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規格外の『*.*SSS(アスタリスクエス)』なのに平民以下扱い!? TS転生した貧乏令嬢、領地改革で気づけば溺愛されていました  作者: ろんどんべると


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第24話 千の剣と騎士の誓い


あれから数ヶ月が経った、ある日のこと。


学園の訓練場に一年生全員が集められていた。教官が前に立ち、朗々とした声を張り上げる。

「もうすぐ夏休み前の実習訓練が始まる。その前に、諸君らに実習期間中の臨時講師を紹介する!」

教官の合図とともに現れた人物を見て、私は思わず目を丸くした。


「『千の剣』と言えば分かるな? AAAランク冒険者のエリス先生だ!」


「只今ご紹介に預かった、エリス・ソーネだ。主に実習に向けた実践剣術を担当する。よろしく頼む」


「「「おおおぉぉぉっ!!? 本物の『千の剣』様だ!!」」」


生徒たちが一斉にざわめく中、壇上のエリスの瞳は——まっすぐに私をとらえていた。

……そして、その鋭い視線に即座に気づいたシャルロット様とイザベラ様が、なぜか私の左右にぎゅっと身を寄せて密着してきたのだった。


(な、なんでしょう……この左右からの圧と、前方からの熱視線は……)


☆☆☆


それから数日。何回か授業はあったものの、エリス先生と私が直接手合わせをする機会はなかった。学園内における私の立ち位置は、あくまで落ちこぼれの『アスタリスクF』。目立たないよう上手く配慮されていたのだと思う。


……だが、この日は違った。


私とシャルロット様、イザベラ様の三人で廊下を歩いていると、すれ違いざまにエリス先生が私の耳元で低く囁いたのだ。


「ハーマイン様。のちほど、訓練場へお越しいただきたい」


それだけ言い残し、風のように去っていくエリス先生。

すかさずシャルロット様が私を振り返り、優雅に微笑んだ。


「ハーマイン、当然行かれますわよね?」


「ええ、行きますわよね?」


イザベラ様にも満面の笑みで督促され、私は完全に行かざるを得ない状況に追い込まれてしまった。


☆☆☆


私、シャルロット様、イザベラ様の三人で訓練場へ足を踏み入れると、そこでは汗だくになった第一王子エドヴァルトとギルフォードが、目をギラギラと輝かせてエリス先生に木剣を構えていた。

しかし、私の姿を見つけたエリス先生は、即座に二人に向かって告げた。


「お二人とも、用事ができましたので本日の指導はここまでとします。あとは自主練をしておいてください」


「「わかりました!」」


残された王子とギルフォードの二人は、再び木剣を交えながら会話を交わし始めた。


「ギルフォード……なぜ、そこまで死に物狂いで頑張れる?」


「殿下こそ」


「俺は、剣では絶対に誰にも負けたくないからだ。……そう言えばお前、シャルロットに振られたそうだな。まだ諦めずに申し込むつもりなのか?」 


「いいえ。しばらく、申し込む気はありません」


「何故だ?」


「……あるお方に、追いつきたいからです」


そう言ってギルフォードが静かに視線を向けた先——そこには、ハーマインたちと話をしようとしているエリスの姿があった。それを見たエドヴァルト王子は、『なるほど、ギルフォードはあのアスタリスクF (ハーマイン)ではなく、最高峰の剣士エリスを目指しているのだな』と完璧に勘違いしたのだった。


「ふっ……まあ、頑張れ。だが、最後に勝つのはこの俺だ」


「……お好きにどうぞ」


☆☆☆


一方、エリス先生はというと、私を呼び出したかと思えば、まず私の横に立つシャルロット様とイザベラ様の二人と何やらヒソヒソと話し込んでいた。


(……え? なにを話しているのあの三人……?)


やがて話し合いが終わると、エリス先生は私の正面へと歩み寄り、その場にすっと片膝をついた。


「ハーマイン様。私、エリス・ソーネは……本日よりハーマイン様の『騎士』としてお仕えいたします。お二人からも、すでに了解をいただいております」


(ちょっと待って!? 騎士!? ギルド最高峰のAAAランク冒険者が私の騎士って……そんなのバレたら私の平穏なぐうたら生活が木っ端微塵になっちゃうでしょうが!!)


私は周囲を素早く警戒し、頭をフル回転させて即座に命令を下した。


「……エリス、あなたの申し出を受け入れ、私の騎士となることを許可します」


「! 感謝いたします!」


「ただし、条件があります。学園内ではどこまでも『師弟関係(教師と生徒)』であることを徹底すること。そして平時、私の呼び出しがない間は、これまで通りあなたの稼業(AAAランク冒険者)を行いなさい。私が緊急で呼集した時のみ、即座に対応していただければ結構です」


最高峰の武力を配下に収めつつ、自身の正体を隠し、平穏を守るための完璧なリスクマネジメント。

エリス先生は感銘を受けたように目を輝かせ、深く頭を垂れた。


「……御意。この命、いつでもハーマイン様のために」


こうして、私は学園内での低空飛行を保ったまま、王国最強の剣士を「隠密騎士」として配下に加えることとなったのだった。

「ハーマイン頑張れ!」「この勘違い(オチ)はひどい(褒め言葉)」など、少しでもクスッとしていただけましたら、リアクション、ページ下部の【ポイント評価(★★★★★)】や【ブックマーク】で応援していただけると大変励みになります!

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