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規格外の『*.*SSS(アスタリスクエス)』なのに平民以下扱い!? TS転生した貧乏令嬢、領地改革で気づけば溺愛されていました  作者: ろんどんべると


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第8話 大豊作と嫌がらせ 5

翌日、書簡がハータン商会、ハーマイン、そして商業ギルドへと届いた。


しかし、この日、商業ギルドには誰もいなかった。留守番予定だったカナンが、自分の名前を勝手に偽造されたことに抗議してボイコットを決行していたからだ。


一方、商業ギルド支部長、その他の職員とバルトロ商会の支店長を含む、全社員がハータン商会の差し押さえに向かっていた。


だが、ハータン商会の前には冒険者や領民たちが集まり、「差し押さえ反対!」と声を上げて商業ギルド職員の侵入を阻んでいた。


「なにお前たち、モタモタしている! 早くそいつらをどかせろ!」


6歳になった私は、両脇にエルダー爺さんとマー婆さんを連れてハータン商会の前へやってきた。


「商業ギルド職員に告ぐ! 直ちにその暴挙をやめなさい! やめない場合は……反乱罪を適用するぞ!」


「なんだぁ? このガキは?」


「ハーマイン様ですよ!」


「はぁ? こいつが『アスタリスクF』で有名な小娘か。おい嬢ちゃん、こっちは商業ギルドとして正式な差し押さえ状が出てるんだよ。アンタみたいな無能がお遊びで余計な借金を作って、男爵様もさぞお困りだろうぜ……はぐぁっ!?」


「うるさいわね。貴様にはまず貴族不敬罪を適用する。連行しなさい!」


私が言葉を発した瞬間、商業ギルド支部長は膝から崩れ落ち、その場に白目を剥いて倒れ込んだ。


「き、貴様!! 支部長になにをした!?」


「何をしたかって? アスタリスクFの私に何ができると思っていますの? ……そして今叫んだ貴方、あなたも不敬罪です。捕まえなさい」


「な……なんでだぁっ!?」


「貴族である私を侮辱したからよ。馬鹿なの?」


「う、嘘だ! 貴様が支部長を殴ったに違いない!!」


「アスタリスクFの私にそんな芸当ができるとお思い? お前も不敬罪だ、捕まえなさい」


職員たちは一瞬で黙り込んだ。しかし、一人が震え声で声を上げた。


「じゃ、じゃあなぜ支部長は気絶したんだよ!?」


「天罰でしょうね。か弱い私に暴言を吐いたことへの」


そこまで言うと、背後に控えていたエルダー爺とマー婆が必死に笑いを噛み殺していた。そこへ冒険者ギルド長のダグラスがやってきて、ようやく目を覚ました支部長に向かって言い放った。


「王都のギルド本部から『商業ギルドとバルトロ商会の件で疑義があるため、直ちに両者への立ち入り検査を行え』との要請が来た。よって、商業ギルド支部長およびバルトロ商会支店長の身柄を拘束する!」


「「な、なぜだーーーっ!!」」


ダグラスが掲げた本部の書簡を見た途端、差し押さえのために集まっていたギルド員や社員たちは一斉に逃げ出した。しかし時すでに遅く、商業ギルドとバルトロ商会は冒険者ギルドによって完全に制圧されたのだった。


⭐︎⭐︎⭐︎


翌日、王都から監査官がルード領へやってきた。調査を始めるやいなや、出るわ出るわ、不正書類の山。

こうして不敬罪となったギルド職員たちは解雇された。本来なら死刑相当の罪だが、減刑して禁錮5年の実刑判決となった。


しかしながら、支部長はなぜか『商業ギルド預かり』というぬるい処分で済まされた。その他の平職員は減俸。一方でバルトロ商会の支店長も解雇となったが、こちらも何故か『商業ギルド預かり』に留まり、私にとっては到底納得のいかない不満の残る結果となった。


