161覗き見る者(リア)
タツヤ、甘いわね。
妖精さんがいないからってスキをみせるなんて、まだまだ甘ちゃんよ。
あたしが、こんな面白いものを見逃すわけがないじゃないの。
妖精さんも残念ね。こんな面白いものを見逃すなんてね。
妖精さんが見逃しても、あたしは決して見逃さないわ。そこに、面白イベントがある限りね。
「ねぇ、ダン?どう思う?」
「おい、リア、どう思うって何をさ。」
「何って、あの二人に決まってるじゃないの。」
「おいおい、覗き見は良くねえぞ。」
「いいのよ。だってこんな面白いもの滅多に見れないじゃない。」
それにしても、タツヤもよくぞこんな所を見つけたものね。ラビリンスのすぐ近くに、こんなに綺麗な場所があるなんて知らなかったわ。
なるほど、そういうことなのね。
こないだダンがタツヤをあたしの店に連れてきたのだけど、どうしてあんなに荒んでいたのかわかった気がしたわ。
タツヤ、やはり、あなたは転生をしていたのね。
だって、ラビリンスでのアイギスとの戦いのときに、タツヤの戦い方を見ていたわ。アイギスを相手にあんなにスゴイ技を繰り出すことなんて、普通の人間風情には出来ないわ。
何度も、何度も、転生しているという話じゃない。
人間の寿命なんてせいぜい、良くて100年。悪ければあっという間。
霞さんも言っていたけれど、仮に50年の寿命を1万回繰り返して、50万年という年月。
ちょうどバンパイヤが猿人という形で、人間という種族を生み出したのも50万年程前。
それと同じぐらいの年月を、あなたは、過ごしたというの?
しかも、誰にも相手にされず、ひたすらに孤独に戦いに明け暮れた毎日だったっていうじゃないの。
辛いわね。
誰も話し相手がいないって、本当に辛いわのよ。と、あたしはダンを少し見る。
「うん?どうした?」
「なんでもないの。」
あらあら、霞さんも「勘違いしないでよね。」ってツンデレキャラじゃないの。少し赤くなちゃって。
「あら、もうこれで終わりなの。つまらないわね。」
「つまらないって、二人の邪魔するなよ。」
「二人の邪魔なんかしないわよ。むしろ、二人の距離が縮まって、二人の手が触れ合い、そして、さらに距離が縮んで、最後はブチュッ、っていうのが見たいんじゃないの。」
「…こりゃダメだな。」
「長く生きているとね、ちょっとしたイベントが欲しくなるものなのよ。あなたも、そうじゃなくて?」
「だからって、おれは覗き見なんてしないさ。ただ、長く生きていると、そんな歴史的な瞬間を目撃することが多いだけ。おれは、ただ、それを傍観するだけさ。」
「何よ。謙遜しちゃって。」
肝心の二人だけど、もう帰ろうとしているわ。
せめて、手でも繋いで仲良く帰って欲しいものって思ったけれど、これは、まだまだ時間がかかりそうね。
「ねえ?あの二人って意外と行けそうじゃない?」
「知らんさ。まぁ、どうなろうが俺はただ傍観するだけさ。」
「ふふふ。」




