友の仮面
第12話へようこそ!
いつも『社会の裏側』を読んでいただき、本当にありがとうございます!
今回は物語が大きく動く重要な一話です。
ぜひ最後まで楽しんでいただけたら嬉しいです!
ロジャーは息を荒げていた。悔しさとショックで今にも目から涙がこぼれ落ちそうだった。二人の思い出が詰まった場所を、一日中狂ったように駆け回った。自宅のドアを叩き、二人で通っていた理髪店へ走り込んだが、理髪師からは最後に一緒に来た時以来見ていないと言われ、二人の笑い声を見守っていた公園でさえ、誰もいない寂しげな空気が漂っているだけだった。
残された場所は、あと一つ……街角にある小さなアイスクリームショップ。
ロジャーが店のガラスドアを押すと、入店を告げる軽いベルの音が響いた。視線を左右に巡らせたその瞬間、彼の全身の血が凍りついた。
そこに、向かいの席の角に、ジャーメインが何事もないかのように座っていたのだ。不安そうな様子もなく、恐怖に怯える素振りすらない。それどころか、異様なほどの旺盛な食欲でアイスクリームを貪り食い、服の袖口で無造作に口元を拭っている。その無頓着さが、ロジャーの理性を狂わせた。
ロジャーは顔を強く殴られたかのような衝撃覚えた。悲しみに暮れ、盗みに走るほど苛酷な状況に置かれているのだと思い込んでいた友人が、ここでは何事もなかったかのように人生を謳歌しているのだ! その瞬間、ロジャーの中にあった悲しみの感情は全て吹き飛び、代わりに激しい復讐への渇望が渦巻いた。彼はテーブルに向かって重い足取りで進み出た。両目からは怒りの火花が散っていた。
ロジャーはテーブルへ素早く歩み寄ると、ありったけの力を込めて手のひらを叩きつけた。ピンク色を基調とした静かな店内に高い打撃音が響き渡り、居合わせた客全員が不審そうな視線をジャーメインのテーブルへと向けた。
悔しさで声を震わせながら、ロジャーは叫んだ。
「お前、こんなところで……のんきにレモン味のアイスなんて食ってんのか!?……僕がどれだけ電話したか分かってんのか!?……どれだけ探したと!?……それとも、自分のせいで何が起きたのか、少しは理解してんのか!?」
ジャーメインは冷ややかにアイスクリームのスプーンを口元から離すと、シャツの袖で唇を拭い、どこか真面目くさったトーンで口を開いた。
「はぁ? 正直言えば、このアイスはポテト味であってほしかったんだがな……生憎、アイルランドにはそんなもん存在しないらしい」
ロジャーの顔には、激しい絶望感と憎悪、怨念が入り混じった異様な表情が浮かんだ。彼はジャーメインを見つめ、吐き捨てるように言った。
「この質問だけに答えろ……なんでパソコンを盗んだ?」
「パソコン?」
ロジャーの怒りは跳ね上がり、瞳の奥で更なる怒火が燃え盛った。彼は再びテーブルを強く叩きつけ、怒鳴り散らした。
「とぼけるな! シラを切るんじゃない、この裏切り者め!……僕がどれだけお前を買っていたか分かってんのか!? 人生で誰よりも信頼していたんだぞ……それなのに何だ!? 僕の背中を刺してパソコンを盗み出しやがった! あれが亡くなった僕の親父のものだって知ってただろ……そうだろ!?」
ジャーメインは低い声で返した。
「信じてくれ、俺はそんな……」
だが、ロジャーは最後まで喋らせなかった。身を乗り出すと、ジャーメインのシャツの襟首と両肩を力任せに掴み上げ、その目を正面から睨みつけて叫んだ。
「僕の顔を直接見ながら、まだ嘘をつき続ける気か!? どうしたらそこまでクズになれるんだよ!?」
ジャーメインの表情が一変した。素早く力強い動きで肩にかかったロジャーの手を振り払い、弾き飛ばすように立ち上がると、鋭い声で言い放った。
「いい加減にしろよ、おめでたい奴だな! 調子に乗るのも大概にしろ……お前の目には俺がクズに映るのかもしれんが、お前みたいなバカと同類にされてたまるかよ!」
ロジャーはショックで目を丸くし、言葉の容赦なさにその場で硬直した。ジャーメインは脅迫めいた冷たさを帯びたまま続けた。
「最高の気分だった一日を台無しにしやがって、このおめでたい野郎が……今日は人生で初めて女を知り……ポテトの全種類盛りを一気に平らげ……今じゃ連中も俺をその称号で呼んでくれる……さっさと俺の前から消えるんだな。お前は俺が本当は誰なのか、その片鱗すら知らんのだから」
その時、店の従業員の一人が不安そうな表情で近づいてき、客の迷惑になるため静かにするか、今すぐ店を出ていくよう毅然とした口調で求めた。
ロジャーは深く息を吐き、乱れた呼吸を整えようと試みた。従業員の方を向くと、こう告げた。
「ああ、すみません……すぐに出ていきます……そうだろ、親愛なる友人のジャーメイン? 外に出て、話の続きをしようじゃないか」
ジャーメインの冷笑はさらに深まり、苛立たせるような軽い笑い声へと変わった。ロジャーを見つめ返し、その視線で挑発した。
「喧嘩がしたいってわけか? 俺は一向に構わないぜ」
ジャーメインは迷いのない足取りでドアへと向かい、ロジャーもその背中から目を逸らすことなく後を追った。二人は店の外にある狭い路地へと足を踏み出していった。
その頃、ザックとフェリックスは黄色いフェリックスの愛車に向かって道を歩いていた。掴んだ事実の重みに、二人の顔には真剣な思索のの色が浮かんでいた。
ザックはフェリックスの方を振り返り、引き締まったトーンで言った。
「とりあえず、あの引きこもりのところへ行きましょう。ジャー厶……いや、成りすましのガキを探すのにも疲れた頃でしょう。今なら自宅にいる確率が高いですし、今回は素直に協力してくれる強い予感がします」
フェリックスは同意するように頷き、相手の動機に理解を示しながら静かに答えた。
「ああ、父親の死となれば、嫌でも協力せざるを得んだろうな。状況はもう明白なんだから」
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それでは、第13話でまたお会いしましょう!




