嫌悪
審判が小さな爆発魔法を放った。開始の合図。
ドーンと音がなる。その瞬間俺は走り出した。
相手は余裕の表情。手には聖剣の模倣品。結構値がはるはずだが何せ相手は英雄の息子。なんでもありである。
対する俺は学校で支給される剣。実は3年前、最後の宗弥の家族であった祖父が死に、、俺は一人になった。親戚もみんな死んだ。そのため金がなかったのだ。
まあ、珍しい事ではない。
祖父は俺に剣術を教えてくれる師匠だった。 師匠曰く、俺が初めて剣を握ったのはなんと1歳らしい。いや、握っただけだけど。
それで祖父は、俺に剣の才能があると確信したそうだ。普通子供の頃は魔法を習う。99%そうだ。なんせ、剣を持つ力なんてない。どのみち魔法は必須。
だけど祖父は違った。頭が逝かれていた。
剣を握ったという翌日から魔法の訓練が行われた。そう、、肉体強化の、、、
まず、普通の家庭はこんな早くから魔法なんて教えないし、、親族がつきっきりなんてありえない。
しかし俺は違った。逝かれた祖父がいる。まず、こんな世の中で祖父と両親が共存している事なんておかしいのだ。あたまが逝かれててもおかしくはない。
それで父さんと母さんが狩りへ行く時、赤ん坊の俺は永遠と身体魔法を教え込まれたそうだ。その甲斐あって3歳でなんと剣を振り回す。この頃はなんと、俺が天才だの、英雄になる子だの言われたらしい。そして、祖父は頭が逝かれていた。調子にのった祖父は俺に剣だけ教え込んだ。そう、剣だけ
この学校に入るときには、剣の試合で現役で戦ってる親にすら余裕で勝ってしまった。
俺もこの時は調子に乗っていた。
そして学校に入り思い知らされた。
俺の戦歴は5回に一回ギリギリ勝つ。本当にギリギリを極めていた。原因は、魔法、魔法である。
戦いは魔法半分、武器半分。
いくら剣が出来たって魔法は必須なのだ。俺が出来るのは身体強化魔法以外、、なにもない。幼い頃が一番大切な期間なのだ。それが今の骨格を作る。
俺の場合、、剣で突っ込む馬鹿野郎スタイル。
剣の王と呼ばれた男(祖父)とて魔法もキチンと学んでいた。
実際、、俺には剣の才能も習う環境も最高状態だった。祖父と互角に戦う剣の腕を俺は持っている。
剣ならおそらく、俺に敵うものなんていない、、
だが
魔法を俺より出来ない人は、奴隷の一部を除けば確実に1人もいない、
だから決めたのだ。学校を卒業後、この学校で剣の指導者になると。そうするしか俺が生きる術はない。
だから、、だから、、
負ける訳にはいかない
身体強化魔法は武術の分野に例外的に含まれる。
つまるところ、身体強化だけは魔法で相手の上をいっている。それを全力で生かし、接近戦に持ち込めれば俺の勝ちだ。
直線距離を全力で走る、走る、走る。そしていよいよ剣の間合いへ入ろうとする時
英雄の子、その名をダルティア。彼は魔法を完成させた。6ワードの魔法だ。聖剣を媒介とした聖魔法
ニヤリと笑い放つ
「テークリア」
次の瞬間広範囲魔法が放たれた。
そう、剣ではどうしようもないのだ。これなら防御魔法、、すくなくとも3ワードの魔法は必要だろう。
光が体の内部を焼くような痛みを与える。聖魔法は体の魔力に直接干渉する魔法。痛みに耐え切れず膝をつく、、だが魔法は止まらない。降参するつもりはない、このくらいなら我慢できる。だが、
「そこまで!」
審判はニヤリと言い放った。
そうだ、、この世の力は力だけじゃない。金、、権力、、色々なものが関わってる。敗者は俺、桐原宗弥である。
汚い大人たちだ。
いや、、これは言い訳か。どう転んだって、この試合、俺には勝ち目は無かった。
「そして桐原宗弥、、五連敗により、お前を退学とする。明日のカルテット行きの転移に遅れぬよう、、荷物をまとめておけ。」
俺は負けたんだ。現実は甘くない。師匠の所為だ。剣だけじゃなく、、魔法も教えてくれればよかったんだ。皆が無邪気に遊んでる時も努力し続けた。遊んだことなんてない。食事と睡眠以外は稽古だった。これも将来生きていくため。大人になったら、この世界で少しでも気楽に過ごせるように。頑張った。みんなよりめっちゃ頑張った。なんでだよ、なのに、、なんでなんだよ、、
「、、、はい」
涙を必死で堪え、走り、寮へと帰った。
みんなに見られるのが恥ずかしくてたまらなかった。
なんでこんな不幸ばかりなんだよ、、
師匠の所為だ、それを止めなかった父さんや母さんの所為だ。責任持てよ、、死んだらなにも言えないだろ、、本当最悪だ、、大嫌いだ。
ほんっと
「自分が、、大嫌いだ」




