夜と朝と研究結果
これは、現在より遥か昔の物語、あるとき夢を叶える妖精と夢を喰らう妖怪は永き恋の末結ばれた、しかし2人の間には子が生まれなかった、幾星霜の時が流れついに代替わりの時となった、2人は最期に子の代わりとして2人の妖精と妖怪の力を使い願いを叶える木を生み出した――
演目 人妖町記 第弐章 『人妖桜』より抜粋
それは店長が獅子蝙蝠のナニカを撃退した日の夜。
妖怪の子供達が家に帰り、お客さんも来なくなる深夜、店長の連絡で万屋【閻魔】を今日は少し早めに閉店して店長の書斎に4人は集まった。
「今日はお疲れ様、4人には急な話になるんだけどね」
そう言うと店長は新しめの封筒を取り出して机の上に置く。
「コレは白澤が調べてくれていたナニカについての報告書なんだけど」
すると店長は4人に報告書を見せる。
トウカ、コウジ、ソータ、リトオの4人はまじまじとその数枚の報告書を見る。
その中に書かれていたのは
1 核のの組成は妖怪の代替わりの際に発生する宝玉に近しいものである
2 核の力の源は人妖町の中心にそびえ立つ桜である
3 桜の根は桜の側を囲む墓地の死体から何かしらのものを抜き取っている
4 桜を切り倒し、根の働きを完全にとめることができればナニカはもう2度と現れることはないと思われる
5 桜を切り倒したとしても不都合が生まれる可能性は限りなく低い
大まかにはこの5つの事柄が記されていた。
それを読み終えるとトウカが一番最初に口を開いた。
「で、店長がコレを俺たちに見せるってことは?」
店長は少し微笑むと
「君たち4人にあの桜の木を切り倒してほしい」
「おいおい、店長、俺たちが切り倒しに行くのはいいが店長は何をするんだ?」
そう聞くコウジに
「私はこの町に現れる可能性のあるナニカの撃退に力を注ぐよ」
と答えた店長の言葉は自信に満ちていた。
「ならいいけど、どうやって切り倒しに行くの?」
まさか僕達一緒に同じ方向から突撃しろとは言わないよね?そうつづけるソータの顔は少し引きつっていた。
こういう時にそういった事をするのが店長だと知っているからこそだ
「大丈夫だよ、今回はそれぞれ好きな方角から4方向で攻めてもらうことになってるから」
「じゃあ、俺は東を」
「そうだな、なら俺は西だ」
「うん、なら僕は南だね」
「だったら俺は北だね」
そういうことで
トウカが東
コウジが西
ソータが南
リトオが北から桜を切り倒しに行くことに決まった。
「決まったね、決行日は翌日、早朝より開始だからね、しっかり休みなよ」
そして決まった場所に、それぞれが配置し終えたのが早朝のことだった。




