第10話 王女謁見の薔薇風呂 2
「ハーマイン、私……まだ怖いですの。今晩、一緒にいてくださる?」
イザベラ様はそう言って、私の腕にすがりついてきた。
到着したのは、今夜泊まる宿らしい。……って、間違いなくこの街で一番高級なホテルだ。貴族向けということもあり、外観からして高級感がすごい。
だが、ここで同じ宿に泊まることでシュタイン公爵家にさらなる恩を売ることができる。費用対効果を考えれば、極めて妥当な投資と言えるだろう。……決して、私がこの豪華な高級ホテルに泊まってみたいからではない。決して。
「わかりましたわ。私もこのお宿に泊まりますから、安心してくださいませ」
そう言って私がフロントへ向かおうとすると、イザベラ様に服の袖を引かれて呼び止められた。
「でしたら、私の部屋へ来てくださいませ」
「はい?」
「ですから……私、まだ怖いですの。ですので、今夜は一緒に寝ていただけません?」
「はい?」
「ふふ、決まりましたわね! さあ、私の部屋へ」
「え?」
「さあさあ、どうぞこちらへ」
「え……!?」
こうして私は、なぜかイザベラ様の客室へ連れ込まれてしまった。
さらには専属メイドたちに連行され、先にお風呂へ入れられることに。
「お疲れになったでしょう。さあさあ、お体の汚れを綺麗に落としましょうね」
抵抗する間もなく、私はされるがまま身体をピカピカに洗われてしまった。そのまま綺麗なお召し替えを着せられ、別室の食事会へ連れていかれる。そこには湯上がりのイザベラ様がいらっしゃった。
「さあ、一緒にお食事をいたしましょう」
優雅な夕食が終わり、いざ寝室へ向かおうとすると、なぜかイザベラ様がふふふと楽しそうに笑いながら私の手を引き、ご自身の寝室へと連れ込んだ。
「こ……これは……!?」
「私、怖いですので……ハーマインは私と一緒に寝てくださいませ」
「ええっ!?」
部屋の中央には、ベッドがひとつしかなかった。
ハタから見れば、7歳の可憐な女の子同士が同じベッドで仲良く身を寄せ合って寝ているという、実に微笑ましく尊い風景だろう。
だが……ただ二人でひとつのベッドに入っているだけだというのに、私の心臓は緊張で今にも破裂しそうだった。
(頼むから……頼むからそれ以上くっつかないで……!)
最後までお読みいただきありがとうございました!
次回、「第11話」は【明日の07時】に更新予定です!
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