そして一番かわいそうだったのは、カナンだ。彼は不正の疑義を自ら告発したにもかかわらず、混乱を招いたとしてギルドを解雇されてしまったのだった。


⭐︎⭐︎⭐︎


騒動もどうにかひと段落し、私は陸軍工廠で初めて作らせた美しい「白磁のティーカップ」に、王立商会から入手した本物の紅茶を注いでいた。ハータン商会の執務室で、優雅なひと時を過ごす。


「これでようやく一安心だな、ユーグリット。紅茶の味はどうだね?」


ユーグリットは白磁のティーカップをじっくりと眺め、一口含んでうっとりとした表情を浮かべた。


「器といい、お茶といい最高の品でございます。恐れ多い限りですが……それよりもハーマイン様、3点ほどご報告がございます」 


「報告? なんだ」


「1つ目は、新しく赴任するバルトロ商会の支店長についてです。前任者以上に執拗な嫌がらせをしてくる可能性がございます。バルトロ商会としてもメンツがありますし、次にやってくる商業ギルド支部長もバルトロ商会に近い人物だとか。警戒が必要です」


「分かった」


「2つ目は、解雇されたカナンについてです。彼は非常に優秀ですので、我がハータン商会で引き取りたいのですが……」


「構わん、引き取れ」


「よろしいのですか?」


「ああ。『うちは商業ギルドより給料が安いぞ』と伝えた上で、それでも来たいと言うなら引き取れ」


「ふふ、すでにそう伝えたところ『ぜひ働かせてほしい』との申し出がございました」


「貴様……相変わらず手が早いな」


「お褒めに預かり恐縮です。ハーマイン様ほどではございませんが」 


「まあいい。カナンには、これらを当たらせろ」

私は用意していた3つの新規事業案を手渡した。


「……『生活協同組合』? 『馬車鉄道計画』? それに『領民学校』ですか!?」


「ああ。生活協同組合は領民を対象とし(バルトロ商会関係者や不参加希望者は除く)、一律の年会費で職の斡旋や、配当としてハータン商会の割引券がもらえる仕組みだ。そこで集めた労働者で馬車鉄道の設営と学校の建設を進める。なにせ我が商会は、堂々と鉄を扱えるからな。『鉄は国家なり』と言うだろ?」


「最後の『鉄は閣下なり』の意味はよく分かりませんが、素晴らしい計画です! 実は商業ギルドから『ハータン商会に移りたい』と言っている者があと数名おりますので、引き抜いてカナンの下に就かせましょう」


「頼んだぞ。それではよろしく頼む」


私が再び紅茶に口をつけようとすると、ユーグリットがそっと2通の封書を差し出してきた。


「ハーマイン様、最後の報告です。この2通の手紙が届いております」


1つは王家の紋章の封印。もう1つはシュタイン公爵家の紋章の封印。

それを見た瞬間、私は紅茶を豪快に吹き出し、盛大に咳き込んだ。


「ゲホッ、ゴホッ……!」


「ハーマイン様、大丈夫ですか!?」


「だ、大丈夫だ……」


(嫌な予感しかしない……!!)


イザベラ様からの手紙にはこう書かれていた。

『先日のパーティーのお礼と、薔薇風呂が大変素敵だったこと……


追伸:ハーマイン様があの石鹸を王立商会に降ろされていたなんて! しかも「ハーマイン商会」として! 少し直接お話しがしたいので、近々そちらへ伺ってもよろしくて?』


(うっ……これはヤバい……!)


続いて、シャルロット第一王女殿下からの手紙。


『お贈りいただいた素敵な白磁にうっとりさせられましたわ! こちらも王立商会での専売が決まりましたわ。特に母上である皇后様がいたく気に入られたようで……。


追伸:イザベラから聞きましたわよ? なんでも、湯船に薔薇の花びらを浮かべていらっしゃるそうですわね。私からもそんな素敵なお風呂に入ってみたいものですわ。ぜひ一度直接お会いしたいので、王都への招待状をお送りしますわね』


(うぐぐっ……胃が痛い……!!)

最後までお読みいただきありがとうございました!


次回、「第9話」は【明日の07時】に更新予定です!


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