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規格外の『*.*SSS(アスタリスクエス)』なのに平民以下扱い!? TS転生した貧乏令嬢、領地改革で気づけば溺愛されていました  作者: ろんどんべると


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第30話 夏休み 4


「ハーマイン、この『ハンバーグ』というお肉料理の溢れ出る肉汁はなぁに!?」


「それにこの『フライドポテト』! 外はカリッとして中はホクホク、手が止まりませんわ……!」


翌日からの食事も大盛況だった。

昨日大好評だったB級グルメに味をしめた料理長が、調子に乗ってハンバーグやフライドポテトといった前世の大衆料理を次々と投入した結果、王妃様と公爵夫人は完全にノックアウト。


「……決めましたわ。王都に戻ったら、このお料理を味わえるお店をすぐに作らせます!」


「ええ、我が公爵家も全面協力いたしますわ。店名は……『ハーマイン・クッチーナ』でどうかしら?」


「そうですわ。王室御用達の名誉もつけましょう」


食卓の隅で、二人が何やら恐ろしい計画を密談していたのだが——あいにく、私はシャルロット様とイザベラ様との会話に夢中で、その内容を全く聞いていなかったのだった。


⭐︎⭐︎⭐︎


だが、すべてが順風満帆というわけでもなかった。

滞在二日目の夕方、シャルロット様とイザベラ様が、どことなく不満げな表情で私の部屋へやってきたのだ。


「ハーマイン……今日もお母様たちにかかりきりですのね」


「そうよ。ハーマイン。私たちは……その、ハーマイン過ごしたくて来たのですから」


普段は凛としたお二人だが、実は今回の旅行中、ずっと私に甘えたかったらしい。王妃様や公爵夫人が私の技術や料理に大興奮して付きっきりにしていたため、お二人はずっと寂しい思いをしていたのだ。

確かに、お食事の時、少しは、お相手はしたものの、彼女達には、不十分だったようだ。

可憐なお嬢様方の素直なおねだりに、私の胸はキュンと締め付けられた。


「すみません、シャルロット様、イザベラ様。今夜……最終日の夜は、お二人とずっと一緒にいますね」


⭐︎⭐︎⭐︎


そして迎えた、滞在最終日の夜。

温泉宿の特設テラスに用意された大きな一人用のガーデンチェアに、私、シャルロット様、イザベラ様の三人でぎゅぎゅっと身を寄せ合って座った。


「ハーマイン、狭くないかしら?」


「ふふ、私はシャルロット様とイザベラ様の温もりが伝わってきて嬉しいです」


心地よい夜風が頬を撫でる中、理化学研究所の技師たちが演習場から打ち上げるサプライズが始まった。


——ひゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜……


……バァァァァァン!!!!!


夜空いっぱいに広がる、色とりどりの大輪の光。

頭上で弾ける光の粒子が、三人の顔を色鮮やかに照らし出す。


「まあ……! なんて綺麗なお花……!」


「素晴らしい……なんて綺麗な世界……」


二人が感嘆の声を上げる中、煌めく花火の光の中で、二人は示し合わせたかのように同時に私の顔を覗き込んだ。


「「ハーマイン♡」」


「はい?」


不意に、左右から温かい唇の感触が私の両頬に触れた。

チュッ


「……っ!?」


「ふふ。ハーマインとのこの幸せな時間が、そして私たちの友情が、永遠でありますように」


「……私もハーマインとの永遠の友情をを誓いますわ」


花火の残光に照らされた二人の頬は、ほんのりと赤く染まっていた。

前世を含めてもこんなに甘酸っぱく美しい瞬間を経験したことのなかった私は、顔を真っ赤にしながら


「は、はいっ……!」


とうなずくのが精一杯だった。


⭐︎⭐︎⭐︎


こうして、嵐のような三日間の滞在は幕を閉じた。

王妃様たちをお見送りし、自室のベッドにひっくり返った私は、深く深く息を吐き出した。


「ふぅぅぅ……っ!! や、やっと終わったぁぁぁぁっ……!!」


数々の命拾いと、甘酸っぱい思い出と、極度の緊張から解放され、ようやく平穏な夏休みが戻ってくる……はずだった。


しかし——わずか一週間後。


要塞の作戦本部に王都支店から緊急の報せが届いた。


『コクオウ ヘイカ ガ ルーデリョウ ニ クル』


「……ええええええええええええっ!!???」


王妃様と公爵夫人に続き、今度は国王陛下本人が来臨!? 休みが! 私の夏休みが完全に消滅したぁぁぁぁっ!!


⭐︎⭐︎⭐︎


……そして後日。


国王陛下の対応や国王陛下の要望で「王都にどうようの施設を作れ」という依頼を、日本でいう「スーパー銭湯」クラスで、交渉を成立させるなど、怒涛の夏休みをなんとか乗り切り、二学期を迎えるために王都へと戻った私は、王立商会の立ち並ぶ一角で膝から崩れ落ちることになる。


そこには、ハータン商会が手掛ける『パティスリー・ハーマイン』の隣に


【《王室御用達》ハーマイン・クッチーナ】


という豪華な看板を掲げた大行列店が堂々と誕生していたのだ。


「私、何も聞いてないんですけどーーーーっ!!???」


王都にまで私の名前とプロデュース商品が溢れかえっている光景を目にして、私の悲鳴が王都の青空へと響き渡るのだった。

「ハーマイン頑張れ!」「この勘違い(オチ)はひどい(褒め言葉)」など、少しでもクスッとしていただけましたら、リアクション、ページ下部の【ポイント評価(★★★★★)】や【ブックマーク】で応援していただけると大変励みになります!

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