144粗大ごみ(アリエル)
あたしは妖精アリエル。可憐な妖精です。
ある日、目を覚ませば、そこにあったはずの妖精の村がなくなってました。
以前から引っ越すという噂はあったのだけれど、まさか、この可憐なあたしを置いて引っ越すとは許せんのです。
そして、代わりに出会ったのが、このタツヤという人間の男なのです。
最初は、この男、妖精という麗しい存在を決して認めず、この可憐なあたしを魔獣扱いする始末。
話を聞いていると、人間たちは、グローリーホールの奥の世界までは知らないようなのです。
そこで、なんだかんだ、いろいろあったわけなのだけれど、妖精の村を探す代わりに、グローリーホールの奥まで案内してあげるという、約束をしてあげたわけなのですよ。
そして、いろいろあったわけなのだけれど、グローリーホールを超えたどころではなく、さらにその先のアースホールまで辿り着き、地球の中心にあるこの時間と空間の歪んだ世界から、ノヴァリスっていう街にまで辿り着いたのです。
そして、ついに見つけたのです。あの日、ふとを目を覚ませば、なくなっていたあたしの村、妖精の村。
こんなところに引っ越していたのです。
しかも、セシリーは、全部あのときのことを知っているようなのです。
くそ妖精セシリーなのです。
まぁ、ともかく、これであたしの妖精の村探しは任務完了、というわけなのです。
ところが、、、くそ妖精セシリーが、怒られて意気消沈しながら村に帰ろうとするとき、ざまー見ろ、なのですが、
「忘れ物だ。」
といって、タツヤがあたしを男が指さすのです!
「そこの粗大ごみも一緒に持って帰ってくれ。」
「……。へっ、あたし?」
っていうか、あたし、粗大ごみじゃないし。
「アリエル、良かったな。妖精の村を探していたんだろ。引き取ってもらえ。」
ちょっと待つのです。確かにあたしは、妖精の村を探してはいましたよ。
けどね、今は霞さんが、タツヤの探していた人かどうか、という超面白い局面なのです。
そんな局面で、はい、わかりました、って帰れるわけないのです。
なので、あたしの答えは出ているのも当然なのです。
「却下。」
「却下じゃねぇ、って。てか、お前も妖精の村を探していたんだろ。ちょうどいいから連れてってもらえよ。おい、セシリー、、、?、、、なんか、すっごい嫌そうな顔。。。」
「引き取ってもいいけど、金よ、金。」
セシリーは超がつくほどイタズラ好きで、ガメツイのです。お金を巻き上げられるならば、ここぞとばかりにお金を巻き上げに来るのですが、この超がつくほど美しい妖精のあたしを引き取るのにお金ですと、ちょっと解せんのです。
なのですが、、、
「タツヤ!、どうせ、また、勇気が出せずに貴重なチャンスを逃すんでしょうが?このクズ虫弱虫が。あたしが一緒に行ってあげて背中を押してあげると言ってるのです。」
「はぁ?」
「どうせ、いつものことなのです。アースホールに戻って、霞の真実を探るとか言っているけども、どうせ、最後の一歩が踏み出せないに決まってるのです。ギルド裏でも、アイギスの城での夜も、こないだの夜の甲板の上でも、キレイ事言ってる割には、いつもへっぴり腰なのです。」
「はぁ??ちょっと待て、てか、ギルド裏は聞いたが、何でアイギスの城での夜の話とか、甲板の上、とか何で知ってんだよ!?」
とタツヤ、オッサンのわりには顔を真っ赤にしています。
「そりゃ、朱音さんとか、アイギスと一緒に覗いていたからなのです。」
とタツヤは朱音のほうを振り向く。
「てへっ。」
と朱音は舌を出しているけれど、、、、
「お、おい、妖精!やってくれたな。覚悟は出来てるだろうな。」
と顔を真っ赤にしているタツヤ。でも、どうせいつものことなのです。どこかで、タツヤは逃げ出すに決まってるのです。だから、妖精はタツヤの正面に立って言ってやります。
「覚悟もなにも、できてないのはそっちのほうでしょ。この弱虫が。どうせ口だけで、いつものように逃げ出すのです。」
そんなときに、霞さんが入ってくれました。
「まぁ、いいじゃないの。アリエルちゃんも、ずっと一緒に来てくれたんだし。一緒に行きましょうよ。そこのセシリーとかいう虫は許さないけど。」
セシリーはなんか怯えているようなのですけど、さすが、霞さん、わかっているのです。
あたしは霞さんの頭の上にちょこんと座るのです。
「ふっふう。さすが、霞さんなのです。ちゃんとあたしが最後まで見届けるのです。」
―――
そのあとは、セシリーは霞さんにびくびくしながら帰っていったのです。
セシリーと別れる直前のこと。セシリーがあたしに何か言ってきたのです。
「ねぇ、ちょっと、あの霞とタツヤってどんな関係なのよ?ちょっと教えなさいよ。」
「カクカクシカジカで、これから、カクカクシカジカなのですよ。」
「ちょっと、アリエル!それ、面白すぎじゃない!イタズラなんてしてる場合なんかじゃないじゃないじゃない。」
「クックックッ。今頃気づいたか。このくそ妖精。」
「ちょっと、あとで詳細教えなさいよね!」




