第二章 歪んだトライアングル ①
市内某所、某会議室にて。
《タイムライン》
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☆キツネ速報☆ @kitsune-sokuhou… 二時間前
【朗報?】ギルティ・カンパニーがまさかの新ヶ島に移転決定!都市伝説ではなかったようですねwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww http://kitsune-sokuhou.com/
< イイネ 六八件 > < 拡散 一七二件 >
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➡ ギルティ・カンパニーって実在したのかよっ!
➡ なんでまたこんな地方に?
➡ 異能者派遣する会社だっけか?ヤバすぎ笑
➡ 都市伝説だと思ってたぞ・・・マジなら気になる
『こちらのスクリーンをご覧ください』
「なんだねこれは・・・」
「ギルティ・カンパニーについての公式情報はまだ公になっていないはずではないか!」
「いったい、どうなっているんだ!」
「誰だっ、情報を外部に流した者は!この中に居るのだろう!」
『皆様、静粛に。こちらはSNS上に「新ヶ島」を中心とした情報を公開している「キツネ速
報」というブログになります』
「ブログだと?」
『えぇ。このブログは「新ヶ島」の若者を中心に支持を集めているようです。不特定多数の市民がコレをチェックして、不特定多数に自由に拡散して広まって行きます。』
「ということは、もう既に知れ渡っているということか!」
「そんなことが許されるものか!」
『静粛に。どういったルートで流れたのかは私にも分かりませんが、この「キツネ速報」の管理人に情報が渡ったことには間違いありません。どこからどうやって仕入れたのか見当もつかないような記事も次々とアップしていますから、余程の情報網を持っているのでしょう』
「その管理人だ!そいつをココに連れて来い!」
「そうだ!その管理人を捕まえないことには埒が明かん!」
『管理人を捕獲したところで情報の一人歩きを止めることにはなりません。計画より早まりますが、公式の情報を明日九時〇〇分に公開致します。知れ渡っていることですし、市民も混乱とまではいかないでしょう』
「だいぶ計画が早まるな・・・コチラも急いで進めるぞ」
「異能派遣との連携は取れているのだろうな?」
『心配ございません。先方は全てコチラに任せるとおっしゃっていますので。管理人に関しては調査中とだけ。では、皆様宜しくお願い致します。解散』
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「ダメだっ・・・もう走れねぇ・・・っ!」
「情けないわねぇ!もうちょっとだから頑張りなさいよ!」
貂子に導かれるまま走ること・・・どのくらいだろうか。
オレのアパートを出て新ヶ島駅の前を通ったまでは覚えているが、あとは貂子を追うことに必死で全く道を把握していない。
元々、部屋から駅前のバイト先までの間でしか生活していなかったので、それ以外は未開拓領域だ。右も左も東西南北ここがどこだか分からない。
しかし通りすがるヒトは若者が多く、学校らしき建物が今までに何コかあったので、おそらくココが新ヶ島の学生街だということが感覚で理解できた。
この辺の土地勘が全くないせいか、どのくらいの距離を走っているかは見当がつかない。元気にびゅーんと走っていく彼女について行くのが精一杯という状況だ。
運動不足だったせいか、現役JKに圧倒的な差をつけられている。
高校時代のオレは、体育祭の目玉紅白対抗リレーでアンカーを務めたことだってあるんだぜ?ここで白が勝てば逆転優勝という場面で、紅組のオレは白組のアンカーと同着でゴールし、審議の結果ジャンケンで勝敗を決めることになり、それに間違って勝ってしまい「空気の読めない俊足」の異名を手に入れた。何故か紅組に連中も冷たかったなぁ。
「おーいっ、まだかぁ?」
ハァッ、ハァッ、もう限界・・・
「・・・着いたわっ!ココよっ、早くしなさい!」
「ハァッ、ハァッ、コ、ココッ、かぁ・・・?」
膝に両手をつき、肩で息を整える。この体勢も現役以来だ。
「ココでアタシたちを待ってるイケメンがいるわっ、行きましょっ!」
「・・・ってか、ココどこなんだ?イケメンならもうココに居るだろ」
「どこってそこに書いてあるじゃない」
後者は無視ですか。
貂子が指さす先を目で辿る。大理石ってやつだろうか、ツヤツヤの立派な四角い石に筆で書いたように彫られている。
「ん?『統明館大学』・・・?・・・大学!?コレが!?」
「えぇ、『統大』よ?まさか知らないなんてこと無いわよね?」
『統明館大学』名前は聞いたことがある。オレが知っているくらいだから、かなり有名な大学なのだろう。たしか全国でもトップクラスの偏差値の超頭のイイ学校のはずだ。
「な、なぁ。大学ってどの建物だ?」
「どのって、ココの敷地全部だからどれってことはないわ」
大学というモノを初めて見た。なんだこれ・・・一つの街じゃねぇか。
オレの田舎の建造物を一ヶ所に集めたら余裕でスッポリ収まるぞ。
オレは感動している・・・夢のキャンパスってヤツが目の前に広がっている。
紙袋に入った長いパンとスケッチブックを小脇に抱えて、サークルの仲間の男女四人くらい
で芝生に寝転がるっていう憧れのやつだ。
・・・大学、カッケェ。
「とにかくついて来なさいっ、医学部はたしかこっちのはずよ、ってアンタどうしたの?」
「い、いや何でもない。行こう!医学部へ!」
って、医学部へ?
なんでまたオレと全く接点の無さそうな所に連れてくるかなぁ・・・




