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第二章 歪んだトライアングル ③


 ポケットに手を突っ込み、ジャケットを羽根のようにパタパタさせながら歩く貂子の後ろについて行く。


「いやぁ、まさか助っ人が清志朗だとは思わなかったぞ」

「アタシもまさかアンタと鷹崎君が繋がっていたとは思わなかったわ、生きてる世界が違うもの」


「それは言い過ぎだぞ。大学生かフリーターかの差だけじゃねぇか」


「ただの大学生じゃないってこと。『統大』の医学部は全国でもトップの難関なのよ?『統高』からだって一握りしか上がれないレベルなの。鷹崎君は『統明館』始まって以来、初の推薦枠で入学したヒトなの」


 ・・・言ってる意味が分からない。


「え、えーっと、つまり?」


 貂子が止まり、肩が一度深く上下した。


「ハァ・・・アンタに分かるように説明する方が難関だわ・・・」


 くるり、とコチラを向きオレの首根っこにナイフを突きつけるように人差し指を指した。


「全国トップの高校でトップだったってこと。わかる?一番の中で一番だったの!全国のアンタと同い年の人間の中で一番ってこと!」


 ・・・なんだと!?


 昔から頭の良いヤツだとは思ってたが、まさかそれほどとは・・・


「よ、よくわかりました・・・」

「フンッ、次元が違うのよ次元が」


 くるり、と元に戻り貂子は再び歩き出した。


 背中を追いかけながら、よく考えてみる。


 簡単に言うと、超天才の清志朗。それは理解できるのだが、その清志朗も敬語を使う貂子は一体全体何者なのかますます分からない。


 ウチの高校の生徒会長なんてのは、全校集会での号令係みたいなモノで誰だったかも印象に残っていないレベルだが『統明館』ともなるとやはり違うのだろうか。


 ・・・わからない、考えないことにしよう。


 しかし、この二人が協力者というのは心強い。揃えようとしては揃わないメンツだろう。『悪運』続きのオレにしてはかなりラッキーだ。


 コイツらとなら四葉を見つけることが出来るかもしれない。


「アタシ、ちょっとこっち寄ってくから」


 気がつくと校門まで来ていた。

 まだ学生たちは出入りしているが、辺りは日が暮れてうす暗くなっている。


「そうか、オレは真っ直ぐ帰るわ」

「そう、じゃっ」


 貂子はサラッと右手を上げ、初めにココに来た方とは逆に去って行った。

 いつもながら帰り際はあっさりしている。


「今日はありがとなっ、テン!」


 声を張ったつもりだったが、確実に聞こえる距離でも彼女には届かなかった。既聴スルーされた。


 さぁて、オレも帰るとするか。


 慣れない道で少し不安だが、まぁなんとかなるだろう。

 ちょうど下校のタイミングなのか学生が溢れている。

その中を歩くと少し学生気分を味わえた。同い年や少し年上のヒトがまだ学生であるという、なんとも不思議な違和感を覚えたが、いろんな人がいろんな生き方をしているんだなぁと思った。



 四葉もどこかでこうして暮らしていればいいな、そう思った。


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