表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

188/208

181覗き見る者(リア)

 

「ねぇ、ダン?、どう思う?」

「おい、リア、どう思うって何をさ。」

「何って、あの二人に決まってるじゃないの。」

「おいおい、覗き見は良くねえぞ。」

「いいのよ。だってこんな面白いもの滅多に見れないじゃない。ねぇ、妖精さんはどう思う?」

「やっとなのですよ。もう、いい加減待ちくたびれたのです。」

「あらやだ、妖精さん、にやけちゃって、まぁ、はしたないこと。」

「そりゃ、こんなもの見れればにやけるのですよ。タツヤと出会って、まぁ、結構時間は経つのですけど、やっとここまで来たのですよ。そりゃ、過去に何度もつらい経験を繰り返していれば、自信がなくなるのもわかるのです。」

「そうよね。」


 妖精さんは、あたしの肩に上に乗りながら足をブラブラさせています。

 ダンも一緒に連れてきたのだけど、ダンは興味なさそうね。

 ちょうどここに来るときに、タツヤと霞さんの二人の後ろの跡をつけている妖精さんを見かけたのよ。それで、そっと声をかけてみたのよ。


 自信喪失ね。そうよね。

 あたしはこれでもバンパイヤと呼ばれる種族、人間とは勘が鋭いのよ。

 きっと、タツヤはずっとずっと、苦労を続けてきたのでしょう。辛い辛い日々を送ってきて、いろんなものに自信をなくしたのでしょうね。

 でも、霞と出会って、だんだん変わっているような気がするのよね。


 最初はね、本当に無口で、何もしゃべらず、ただ、「地図を売りたい。」と言ってきたのよ。

 今では、変わったわ。人よりはあまりしゃべらないようだけど、それでも、昔よりは話をするようにになったわね。


 きっと、いろいろと辛いことがあって、あんな風に暗い場所に閉じこもったような人なってしまったのだろうけど、霞さんとの出会いが、きっと彼を日の当たる場所に出してくれたのでしょうね。


 あたしにタツヤに何があったかはわからない。けど、なんとなくだけど、彼の視線が前向きになってる気がするわ。


 それにしても、タツヤもよくぞこんな所を見つけたものね。ラビリンスのすぐ近くに、こんなに綺麗な場所があるなんて知らなかったわ。


 どこに行ってたのか知らないけれど、こないだ久しぶりにタツヤがラビリンスに戻ってきたのよ。

 けど、な~んか、どこかよそよそしいのよねぇ、と思って跡をついてきたら大当たり、っていうことかしら。


「妖精さん、『シーッ』、よ。こういうのはね、そっとしてあげるのよ。誰も見てない状況を作ってあげれば、もっと面白いのが見れるのものなのよ。」

「さすが、リアなのです。」

「まぁ、これも年の功ね。」


 と小さな声で妖精さんに話しかけるのです。


「何が、年の功だよ。恋バナ好きの覗き見おばさんじゃないか。…痛っ。」


 なんかダンが言ってるので耳をつねっておくのです。

 そんなこんなしているうちに、キャー、タツヤ。タツヤがついに!!!

 思わず、両手で顔を隠したくなってしまいますが、


「妖精さん!」

「リア!」


 あたしは妖精さんの手を互いに取り、力が入ります。


 あら?

 まぁ、これは。


「ふふ。」


 つい、あたしは微笑んでしまいましたよ。


 ………。


「ダン、妖精さん。お店に帰りましょう。」

「リア、ぐふふふ。これからなのですよ。」

「妖精さん、いいのよ。少しは二人だけにしてあげましょう。」


 さすがに、あたしも常識はありますよ。あたしは二人だけにさせてあげるのです。


「おい、おい、お店に帰ろうって、そもそも、覗くようなもんじゃないだろ。」

「いいのよ。そこに辿りつくまで楽しいんじゃないの。」


 帰り道、あたしは、心の中でそっとつぶやきます。


 タツヤ、良かったわね。あなたのこれまでの転生が報われたじゃないの。


「ねぇ、ダン、あの二人って結構、行けそうじゃない?」

「知らんさ。まぁ、どうなろうが俺はただ傍観するだけさ。」

「ふふふ。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