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規格外の『*.*SSS(アスタリスクエス)』なのに平民以下扱い!? TS転生した貧乏令嬢、領地改革で気づけば溺愛されていました  作者: ろんどんべると


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第36話 国王陛下との謁見


こうして、ルード領を揺るがした大規模な反乱劇は幕を閉じた。


領地の復興と鉱山での新たな体制を見届けた後、私とお父様は反乱の全容と顛末を報告するため、急ぎ王都へと戻ってきた。


王宮にて行われた国王陛下への公式報告は、押収した密約文書や証拠が完璧に揃っていたこともあり、スムーズかつ短時間で滞りなく終了した。


……しかし、謁見が終わった直後、私だけが国王陛下に呼び出され、別室の応接室へと案内されたのだ。


「失礼いたします——」


私が応接室の扉を開けた、次の瞬間。


「ハーマイン!!」


奥で待機していたシャルロット王女殿下が、私の姿を見るや否や猛ダッシュで飛び込んできた。


「うわっ!?」 


むぎゅううううううっ!!


勢いそのままに力いっぱい抱きしめられる。


……そうなのだ。12歳になってからというもの、シャルロット様はぐんぐんと背が伸び思春期の少女そのもの、未だに幼児体型の私はすっぽりと胸の中に埋もれさせられる格好になり、息が苦しい。


「無事でよかった……! 本当に、本当に良かったわ……っ!!」


「うぐぐ……シ、シャルロット様……息が……っ」


「……ハーマイン? あれ? 力が強すぎたかしら?」


「シャルロット、そろそろ解放してやりなさい」


「……はい、お父様」


心配のあまり涙目になりながらも、名残惜しそうに腕を解くシャルロット様。

ようやく酸素を吸い込めて人心地ついた私の前に、ソファーに腰掛けた国王陛下がニヤリと不敵な笑みを浮かべて座り直した。


「……ところで、ハーマイン。お前……空を飛んだそうだな?」


「——ッ!?」


その瞬間、私の心臓が「ドックン!」と大きく跳ね上がった。

全身の毛穴が開くような感覚とともに冷や汗が背筋をタラリと伝い落ちる。

唐突な問い詰めにギクリとしてシャルロット様へ視線を向けると、彼女は「あっやば」という顔をしてバツが悪そうにスッと目を逸らした。


……絶対、国王陛下に喋っちゃったわねこれ!!


「……どうなんだ、ハーマイン?」


「あ、いいえっ! あ、あれは……あれはですわねっ! 『天使様のご加護』により、神聖なる奇跡が起きただけでございまして……っ!」


「ふむ……? だが余の聞いた報告では、お前が怪しげな魔道具を背負い、普通に自力で空を飛んでいたと聞いたのだが?」


国王陛下の鋭い眼光が私を射抜く。


(しまった!! ど、どう言い訳する!? 『魔道具の成果です』なんて正直に言ったら最後、『では王国軍用にその魔道具を大量生産せよ!』なんて話になっちゃうじゃない! それにあの試作ブースターは魔力消費が激しすぎて普通の人が使ったら即墜落する危険物なのよ!!)


私の脳内は、超高速回転し、脳汁(脳味噌の汁)が耳から出てきそう。

(落ち着け私! ここはブレずに押し通すのよ!!)


「い、いいえ、あれは『天使様のご加護』ですわ」


と呟くように言葉を吐くと国王陛下は、


「よく聞こえないが」


「私の力などではなく、『天使様のご加護』でございますッ!!」


必死の形相で押し通そうとする私を、国王陛下はしばらく無言で見つめていた。

静寂が応接室を支配する。冷や汗で背中がグショグショになりかけたその時——国王陛下は「はぁー」と深々と溜め息をついた。


「……わかった。ならばハーマイン、お前が空を飛んだという話は、見なかったこと・聞かなかったことにしてやろう」


「ほ、本当ですか……!? 感謝いたします、国王陛下!」


「——ただし」


国王陛下はニヤリと不敵で意地の悪い笑みを浮かべ、身を乗り出してきた。


「その代わりと言っては何だが……ハーマイン。お前のあれをくれ」


「——へっ!? わたし……!?!?」


(えっ!? 私をクレ!? 私を王宮の所有物に召し上げるっておっしゃったの!? 人体召し上げ!?)


