↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
規格外の『*.*SSS(アスタリスクエス)』なのに平民以下扱い!? TS転生した貧乏令嬢、領地改革で気づけば溺愛されていました  作者: ろんどんべると


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
27/47

第27話 夏休み 1

一学期の授業がひと段落した頃、私は焦燥感に駆られながら『ハータン商会』の王都支店へと急いでいた。

すべての始まりは、シャルロット様とイザベラ様の、あまりにも軽やかな一言からだった。


☆☆☆


「ハーマイン!! 私、ルード領にある温泉とやらに興味がわきましたわ。なんでもお肌がすべすべになるとか?」


事の始まりは、シャルロット様のおねだりだった。


「はい?」


「ですから、お肌がきれいになるのですか?」


「シャルロット様……その情報は一体どちらから?」


「ひ・み・つ。わかった?」


わかったじゃないわよ、と思いつつもピンとくる。そういえば少し前、王都から領地へ使者が来ていたはずだ。間違いなくあいつの口から漏れたのだろう。


「それで、王都には温泉が湧いていないでしょう? だから私、温泉に入ってみたいの。いいでしょ、ハーマイン?」


「王女様……それには国王陛下の承認が必要なのでは?」


「それは大丈夫ですわ。イザベラと一緒に行くと言ったら、二つ返事で了承してくれましたもの。ねぇ、イザベラ?」


「はい。というわけだ、ハーマイン。当然私も同行させてもらうので、よろしく頼む」


「は……はい……」


断る隙すらない。さらにシャルロット様は、極上の微笑みを浮かべて追い打ちをかけた。


「あ……そうそう。片道七日かかると伺いましたわ。ですので、十日後に伺いますね♪」


二人のにっこりとした笑顔に対し、私の顔は完全に引きつっていた。


王女殿下が辺境のしがない男爵領に来るなど、本来なら口にするのも恐ろしい話だ。だが、すでに国王陛下の許可まで取ってあるという。

最大の問題は受け入れ側——そう、我がルード領のキャパシティだった。


確かに温泉施設には、お父様をはじめとする貴族向けの建物が存在する。だが、王女殿下と公爵令嬢、そしてその供回りを受け入れるほどの規模はない。しかも猶予はたったの十日。


だからこそ、私はハータン商会へ駆け込んだのだ。


☆☆☆


支店に到着すると、案の定、すでに設計図と増改築プランが用意されていた。


「どうだ? 準備は間に合いそうか?」


「はい。なんとか形にはなりそうですが……ひとつご相談がありまして」


「なんだ?」



「護衛の方々には申し訳ないのですが、お風呂は一般の方と一緒に入っていただくことになりそうです」


「致し方あるまい」


「それと……」


「それとなんだ?」


「宿泊施設はプレハブの宿舎になりますが、よろしいでしょうか」


「それも仕方ないな。それで、具体的な計画は?」


「はい。ボタ山要塞から自衛官20名を建築部隊として、さらに20名を輸送部隊として配置し、合計40名で当たります。コンクリート基礎が出来上がり次第、ボタ山の陸軍工廠でプレカットした部材を一気に組み上げる予定です」


「工期はどのくらいだ?」


「九日です。内装やベッド、調理器具や食器類も含めて間に合わせます」


「なんとか形になりそうだな」


「ええ。それとハーマイン様、見ていただきたいものがございます」


「何を見ろと?」


支店長に促され、中庭へと連れ出された私は、そこに鎮座する異様な物体を目にして絶句した。


「これが、ハーマイン様専用馬車です!」


「な……なによ、これ……!?」


そこにいたのは、黒と緑と茶色の迷彩塗装が施され、車輪にはゴムタイヤのような構造、さらにこの時代には存在するはずのないバネサスペンションが搭載された、怪しすぎる馬車だった。


「ハーマイン様……車軸には最新のボールベアリング機構を採用しておりますので、極上の快適な旅をお約束いたします」


「待ちなさい。迷彩塗装の戦車みたいな馬車で、どうやって優雅な旅をしろと言うのよ!?」


「流石はハーマイン様、これが『戦車機能』を備えているとお気づきになるとは」


「……はい?」


「この馬車は最大四頭引きが可能です。さらに外壁は軽量鉄骨と薄型鉄板の複合装甲となっており、各面には各種属性の魔法攻撃を吸収する魔石を埋め込んでおります」


「魔石って……そんな機能があったの!?」


「実は最近になり、陸軍工廠より報告がございました。各属性に対応する魔石は、魔力が空の状態において、同属性の攻撃魔法を『魔力資源』として吸収することが判明したのです」


「なるほど……(いや、なるほどじゃないでしょ!?)」


呆然とする私をよそに、現場の準備は着々と整っていく。


「それでは、順次突貫工事を進めさせます」


「ハーマイン様の出発はいつ頃に?」


「明後日だ」


「かしこまりました!」


☆☆☆


こうしてハータン商会の連絡網と自衛部隊をフル回転させ、自身も明後日に王都を発った私は——ベアリングとサスペンションを備えた対魔法装甲馬車(迷彩仕様)とハータン商会の爆速物流網のおかげで、本来七日かかる道のりをわずか三日で駆け抜け、ルーデ領へと無事に帰還したのだった。


「ハーマイン頑張れ!」「この勘違い(オチ)はひどい(褒め言葉)」など、少しでもクスッとしていただけましたら、リアクション、ページ下部の【ポイント評価(★★★★★)】や【ブックマーク】で応援していただけると大変励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。