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混血のバイト  作者: ルト
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幕間 混血の夢

俺は気づくと薄暗い廊下に立っていた、少し先に灯りが漏れる扉が見える、扉へ向かって廊下を歩くとミシミシと床の軋む音が聞こえてきた。

扉をゆっくりと開けると、そこは薄暗い部屋の中、少し強めの雨が降っているのか窓のあたりからパチパチと拍手をするような音が聞こえてくる。

俺の前にはロッキングチェアをゆっくりと揺らすようにして座り、本を読む美女がいた。

そいつは俺に目を向けたと思うと口を開き、優しく

「おいで」と呼びかける、俺は何も疑わずに美女の元へ向かった。

そうすると美女は俺に向かって小難しい話をしてきた、詳しくはもうわからない、けれど覚えていることは1つある。


「――どこまでいこうと人は人、人ではない生命になれるはずもなく、鍛えた肉体も人外には通じず限界と言えるほどの技量でさえもやすやすとその者たちにやすやすとは行かずともいつかは抜かされる、どうしょうもないほど弱い存在であるのだから、人と人外は分かたれたほうがよい。もしくは――」


彼女は言う強く確かな声で


「お前が混血として人と人外の橋渡しとなれ」


その言葉をきっかけにして俺の人生は狂っていったのだ。


そして俺は目を覚ます。





毎晩悪夢を見る、それを見ている時の思いは焦り、戸惑い、驚き、俺の人生でそんなことはなかったはずのことをまるで追体験するように俺は夢で見る。

今日の夢はだいぶ長い、俺は後ろを走る黒く塗られた車とカーチェイスをしていた、どれだけスピードを出しても相手との距離は離れない、ハンドルを握る手からは血が流れ落ち、力が入らない、ナビによると近くには崖があるそうだ、ちょうどいい後ろの顔も名も知らぬ者を崖で落としてやろう。

そして、崖ギリギリでハンドルを切った、その時だった


「あ、そうだった」


手は動かなかった。

俺の耳には柵と思わしきものが壊れる音、身体には重い衝撃、そして浮遊感、嫌でも気づく落ちている、真っ逆さまに。

壊れていたのかエアバッグは作動しなかった、ハンドルやその他諸々の機器に身体をぶつけたことで骨が数本折れるかヒビがはいるかした、もう動かないそう思いサイドミラーを覗くと黒く塗られた車も落ちているのが見えた、道連れだ。

そう思うと安堵していることに初めて気づいた、なにに対する安堵なのかは理解していなかった。

そのまま俺の終わりがやってきた。

海の水に落ちる音、車が壊れる音俺の体が水に沈む感覚、少しでも浮こうとした体がシートベルトで固定されて落ちていく感覚、『生きていたい』『死にたくない』そういう思いが浮かんでは消え浮かんでは消え、いつかすべての意識は消え去った。


そして俺は目を覚ます





僕が目を覚ますとまず最初に聞こえてきたのは『やった、成功だ』だった。

顔を動かすと辺りには医者や研究者が着るような服を着た男の人や女の人が立っていた。

1人の真っ白な着物を着た男の人が近づいてきた


『おはよう、それとも誕生おめでとう、とでも言おうか、まぁ、どちらでもいいか』


男の人は手に持つ書類を見ると邪悪な悪魔にも似た笑みを浮かべて


『君は今日から【白駒ソータ】だ』


その日、その時に、僕は生まれた。

僕は手術台を降りた、その時にぐにゅと何かを踏んだ感覚があった。

ゆっくりと下を向く向かなければよかったそう後悔してももう遅い。


「え…コレは」


『あぁ、コレかい?』


そう言い男は地面に落ちていた物を手に取ると


『君のなり損ないさ、もっと下をよく見てごらん』


男に言われたとおりに辺りをよく見るそこには体が破裂した死体、身体が裂けて何かが現れたような死体、体中から血を流している死体。

不謹慎かもしれないけど死体の展覧会のごとく様々な死因の死体が転がっていた。


『君は成功例なんだよ、それもとびきりの、ね。ただ生きているだけではない、完璧な調和だ』


男の人の言っていることはよく分からなかった、だけど僕の手を握る手の力は優しくて、この人にならついて行ってもいいかな。

そう思って死体の道を歩く、死体だらけの部屋を出るための扉をくぐり。


そして僕は目を覚ます





『おい、起きろ小僧』


その声を聞き目を覚ますとイタチが俺の顔を覗き込んでいた。


「小僧って、俺の名前を呼んでくれないのか?鎌鼬(カマイタチ)


『未熟者には小僧で十分、特に勉強中に眠りこけるような奴にはな』


辺りを見渡すとそこは青々とした木々に囲まれた山の中だった。

足元の地面には鎌鼬がかいたのであろう文字や絵などがかかれていた。


「ごめんごめん、で何の話だっけ?」


『しょうがない、1から教えてやろう、今日は人妖町記 第弐章【人妖桜】についてだ』


「あぁ、あの胡散臭いやつ」


『胡散臭いゆうな、実際、ここから見えるあの桜も人妖桜の1つということを忘れないでおけ』


「そうなのか?」


『そうだ、ちなみに人妖桜はあと何本あるか覚えているか?』


「2本…だっけ?」


『ちがう!それは今現在、存在する人妖桜の本数だ』


「別に無くなったものくらい覚えてなくても問題ないでしょ?」


『そういうのを覚えなくてはならないからこうして記録や記憶は歴史として記録されるんだよ』


遠くに見える桜を指さして


「ていうか、あの桜を抜いてあと1つ【葉桜】は今はもう姿を消したんだろ?何で未だあると言われてるのさ」


『そんなことは簡単だ、この世界がまだ残ってるからな』


「はぁ?それってどういう…


そう詰め寄ろうとした時に眩い光が辺りをつつみ込み俺の声も姿も鎌鼬の姿も声も熱も消し去って、白い視界に埋め尽くされて。


俺は目を覚ます

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