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規格外の『*.*SSS(アスタリスクエス)』なのに平民以下扱い!? TS転生した貧乏令嬢、領地改革で気づけば溺愛されていました  作者: ろんどんべると


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第33話 領地での反乱 2


王都からルード領までは、約四百キロメルテ。


『マジックブースター』による長距離巡航速度は時速百キロ——これ以上のスピードを出すと魔力の消費が激しくなり、目的地に到達する前に魔力切れを起こしてしまうのだ。


巡航で約四時間の夜間飛行。……なお、後に判明することだが、風魔法の応用でこの速度と長距離飛行を維持できるのは、常識外れの魔力量と身体強化を誇る私だけらしい。他の風魔法使いに試させたところ、数分も持たずに即座に魔力切れを起こして墜落したという。


暗闇の中、ひたすら夜空を爆走すること約四時間。

眼下に広がってきたのは、あちこちから激しい炎と黒煙が上がっている我が領都の惨状だった。


降下しながら高度を下げると、すぐさまおぞましい光景が視界に飛び込んできた。

逃げ遅れた罪もない領民たちが、容赦なく襲われている。しかも……あろうことか、領民を護るべき存在である我が領地騎士団の不純分子十数名が、領民を刃で襲っていたのだ。


「……なんてことを……っ!!」


怒りで視界が真っ赤に染まる。

私は空中から即座に銃を構え、裏切りの騎士団員たちに向けて躊躇なく銃言を叩き込んだ。


ターン!


ターン!


夜の静寂を切り裂く乾いた発砲音。

同時に私の肩へ伝わるズシリとした銃の反動。目の前で頭蓋や胸を撃ち抜かれ、何が起きたかも理解できぬまま崩れ落ちていく裏切り者たち。


残された者たちが恐怖で怯え、逃げ出そうと狂乱する中、私は彼らの前に急降下して立ち塞がった。

そのすぐ足元には、血を流して倒れ込み、まさに首を落とされようとしていたお父様の姿があった。


私を見つけた裏切りの騎士団長は、返り血に汚れた顔でニヤリと嫌らしく口元を歪めた。


「これはこれは、ルード男爵令嬢……! これであなたの領地も終わりですな!」


私は一切の無言で、奴の眉間に冷たく銃口を向けた。


ターン!!


刀を振り上げた姿のまま、騎士団長は頭部を撃ち抜かれてその場にドサリと倒れ込んだ。


「ひっ……! 殺せ! 殺せぇぇぇっ!!」


動揺した残りの騎士たちが、一斉に剣を抜いて私へと襲いかかってくる。


ターン! ターン! ターン!


精密な射撃によって次々と倒れていく騎士たち。追い詰められた奴らは、すかさず側にいたお母様を羽交い締めにし、首元に剣を突きつけた。


「やめろ!! 武器を捨てろ!! それ以上動いたらこの女を殺すぞ!!」


……甘い。奴らは知らないのだ。


私が『無詠唱』で魔法を行使できるという決定的な事実を。


「ぐはっ……!?」


お母様を人質にとり、凶刃を向けようとしていた団員が激しい呻き声を上げて崩れ落ちた。上空から無詠唱で生成した大きめの岩を、頭頂部へダイレクトに直撃・粉砕させたのだ。


私はすぐさまお母様を抱き寄せて救出し、倒れているお父様の元へと引き寄せる。


「くそっ……! なんて運がいい奴らだ! だが、我々に囲まれて無事で済むと思うなよ!」


生き残りの騎士たちが死に物狂いで群がろうとしたが——その醜い言葉は、そこで永遠に途切れた。


シュパッ!!


無詠唱で放たれた不可視の『エアーカッター』が夜風を切り裂き、群がろうとした奴ら全員の首を余さず一瞬で跳ね飛ばしたのだ。


「お母様、怪我はありませんか!? とりあえず、お父様にこれを飲ませてください!」


お母様に高濃度ポーションを託し、お父様に飲ませる。急激に容貌が安定したのを見届けた私は、お父様を抱えて避難所である『領民協同組合本部』へと急行した。


⭐︎⭐︎⭐︎


厳重に封鎖されていた本部の扉を抜けると、そこには必死の形相で指揮を執っていたユーグリットの姿があった。


「ハーマイン様……!! ご無事で……!」


「ユーグリットこそ! それより、至急ベッドを!」


運び込んだお父様に対し、私はすぐさま上位回復魔法『ハイヒール』を叩き込んだ。瀕死の重傷だったお父様だったが、なんとか一命を取り留め、荒かった呼吸が静かな寝息へと変わる。


しかし、安堵したのも束の間。本部に避難している大勢の領民の中にも、同じように重軽傷を負った者が溢れかえっていた。ここに備蓄されているポーションだけでは、到底全員の手当てが間に合わない絶望的な状況だ。


(……仕方ないわね。正体を隠してでも、やるしかない!)


「ユーグリット。ここでこれから起きることは……すべて『天使様のお恵み』ということにしてちょうだい」


「え……? は、はい!?」


私はフードを深々と被って顔を隠すと、怪我をした領民たちが身を寄せ合う広い収容スペースへと足を踏み入れた。

そして、傷つき怯える人々の中央で、溢れんばかりの魔力を全開にして両手を掲げた。


「——『エリアハイヒール』!!!!」


目も眩むような聖なる光が広間全体を包み込み、傷ついた領民たちの身体をやさしく抱きしめていくのだった。

「ハーマイン頑張れ!」「この勘違い(オチ)はひどい(褒め言葉)」など、少しでもクスッとしていただけましたら、リアクション、ページ下部の【ポイント評価(★★★★★)】や【ブックマーク】で応援していただけると大変励みになります!

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