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混血のバイト  作者: ルト
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海と東と若い恐れ

東にある若者の死者が埋められる墓所の名は【若者霊園】、人間換算で20〜50歳程の年齢の死者が埋められる墓所である。



耳元のインカムから様々な声が聞こえる、準備完了の声が聞こえる中俺のマイクはOFFになっており、トウカの隣に立つ紳士然とした男は黒髪の長髪を風にたなびかせ、漆黒の外套を羽織りる長身の男の着る黒、白、赤を基調とした服からはまるで貴族のような印象を与える。


「えっと…レオンさん?」


インカムのマイクをOFFにした張本人であるレオンを見ながら何のつもりで…と恐る恐るきくトウカの声は少しうわずっていた


「あぁ、そうだったね」


そう語るレオンの微笑みには冷たい氷のような印象を見るものに与える。

まぁ、見ているのはトウカだけなのだが。


「君は…ミアと、私の娘と婚約しているってことでいいのかな?」


「えっと…そう、なるんでしょうか…」


「そうなるさ、あの子がそう望んだんだから」


「そうですかね…正直俺には荷が重いというか」


「別にミアに跡を継がせるとは決めていないさ、ただ、跡取りを誰にするかとなると私の不在時に体を張って家族を護ってくれた君と結婚するであろうミアの方が他の9人よりかはるかに有利だというのは言っておこうか」


それはもはやミアを跡取りにする気満々だという宣言でもあった。

それに対して頭を回転させて基本的には面倒事を回避したいトウカは


「純血の血筋って、どうなんです?」


苦し紛れにそう言った。

現にサングィス家は唯一純血を保ち続けている家系である、この切り返しはかなりいい線を行っていると思ったトウカの発言、それを


「え?そんなこと?」


他の家のものが聞けば大慌てしたであろう話題、それをレオンは、サングィス家現当主レオンはそう軽く流した。

正直どうでもいいと語る彼の表情からは嘘が微塵も感じられなかった。


「ま、君のことを見たかったから今日の仕事を蹴ってあの子に頼んでここに来たんだけどね」


そう言いレオンはインカムのマイクを入れると


「こっちは準備完了だよ」


そうマイクに言ったと思うとマイクに拾われないほど小さくトウカの耳元に


「俺に力を見せてみろ、それでどうするか決めてやるから」


そう囁くと離れて


「私に仕事を奪われないようにね」


そのすぐ後に『じゃあ、作戦開始』と言う店長の声と同時にトウカは地面を蹴りレオンはマントを翼に戻し空に舞う。

少し奥に入ると数十体ものナニカがトウカの視界に収められた。

トウカは目の前に現れた右手の形をしたナニカを真上に蹴り飛ばした。

ナニカが蹴り飛ばされた方向にはレオンが翼をはためかせて飛んでいた。

飛ばされてきたナニカを見るとため息を一つ、己の手首を噛むと手首から流れ出た血を操りダガーに形を変えさせ、ダガーをナニカへと投げる。

投げられたダガーは正確無比に右手のナニカの核を貫いた。

それだけにと留まらず右手のナニカの核を破壊させた上でナニカの体を貫きその延長線上にいた地を這うトカゲのようなナニカの核すらも貫き地面に突き刺さってようやく止まった。


「トウカ…ね、面白い考え方をしてるな」


するとレオンは自分の血からツヴァイヘンダーを形成すると。


「ほら、トウカ、コレでナニカを殺っていいよ」


と言いトウカの足元に突き刺さるようにツヴァイヘンダーを投げる。

狙い通り、走るトウカの足元に突き刺さったそれをトウカは引き抜くとツヴァイヘンダーに水を滴らせ勢いよく振るった。


 「原初の海プレモディアルオーシャン


飛び散る水を操作し硬さはそれなりに飛び散る勢いは数十倍になった水滴は墓石よりも身長が高いナニカ達の頭部や腕、胴体などを破壊した。


「俺は別に剣を使えるってわけじゃないんですけどね」


「そうなのかい?ならソレはなくてもいいかな?」


その言葉と共にトウカの持つツヴァイヘンダーはただの血となり地面に落ちた。

血に塗れたトウカの手を見て


「どうする?私がその血を取ってあげようか?」


「いいえ、それには及びませんよ」


そしてトウカの腕は血によって生み出されたガントレットに覆われた。


「いいね、面白い」


ご褒美に君の仕事を減らしてあげようと言うとレオンは地面に舞い降り、手を地面に押し当てる、その手から凄まじい速さで地面の上を血が埋めていき、地面から血の槍が出現、半径30mほどにいたナニカ達は無慈悲に襲いかかる槍に貫かれ核を貫かれる、または体を固定され動けなくなっていた。


「さて、トウカ君、君にアレは倒せるのかな」


その言葉と同時に空気が変わった、2人が知る由もないことだがそのときコウジはコクと接敵していた。

その圧が真反対の2人のところまで襲いかかったのだ。

それに呼応するように生きていたナニカも核を貫かれ砕けたナニカも桜の根に吸収されることでコクの時と同じように新しいナニカが産まれようとしていた。

ナニカの体は美しかった、かつてないほど、ここ数年間で様々なナニカを見てきたトウカも、この数分間で何十というナニカを倒したレオンも、それが異常なモノだと理解した。

それもそのはず、そのナニカの元となったのはトウカとレオンだったのだから。

2人ともそこらのアイドル顔負けのイケメンかつ器量も良い、そんな2人の顔面偏差値を足してそのままにしたような顔かつ服装も和風の剣士のようで、洋風の貴族のような変わった、けれどなぜか目を引く衣装を身に纏っていた。

そしてその身から発せられる圧力、純然たる暴力の波動は一瞬とは言え歴戦の猛者であるトウカとレオンを硬直させるに至った。

最初に動いたのは、ナニカだったありえない体勢、ありえない角度から放たれた渾身の拳、それは一つの命を終わらすには、充分すぎた。

トウカが狙われていたらトウカは命を儚く散らせていただろう、ソレを。

レオンは片腕を犠牲にして受け止めた。

レオンの左腕は肩から下は吹き飛んでおり、血をダラダラと溢し続けている。

それをレオンは一喝、力を込めて血で新たな腕を生やすとナニカを右の拳で力一杯殴りつけ吹き飛ばす。


「いやぁ、これじゃあ当分は全然復帰は無理かもね、トウカ君、耐えてね」


その顔はいつものおちゃらけた顔ではなく、真剣そのものであった。

先程までは1人ではなかったトウカはその瞬間、終わりの見えない孤独の戦いに挑むこととなったのだった。

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