会いしましょう!

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