第15話 8歳から9歳
無事に領地へと戻ってきた。
しかし、今回の件をきっかけに、年に一度は王女殿下のお茶会とイザベラ様のお茶会へ必ず参加することが決定してしまったのだった。
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陸軍学校と領民学校が設立されてから1年が経過し、成績上位の優秀な人材が育ち始めていた。
人材が揃ったところで、私は次の計画へと着手する。——『理化学研究所』の設立、『生活協同組合』の立ち上げ、そしてボタ山地区にある自衛隊本部の要塞化、
特に領都にあふ『生活協同組合』本部は、内部構造を地下2階・地上3階建ての鉄筋コンクリート造りとし、外観は周囲の街並みに合わせて日干しレンガで厳重に偽装させた。
地下は倉庫兼いざという時の避難所として活用し、1階は一見すると普通の建物に見えるが、今後開発される鉄砲用の射撃孔を各所に配置。さらに屋上には大砲の設置スペースと物見櫓を完備させた。
一方で、領内における治水工事と、馬車鉄道の専用道路の敷設工事も開始した。こうして、目まぐるしく慌ただしい1年が過ぎていった。
この1年で、白磁への繊細な絵付け技術と「黒色火薬」が完成。さらにはタービン式機関の試作に成功し、簡易的な発電実験を開始した。
農業・薬学分野においても、薬草やオイルシードの本格的な栽培に乗り出し、「初級ポーション」の精製に加え、質の高い「バージンオイル」と普及用の「二番オイル」の抽出に成功した。
さらに、シャルロット王女殿下の「鶴の一声」により、王都周辺で広大な農地と工場用地を取得。王都での石鹸の現地生産がスタートした。
王都で作られた石鹸は「高級石鹸」としてブランド販売を継続させたが、これには王都における貧困層の雇用創出という重要な狙いもあった。そして、二番オイルから作られた普及用の石鹸は、安価な日用品として一般市民向けに販売が開始されたのだった。
また、試行錯誤の末に「麦焼酎」の醸造に成功し、蒸留技術も大幅に向上していった。……そしてこの蒸留技術が、翌年、多くの領民の命を救うことになる。
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【9歳】
9歳になった年、ついに試作を重ねていた「鉄砲」と「大砲」が完成した。
だが……悪魔の兵器を生み出してしまった報いかのように、領内で「麻疹」の大流行が始まってしまったのだ。
「ハーマイン様! 領内で麻疹の発症者が確認されました!」
「すぐに対策を講じます! 以前に麻疹にかかったことのある者を至急集め、看護にあたらせてください! 発症者は隔離病棟へ集めて集中管理を!」
「了解いたしました!」
こうして、前世の知識をフル活用した防疫対策が始まった。
それでも完全には防ぎきれず、50名もの死者を出すこととなってしまった。だが、適切な対策を取れずに壊滅的な被害を出した他の領地に比べれば、被害は最小限に抑えられたと言える。
なお、イザベラ様の公爵領や王都へも事前に感染対策を伝授していたため、そちらでも死者はごくわずかで済んだようだった。
醸造した焼酎を限界まで高濃度に蒸留して作った「消毒用高濃度アルコール」による徹底的な手指・器具消毒がや感染者の隔離と適切な治療が功をそうした。
その後、馬車鉄道専用道路の整備とボタ山の要塞化も順調に完了した。
ハータン商会のユーグリットは、完成した鉄砲や大砲の他国・他領への売り出しを提案してきたが、私は「まだ時期尚早だ」と即座に却下。門外不出とし、さらなる改良と秘匿を命じたのだった。
こうして、激動の2年が過ぎ去っていった。




