8/21
AM08:21 男
駅のホームの
階段を上りながら。
階段の段差が意外と
高さがある事に気づかされる。
普段何気なく上り
下りしているモノも。
時間に余裕があると
余計なモノまで気になるものだ。
脳みそが感覚的に捉えたものは、
無駄に体力の消耗にまで影響を与える。
日常以上に距離感も感じ、
向かいのホームに到達した時には、
息遣いも少々荒くなっていた。
ひと息つくために、
壁で覆われた待合室の仮設された
ドアとも形容し難いモノを開け、
ベンチに腰を下ろす。
次の電車は……
まだまだ当分到着しそうにない。
何百人、何千人と
腰を下ろしたであろうベンチは、
細部まで目を凝らすと、
やはり薄汚れていたが。
そんなことは今は、
大した問題ではない。
先ほどの無駄な
体力の消耗を回復するために、
地面に視線を向けながら、
ふっと息を吐く。
誰もいない待合室。
構内アナウンスも
微かにしか聞こえない、
隔離された空間。
先ほどまでいた構内では、
同じような顔した人たちが、
同じように立ち往生している。
なぜかその現状から、
一人抜け出した自分に優越感を感じ、
鼻で微かに笑う。
よくあることで、
大した問題ではない。
そう自分に言い聞かせていると、
なぜか笑みを浮かべた女性がひとり、
待合室に入ってきた。




