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182その後……(タツヤ)

 

「ねぇ、見て、レッドダイヤ、こんなに大きいわよ。」

「おい、霞。大きいのはいいけれど、持って帰れないだろ。」


 霞は、どう見ても独りでは持てないような巨大なレッドダイヤを抱えている。本気でこれを持って帰るというのだろうか。


 ここはグローリーホールの地底。ここには高価な天然のレッドダイヤがニョキニョキと生えている。

 それからというもの、霞がいい儲け話があるからというので、話を聞いてみたらこれだ。

 俺と、霞、そして、アリエルとで、グローリーホールの底に来ては、レッドダイヤをを回収して大儲けをしていた。ガッポガッポさ。


 おかげで、お金もたんまりで、十分生活できるほどの資金は手に入った。今は、霞と、一匹の羽虫のペットと、ゆったりとスローライフ的な感じでのんびりと生活を満喫している。


 霞と少し話をしているのだが、うちらが住んでいるのは、Dランク冒険者向けの安マンションだ。十分なお金を稼げたところで、少し値のはるお高いセレブ向けのマンションに切り替えてもいいのではという話もしている。


 なにせ、こんな場所に来れるのはラビリンスでは、俺たちぐらいのものさ。

 どうやら、RGF社もずっとグローリーホールの開発をしているようだが、あの調子では無理だろう。


「よし、そんじゃ帰るか。」

「そうね。帰りましょうか。」


 と、霞は、俺の担いでいるカゴの倍ぐらいの巨大なカゴにたんまりレッドダイヤを背負っている。


「よし、アリエル、頼むぞ。いいか、お願いだから頼むぞ。いいな、わかってるな。」

「はいよ~なのさ。」


 帰るのに、今は、グローリーホールの大穴を登り返している。

 グローリーホールの壁に、途中で魔力切れになっても休憩できるように、休憩できる足場を作っておいた。岩盤が固いので最初は結構苦労したが、作ってしまえば、後は楽だ。そこで、アリエルに気を吸わせて休憩し、再度、このグローリーホールを登り返すのだ。


 ただ、あれだ。難点はアリエルに気を吸わせる必要があること。


「では、いただきまーす!」


 といって、アリエルは親指に吸いつくが、すぐに


 バシン!!


 といって途中で止めさせる。でないと、美味しいとか言って、この虫はずっと吸いつくのだ。まるでヒルだな。


「痛いのです。」

「十分、吸っただろうが。」


 こんな感じで俺たちは、ダイヤの収穫と称しては、毎月、ガッポガッポ儲けていたのだ。


 ―――


「タツヤか。久しぶりだな。」


 グローリーホールを抜け、ラビリンスの街へ戻ると、後ろから声をかけられた。

 振り向くが……、果て、誰だったか?


「俺だ!、グレゴリーだ。そんな、誰だったっけか?みたいな顔すんな。」

「あぁ……、グレゴリーか。」


 そして、グレゴリーの後ろからもう一人赤髪の女性が出てきた。朱音だ。


「タツヤさん、霞さん、お久しぶりです。」(あと妖精さんも…。)


 一応、妖精のほうは人から見えないことにしているが、朱音に見えるのだろう。小声でアリエルに挨拶する。

 朱音はちゃんと覚えていたぞ。女性の顔は忘れないのだ。


「久しぶりだな。グレゴリーは地上を目指していたっていう話だが、朱音がいるということは…。」

「あぁ、そうだ。地上に行くことができたさ。それに、天空未来都市、ノヴァリスにも行けたし、朱音やベベルゼルドたちにも会うことができたさ。」

「そうか、良かったな。」

「リアの店で売っている地図だが、あんた、タツヤが作ったのか?」

「あぁ、そうだが。」


 レッドダイヤのおかげで懐は温かくなったわけだが、地図調査も引き続きやっている。

 リアからは収入はもらっているけども、レッドダイヤの収入に比べれば微々たるもの。

 まぁ、趣味だな。


「まったく、あんたの地図があれば、あんな苦労はしなかったんだがな。俺が出発する前にぜひ作ってほしかったもんだぜ。」

「まぁ、こっちにもいろいろ都合はあるのさ。そんでどうしたのさ。」

「たまには、こっちにも戻ってみるかと思ってな。それとな、ノヴァリスから少しいい話があるんだ。」

「いい話?」

「あぁ、交易の話さ。ラビリンスもノヴァリスも互いにあの戦禍を潜り抜けた者が作った街。互いに欲しいものがあるんじゃないかってな。その話をラビリンスの自治政府様に持ってきたのさ。」

「ふーん、そうか。あんたも元気にやっててよかったさ。」

「あんたもな。それによ、嬢ちゃん、今日も綺麗じゃないか。」

「あらやだ。そんな綺麗なんて。」


 と、後ろで霞が体をやたらにくねくねさせていた。


 そんなこんなでグレゴリーに朱音とも久しぶりに会うことができた。


「そんじゃ、俺たちは先に行くぜ。じゃあな。」

「タツヤさん、霞さん、しばらく、ラビリンスにいるのでお茶でもしましょう。」

「あぁ、構わないさ。」


 これが、俺たちの日常。なんて平和な世界だ。

 少し裕福で、平和で、のんびりと時間だけが経過していく。

 こうして、改めてみると、本当に今回の転生は恵まれている。

 霞がいる。妖精がいる。グレゴリーに、朱音、ベベルゼルドたちもいる。こんなに恵まれた転生は初めてだろう。


 幸せだ。毎日が楽しい。

 この世界へと転生できて本当に良かった。霞と出会えて本当に良かったと思う。


 毎日が楽しい、なんて感情、転生して初めてだろう


「霞、家に帰るか。」

「そうね。」

「そうなのです。」

「おぃ、アリエル、お前には聞いてないぞ。」

「ヒドイのです。」


 そんな感じで、隣に霞、肩にアリエルを乗せて、楽しそうに俺たちは家路へと戻った。

 こんな日々が続くことを切に願いたい。

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