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混血のバイト  作者: ルト
22/27

巨人と北と生物の恐怖

桜から北にある【動物霊園】

その名の通り動物、主にペットなどが埋められている。

しかし、それが通常の動物ではないことなど、普通のことである。



静かな日の出、そんな空気に当てられながら鼻歌を口ずさみ人の良さそうな笑顔を浮かべる大男、山陰リトオは手元の両手に鎌を持つイタチのような獣の顎を撫でる。


「君は、コウジのところへ行かなくてよかったのかい?」


「ん…いや、行かなくていいかな…あの赤男とはもう二度と会いたくないし、それに…あの女の子とも会いたくないからね」


「やっぱり同族嫌悪?」


「たまに酷いこと言うね、君は」


「そうかな?鎌鼬(カマイタチ)と天狗って似てると思うけど?」


「ほんとに酷いこと言うね、君は」


呆れるような鎌鼬の言葉に苦笑するとリトオのインカムから準備完了の声が次々と聞こえてくる。


「そろそろ行こっか」


「そうだね、君が本気出せばあんな木なんて軽く根元から折れるでしょ?」


「それが、俺じゃ駄目だって」


「…それは白澤とかいうやつが言ったのかい?」


暗く少しの哀れみを含んだ言葉だった


「そうだね、白澤さんがレポートにまとめて伝えてきたよ」


「ふーん、なんで君たちはそんなに彼を信頼してるのかな?」


「え?」


純粋な疑問にリトオは困った、なぜか信じていたからだ、今までそんなことはなかったというのに。


「確かに…なんでだろう」


その疑問を一旦横に置きリトオはインカムに


「準備完了しました」


その一言を入れる。


『じゃあ、作戦開始』


その店長の言葉とともに


ここに山と湖を創ろう(ダイダラボッチ)


「そりゃ!」


巨大化するリトオと同時に可愛らしい声とともに鎌鼬は腕の鎌を振り風を巻き起こらせ辺りの空気を切り裂く。


「行くよ」


「もちろん」


リトオは走る小さな山程の大きさになったリトオは歩くたびに大きな振動を起こしその振動は辺りの墓石にヒビを入れる。

急激な数百の蕾の開花と同時に現れる何十体ものナニカのほとんどは鎌鼬が事前に展開した空気の裂け目に切り裂かれ何も気づかずに落ちていった。


「よしっ!」


「よくやった、あとでまた顎撫でてあげるからね」


そう言うリトオは握り潰した岩石を生き残ったナニカ全体に向けて投げ放つ、その石は細かな礫となり生き残りのナニカの体を貫いていった。


「なんか…」


「柔らかいね」


「そりゃそうです、だってここの子は」


「「!!」」


聞いたことのない声のした方へ二人は目を向ける。

そこは、リトオの左肩の上、鎌鼬はリトオの右肩に座っていたため気づくのが遅れたがそこには足をパタパタとさせゴスロリを着た少し少女と言うには小さい幼女というような姿の娘が居たその娘はおもむろに口を開き。


「ワタシが食べるためにあるんですから」


幼女の口は裂け巨大な口となり落下中のナニカも落ちていたかろうじて生きているナニカを地面ごとえぐるように一口で喰らいつくした。

可愛らしく喉を鳴らして飲み込んだ幼女は舌舐めずりをして


「お兄さんとイタチちゃんはどんなお味がするのかしら」


そう、とても楽しそうに語った。

その時、ようやく停止していた2人の脳は全力で回転し始めた。


「リトオ!殺れ!」


鎌鼬の声よりも早くリトオは己の左肩の少し上を狙い掌底を繰り出した。

幼女の命を砕き壊すために繰り出された掌底は飛行機が地面の豆腐にすべての力を乗せて落下する程の威力を持っていた。

それをひらりと軽く躱した幼女は心の底から楽しそうに


「ふふふ、あーおもしろーい!お兄さん大きいのに動くの早いねー」


笑った、子供が新しい玩具を見つけた時のように、いじめられっ子が他の自分でもいじめられる子を見つけたときのように、無邪気に、狂気に満ちた笑みを浮かべた。


「気持ち悪いね」


そう言い鎌鼬は両腕の鎌を振り目に見えない不可視の刃を幼女に向けて飛ばす。


「空気を食べる趣味はないんだけれど」


幼女は口を裂き開き空気の刃を捕食する。


「そうだった、自己紹介がまだね、おはよう、始めましてワタシはタン、よろしくね」


そう人差し指を口に当てて幼女、タンは微笑み


「あぁ、お兄さん達は名乗らなくていいよ、もう二度と食べることのない食べ物の名前なんて気にすることないもの」


そう少女は空中を歩きながら言う、いや正確には空を食っているのだ。

足裏から裂けた獣の口が空を、空間を喰らい空中を歩くことを可能にしているのだ。

そのことにおののきながらもリトオは巨大質量の塊である拳にて殴りかかる。


「あらあら、お食事から近づいてきてくれるのね」


口を裂き開いた少女はリトオの拳を大口を開けて飲み込む。


「……貴方…土くれね、その体」


激しい嫌悪を幼女として年相応の可愛らしい顔に張り巡らせたタンは


「ワタシに、土を食わせるなんてね…」


「っ!逃げろ!」


そう言いリトオは鎌鼬を投げ飛ばす、遠くへ投げ飛ばす。

タンの視覚には右手を失ったリトオの姿のみ、それ以外の情報は自然と遮断される。


「よくもワタシの嫌いな味を味あわせてくれたわね」


タンはリトオに殴りかかる、その拳は裂け拳から口が開き、リトオの体を食らう


「もうその体も喰らい尽くしてお兄さんの姿を消し飛ばしてあげる」


リトオが殴りかかろうとするとその腕や指、拳を消し飛ばすように喰らう。

そして


「ずいぶんボロボロになったね、お兄さん」


数分間殴り続けられリトオの姿はもはや体を保てず能力が解け、直に姿を見せた。


「お兄さんの素の肉体、いただくね?」


そう言いタンは大きく口を開けた。

能力が強制的に解除された影響で気を失ったリトオにそれを止める術はない。

リトオには


「あー「邪魔するよ、お嬢さん」っ!?」


落ち着いた優しい声が大口を開けたタンにかけられた。

振り向いたタンの目に飛び込んだのは


「…アンタは…」


「おっと、私は店長と呼んでほしいな」


すると店長は剣を引き抜き目に捉えきれぬ速度でタンの右腕を吹き飛ばす。


「私の仲間を殺そうとするなら、殺すよ?」


その言葉と共に店長は強烈な殺意を押しつける。

タンはそれを受けて蛇に睨まれた蛙とと化した。

絶望的な状況下で抗う気力も消え失せたタンは背を向けて逃げ出したいと直に感情を顔へと出していたが、タンはいきなり顔を変え死ぬ気で戦うという意思を示した。


「そっちこそ、私に殺される気でいなよ!」

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