162その後…グローリーホールの底にて(タツヤ)
「ねぇ、見て、レッドダイヤ、こんなに大きいわよ。」
「おい、霞。大きいのはいいけれど、持って帰れないだろ。」
霞は、どう見ても独りでは持てないような巨大なレッドダイヤを抱えている。本気でこれを持って帰るというのだろうか。
ここはグローリーホールの底。ここには高価な天然のレッドダイヤがニョキニョキと生えている。俺と、霞、そして、アリエルとで、グローリーホールの底に来ては、レッドダイヤをを回収して大儲けをしていた。ガッポガッポさ。
毎回、グローリーホールの底に来るのも相当の労力がいるし、毎回持ち帰ったところで、そんなに都合よく買い取りたいという人もいないので、月に1回程度、こうして、グローリーホールの底に来ては、レッドダイヤの採取に来ている。それでも、一度売れてしまえば、高額紙幣の札束が定規で十分厚みを測れるぐらいの金額が手元に入って来る。十分にガッポガッポだ。
おかげで、お金もたんまりで、十分生活できるほどの資金は手に入った。今は、ゆったりとスローライフ的な感じでのんびりと生活を満喫している。
霞とは少し話をしているが、うちらが住んでいるのは、Dランク冒険者向けの安マンションだ。少し、お高いセレブ向けのマンションに切り替えてもいいのではという話もしている。
なにせ、こんな場所に来れるのはラビリンスでは、俺たちぐらいのものさ。
どうやら、RGF社もずっとグローリーホールの開発をしているようだが、あの調子ではあと百年かかっても無理だろう。
ふと、近くでポカンと空を飛んでいる妖精がいる。どうやら、このグローリーホールのそこにある城を見つめているようだ。
「アリエル、アイギスが恋しいのか?」
「そんなわけないのです。」
このグローリーホールの底には、逆さ45度ぐらいに建っている城がある。自称最高血種の姫、アイギスの城。
だけども、こないだ久しぶりに城を訪れたが、アイギスはいなかった。宝物庫も見たが中は空っぽ。
アイギスはどこに行ったのか不明。城は今は完全に空っぽの状態。
ただの巨大オブジェと化していた。一体、アイギスはどこに行ったというのか。
「よし、そんじゃ帰るか。」
「そうね。帰りましょうか。」
と、霞は、俺の担いでいるカゴの倍ぐらいの巨大なカゴにたんまりレッドダイヤを背負っている。
普段、買い物などで、付き合わされることもがあるのだが、重たいものを買うと、すぐに俺に、「持って」と言ってくる癖して、金目のものとなるとまるで違う。どこからそんなパワーが出てくるのか。
「よし、アリエル、頼むぞ。いいか、お願いだから頼むぞ。いいな、わかってるな。」
「はいよ~なのさ。」
帰るのに、今は、グローリーホールの大穴を登り返している。この先に行けば、アースホールという穴があり、そこには時空間の歪みが生じているので、それを利用して戻るというのもあるが、行くまでにいろいろと課題がある。
場所によって重力の方向が変わるので、ひどく酔ったり、強烈な眠気に襲われたり、とにかくあの場所は気を強く思っていないと気軽には行ける場所ではない。
それよりかは、グローリーホールの壁に、途中で魔力切れになっても休憩できるように、休憩できる足場を作っておいた。岩盤が固いので最初は結構苦労したが、作ってしまえば、後は楽だ。そこで、アリエルに気を吸わせて休憩し、再度、このグローリーホールを登り返す。
そのほうが、アースホールを経由するよりも、遥かに簡単に戻れる。
ただ、あれだ。難点はアリエルに気を吸わせる必要があること。
「では、いただきまーす!」
といって、アリエルは親指に吸いつくが、すぐに
バシン!!
といって途中で止めさせる。でないと、美味しいとか言って、この虫はずっと吸いつく。まるでヒルだな。
「痛いのです。」
「十分、吸っただろうが。」
こんな感じで俺たちは、ダイヤの収穫と称しては、毎月、ガッポガッポ儲けていた。




