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混血のバイト  作者: ルト
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店長と桜と最後の戦い

桜、ユメを中心として戦闘が始まって既に3時間が経過していた、コレに気づいているのはコウジと店長、そして火車を含んだ現場に向かう6人のみの確かな真実である。



私は考える、思考を巡らせる。

ユメ、そう名乗る白の着物を纏い舞い降りた女は言った


「これから行うのは、生き残りをかけた殺し合いなどではない、この場で行われる最後の抵抗だ」


と、つまりユメからしたらそこまで切羽詰まっていた、恐怖していたのだ、己が切り倒されることに、己が消滅することに。


ユメの後ろで蠢くナニカへと視線を向ける


片方のナニカの最初の印象は亀、よく見ると亀の甲羅は結晶や岩石など様々な形に変化している鉱物で出来ていて、その隙間や体のあちこちから流れ出るオレンジのような色の半固体の物質は地に触れると地面が黒煙を出して溶け出したことからマグマだとわかる。

亀と鉱物とマグマのナニカ、それが一体。


もう片方のナニカも亀を彷彿とさせる姿形をしていたが対となるナニカと違うのは甲羅は鉱物ではなく氷でできており体や甲羅の隙間からはドライアイスの煙のような触れた地面を凍らせる冷気を含んだ白煙が立ち上がっている。

亀と氷と冷気のナニカ、これでニ体


2体と1人に注意していると黒ずくめの服に見を包んだ人型の何かが2つユメの元へ移動してきた。

するとその2つの何かは深々と地面に片膝をつけて礼をすると。


「ユメ様、我が主の唯一の友よ、そろそろ撤退を」


「その通りでございます」


1つは少し細身のシルエット、もう1つは縦にも横にも少し大きめかつ不定形のシルエットをしていた。

不定形のシルエットとはそのままの意味でシルエットとしてしか見れないがその形を毎秒少しづつ変わっていっているように見えるのだ。

そしてその不定形の男が小脇に抱えている存在に目を奪われた。


「あれは…」


「おや、店長さん…でしたか気づいたようですね」


不定形の男が小脇に抱えているのは、山嶺カエデだった。

コウジくんと共に西側から桜に向かったはずのカエデさんがここに居る、それはコウジくんの敗北を…


「ウラァ゙!」


と凄まじい助走をつけ声を荒げて不定形の男に飛び蹴りを食らわした瞬間にそんな考えは霧散した。

しかし不定形の男は不意打ちとも言えるコウジくんの攻撃をいとも容易く耐えた上にカエデさんを離さず荷物を持つように抱えていた、それには敵ながらあっぱれと褒めておきたい。


「コウジくん、こっちへ」


コウジくんを呼び寄せる、その時に合った目だけでコウジくんが何を言いたいのか、だいたいわかった。



『あの男の相手は俺がする』


その強い殺意とも言える意志を感じれたのならそれで十分。

私は静かに剣を抜く。


「4対1か」


「俺、2人相手は無理ですから」


「情けないね、コウジくんは」


「しょうがないでしょう?今の俺は肉体を削ってるんですから」


「そういえば、そうだったね」 


トウカくん、ソータくん、リトオ君は一時戦線離脱、それに合わせて3人についていた人たちも離脱済みなのは確認した。

厄介そうなのは後ろの2体のナニカとユメのみ、あの細身の男からは特に危機感を感じない。

そう思い踏み込む意図せずコウジくんと同時に踏み込んだ私は真横に剣を振るう、それはやすやすと細身の男を斬り裂き後ろのユメにそのまま一撃を食らわすつもりで放った攻撃。

それは…


[ガキンッ]


という硬質的な音と共に一瞬だが細身の男に防がれた。

それを意に介さず思い切り剣を振り切る。

細身の男は何も言う暇はなくホームランボールのように吹き飛んだ。

なぜ防がれたのか、少しの疑問はあったがそのままユメに斬りかかる。


「お前の罪は幾つもある、その清算の時間だ、閻魔帳(エンマ)


そう叫ぶと剣は炎を纏った、それは全てを飲み込むようなと黒煙を纏いユメに迫る。

そこへ


「やりなさい、マグラ」


「―――」


マグマの亀が口から溶岩の塊を私に向かって吐き出し迫りくる溶岩を叩き斬り防ぐ。

そして踏み込んだ瞬間、私の足が凍った。

冷気が辺りに満ちていた。

私は剣を突き出し。


「伸びろ、全てを伸ばす者(ロクロクビ)


その言葉に反応し剣は真っ直ぐに伸びる、誰の目にもうつらないはずのその刃は


『それは見慣れてるわ』


そうどこからともなく聞こえた言葉と共にユメによって弾かれた。


『あの女と似ていることをするのね』


その声はユメの頬から現れた口から放たれた。


「へぇ、見たことがあるのか」


剣を元の長さに戻し、足を固める氷を純粋に軽く靴や皮膚を犠牲にしながら動くことで破壊し、踏み切る。

一歩踏み出すだけで足が一瞬氷によって固定される、それを踏み壊して飛ぶ、吐き出される溶岩塊を叩き斬り、ユメに迫る頃には足は骨が見えてボロボロ、溶岩塊の熱を浴びた己の体は爛れていた。

ユメへ絶死の刃が迫る、その時だった。


「助けに来たよ、ユメ」


全体的に白い男が空から降り立った。

白澤だと、一目見てわかった、数年間顔を見ていなくとも何故かわかった。

空を見上げる、そこには炎の車輪を回して空を走るものが見える。


「火車か」


「正解さ、店長さん。君とはもう少し話したいんだが…残念ながら時間がなくてね」


そう言うと白澤はユメを抱き寄せると


「ユメ、この子らを吸収しておきなさい」


「はい」


ユメはマグマの亀と冷気の亀に触れると相手をねじるかのようにして吸収した、吸収し終えると同時に火車が降り立った。

走ってきた細身の男とボロボロになりながらも走り逃げるようにカエデさんを抱えた不定形の男も火車に乗り込んだ。


「じゃあね、君たちとはまた会える、僕の主と争うことになるだろうから」


そう言うと白澤もユメを火車の中に乗り込ませると白澤自身も火車に乗り込もうとする。


「逃げれると思ってるのか?」


「逃げれるさ、というか君は僕らを逃がすしかない、もし攻撃したらどうなるか、わからないほどバカではないだろ?」


確かに、あの火車に何人の敵がいるか分かっていない明らかに危険だというのは誰が見ても明らかだった。


「確かに、そうだね…」


静かに剣をしまう


「私の知っているとおりに理解が早くて助かるよ」


そう言う白澤に


「だけど、お前だけは殺る」


抜剣と同時に斬りかかる。


「それも知っている」


と言う白澤は剣を軽く体をずらして避けると。


「残念ながらさよならだ」


と火車の縁を掴むと火車は即座に動き出し空を駆ける。

剣も届かぬ距離に移動したのを見ると辺りを見渡し地面に倒れ伏すコウジくんを見つけると駆け寄った。


被害者は誘拐された山嶺カエデの1人と少なく、過去最大最多のナニカが発生した戦いは終結となった。

同時刻におこった人妖列車の車両1つに乗っていた乗客が消えた事件との関連性は未だに判明していない。

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