私が盛大に勘違いしてフリーズした、まさにその瞬間。


「お父様!!!」


それまでおとなしくしていたシャルロット様が、バンッ!とテーブルを叩いて立ち上がり、私と国王陛下の間に仁王立ちで割り込んできた!


「何を言い出すかと思えば呆れましたわ! ハーマインは私のものですわ!! いくらお父様であっても、ハーマインの純潔だけは絶対に譲れませんわッ!!」


「おい待てシャルロット、落ち着け! お前は一体何を言っているのだ!?」


突然の娘のブチギレぶりに、さすがの国王陛下も目を丸くして狼狽した。


「余が欲しいのはハーマイン本人ではない! 余が今お前から借りておる、あの温泉に行くときに乗っておる装甲車両……『ハーマインの戦車』を余にそのまま『譲らせろ』と言っているのだ! 一国の王が臣下の娘から借りっぱなしなど、プライドが許さん! 誰がお前からハーマインを奪うと言った!」


「あ……あの、あれとは、『お貸ししている戦車』のことでしたの?」


「当たり前だ! そもそもハーマインは……むむ、余の趣味ではないわ、シャルロット」


国王陛下はジト目で娘を眺めると、大げさに肩をすくめた。


「同じ十二歳で、お前くらい可愛く、発育も良ければ考えるがな」


「……親バカ? お父様、私をそんな目で見ていらしたの……?」


シャルロット様が心底引きかけたような顔で一歩引き下がると、国王陛下は慌てて咳払いをした。


「ち、違うわ! 余は父親としてだな! お前の年齢でそれほど美少女で発育も良ければ、結婚適齢期になればさぞかし大層な美人になるだろうと……まあ、そういう意味で言ったのだ!」


そう言って愛娘の頭を優しく撫でまわす国王陛下。


「もう……お父様ったら」


シャルロット様も嬉しそうに頬を緩ませる。……実に微笑ましい親子の会話だ。だが、国王陛下は撫でる手を止めると、急に険しい顔で私の方をビシッと指差し、低く唸った。


「……とにかく! お前に変な虫がつかないか、余は心配でならんのだ!」


指を差された私は、思わず自分の指先で自分を指さしてフリーズした。


「お父様! ハーマインは虫ではありませんわ!」


「わかっておる! ……だが余はな、つくづく思ってしまうのだ。『なぜ、こいつが男ではないのだ』とな……!」


「「……えっ?」」


「こいつが男であれば、今すぐにでもシャルロットの婿(王配)として娶らせて、国ごとルード領の技術を我がものにできるというのに……! なんで女なんだ! 本当に惜しい!!」


頭を抱えて本気で悔しがる国王陛下。


(……えーっと。非常に複雑な評価をいただいておりますが、女に生まれておいて本当に良かったと心から安堵しております……!)


「まったく……まあ良い。現在借りておるあの温泉旅行用の戦車の所有権を余に譲れ。それで今回の空を飛んだ件は手を打ってやる!」


(……なーんだ、今お貸ししているあの戦車をそのまま差し上げれば良いのね。あの車体、乗り心地を追求したサスペンション付きで好評だったものね。)


「貸与から譲渡に変えるだけで良いのでしたら、お安い御用ですわ」


「そうね、びっくりしたわ……」


シャルロット様は何事もなかったかのように胸を撫で下ろし、私も大きく「ほっ……」と胸を撫で下ろしたのだった。


(ふぅ……命拾いしたわ。本物の防衛用火器(砲台)の存在がバレる前に、貸し出していた温泉用戦車の譲渡で手を打てて良かったわ……!)


⭐︎⭐︎⭐︎


こうして、嵐のような夏休み明けの反乱騒動(と空中爆走&温泉戦車譲渡騒動)は、無事に(?)解決を迎えた。

本国のバルトロ商会と商業ギルドには王命による苛烈な断罪が下り、裏で糸を引いていたヴァイス公爵は「名誉の戦死者」の対応に追われて青ざめていることだろう。


翌日。学園の教室に入ると、イザベラ様が心から安堵した笑顔で私を迎えてくれた。


波乱万丈な事件を乗り越え、私は再び、いつもの「アスタリスクエフ」としての賑やかで愛おしい学園生活へと戻っていくのだった。

「ハーマイン頑張れ!」「この勘違い(オチ)はひどい(褒め言葉)」など、少しでもクスッとしていただけましたら、リアクション、ページ下部の【ポイント評価(★★★★★)】や【ブックマーク】で応援していただけると大変励みになります!

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