131雄大な大海原と大空原へ(ベベルゼルド)
少し、俺たちのこれまでの活動を話そうと思うんだ。
俺たちは真の冒険者だ。そこに冒険があるなら、トコトン冒険する。それが俺たち冒険者のモットーだ。
そう、俺たちは、仲間を募って、あのとき地下へ地下へと、あの大穴の最深部を目指していたんだ。
そして、到達した先は、グローリーホールの地底の世界、そこで、大量のレッドダイヤに、逆さに建っている城を見つけたんだ。だがな、そこがこの大穴の地底じゃなかったんだ。
その先で俺たちが見つけたのはグローリーホールと似たような巨大な大穴。だが、グローリーホールとは少し違う。重力が歪んでいるかせいか、大穴は大きく歪んで曲がり、その最奥は漆黒ではなくて、黄色、青色といった色でカラフルな世界がまるでオーロラが空を覆いつくしたように、次々にと、色を変えていく。不思議な穴。
当然、俺たちは進んださ。
戻る方法がなかったというのもある。だけどな、それ以上に、ここまで来て、まさか引く訳がないだろ。ここまで来たらトコトン突き進むっていうのが冒険者ってもんだろう。
まぁ、それで突っ込んだのはいいが、段々と意識は混沌とし、強烈な眠気に襲われたさ。みんな完全に寝ちまいそうだったさ。けどよ、俺たち三人だけは意地でも意識を保たねぇとならねぇって思ったのさ。魔女が寝ちまいそうだったから思いっきりぶっ叩いて起こしてやったさ。セイイチが若干ドン引きしてたけどな。
でもよ、そのうち、すべてが暗闇の世界に辿り着いたんだが、そこに、いろんな白い球体が現れたんだ。その球体が近づいてくると、不思議といろんな世界が見えてくるんだ。もしかしたら、これはどこか別の世界、その世界に行けるんじゃねぇかって考えたんだよ。
そこによ、青くて懐かしい世界が見えたんだ。おそらくは地上の世界、だけど、俺らの知っている地上の世界とは少し違ったんだ。
地上には人なんていないはずだった。だがな、その世界には人がいたんだ。まさかとは思ったけどな、あの人間の滅びた地上の世界を生き延びた人間がいたんじゃねぇかって直感で感じたんだ。やつらは自ら船を作り、海を渡ってたさ。
その光景だけでも、生き延びた人がいたというだけで、驚きの光景だったんだがな、けどな、、、次の光景は、今も忘れもしねぇ。それを見て、俺たちは、震えあがちまったさ。
……人を乗せた船が空を飛んでいた…。
信じられるか?人を乗せた船が空を飛んでいたんだぜ?
で、俺たちは願ったんだよ。
「もう一度、人が空を飛んでいるこの世界で大冒険がしてぇってな。」
するとよ、不思議なことに気づいたら、その場所にいたのさ。
眼下に広がるのは青い海、緑の広がる大地。そこは、間違いなく地上だった。
ただな、現れた場所が遥か空の上でよ、そこからみんな海面にむかって真っ逆さまさよ。
ははは。
しかも、こういういのはいつも魔女の魔術でなんとかなっていたんだが、不思議なことになぜか魔術がやたらに弱くなっていてよ。まぁ、なんとかなったんだが、もう、大変だったわ。
どうやら地上だと、魔術というのは弱まるらしいな。
そのあとは、昔、港だった場所に行って、廃船を見つけてよ。何とか使えるように修理したのさ。
廃船といっても、かなりの年月が建っているから、もはや、フジツボに貝に、いろんなもんがこびりついて岩みたいになっていたさ。修理するにも、知識があるやつなんていねぇからとんでもねぇ労力がかかったさ。
だがな、俺たちはやると言ったからにはやる。
時間はかかった。時間はかかったけども、俺たちはやり切ったんだ。
俺たちの修理した船が海に浮かんだ。
それだけでも感動もんだったんだぜ。みんで抱き合いながら、その日はお祭り騒ぎだったさ。
だけどな、俺たちが見たのは空を飛ぶ船だったんだ。海に浮かぶ船じゃねぇ。
俺たちは海を航海しながら、あの空飛ぶ船を探し回ったさ。そして、ついに、見つけた。。。
地上はな、戦禍で人が住めるような状況ではなかったはずだった。
だけど、いたんだ。俺たちは洞窟へと逃げのび、そして地下にラビリンスという新しい都市を創ったように、この人たちも、あの過酷な戦禍を何とかして生き残り、新たな街を創っていた。
それも、地上ではなく空の上にだ!
――――天空未来都市、ノヴァリス。
新たな始まりを意味する言葉:Nova。
そこから名付けられた、地上を生き延びた勇敢な人々が作った街、そして、空の上に浮かぶ夢と希望の街。
俺たちは航行しているうちに、そこの住人と出会い、その天空未来都市に招き入れてもらえたのさ。
まぁ、そこでもいろいろとあったんだが、その街の技術者に会ってな、俺たちの船を空を飛べるように改造してもらったのさ。
今度、時間があればのんびりその辺りの話でもしよう。
もう、戦争は終わった。地上には戦禍だけが残った。Novaという言葉は生き延びた人々の想いを込めた、新しい始まり、という意味を込めた街。一方で、世界には、他にも生き延びた人たちもいるらしい。だけど、必ずしもいい人たちだけとは限らないんだとさ。
中には賊として、人から略奪して活動している盗賊集団があるんだとか。空賊とか呼ばれていた。
簡単に言えば、それに協力する条件で、改造してもらったのさ。
そして、今、俺たちはちょうどその賊を追っていたところだったというわけよ。




