125幕間:地上への帰還(グレゴリー)
ここは、巨大地下迷宮都市ラビリンス。
ここでは、多くの冒険者たちが地下を目指す。
なぜ、地上を目指すのかって?そりゃ、地下には金になる資源があるからさ。ラビリンスより地上側で発掘するやつなんてのはまずいない。
だからよ、人がこのラビリンスに移住して以降、地上側への洞穴には誰も足を踏み入れてないらしい。自然のままの洞穴がそのまま残っている。
だからよ。見てみろよ。この光景をよ。
みんな泥だらけで真っ黒けだ。
「よう、グレゴリー、泥だらけじゃねぇか。」
「ふん、お前らもな。」
みんな、顔も服も髪も、鞄も全部、真っ黒だ。
ラビリンスから下へ向かう洞穴は絶えず人が多いし、狭いところは人が通りやすいように造成工事もされている。
だから、こんなに泥だらけになんてなることなんて、そう滅多にはないんだがな。
だが、こっちは人がラビリンスへ移住して以降、誰も手をつけてない自然のままの洞穴。泥もたまっているし、匍匐前進でしか進めないところもなんてのも沢山ある。
さて、ラビリンスを出てから何日が経過するか。
まさか、ここまで泥だらけになるとは想定外だったが、こうして、泥だらけになりながら、もう1週間じゃねぇだろうか。
ラビリンスにいれば時計台が時間を知らせてくれるが、こうもアグレッシブな洞穴を攻略していると、時間の感覚が完全に狂っちまう。
ともかく、今はラビリンスから洞穴を地上方向へと登り、泥だけになりながらやっと、休憩できそうな大きなホールに達したんだ。そこで、この大隊を休憩させているってわけだ。
俺はな、あの日、広場で地上を目指すって言ったのさ。その翌日のことだ。
まさか人なんて集まるわけぇって思ってたさ。集まったところでせいぜい、2,3人がいいとろじゃねぇかと。けどよ、目の前にいる集団はなんだよ。俺は思わず、祭りでもやるのかって思っちまったぜ。
これまでパーティを組むことはあったが、どんなに多くても20人ぐらいだったさ。それが、これだ。
まさかのとんでもない大隊になっちまった。
こんだけ人がいれば、いろんな奴がいるさ。男も女も、老人にまだ子供と見間違えるほど若いやつ。
Aランクの冒険者もいれば、魔術の使えないDランクのやつもいる。
昔の自分なら、老人に子供に見えそうなほど若いやつや、Dランクのやつは問答無用で切り捨てるとでも言っただろうな。
だた、俺はDランクでありながらも、とんでもねぇ実力を持った奴を見ちまったんだ。
だとすれば、あらゆる可能性を考えなければなんねぇだろうな。
あくまで自己責任ということ、そして、何が起きるかわからねぇ。それでも地上を目指したいとう奴は来い、ということで、こんな大隊になっちまった。
みんな、それぞれに想いがあるらしい。若いやつは、地上なんて知らねぇ。俺ですら、このラビリンスで生まれたんだ。だから、地上を一目見たいというやつ。老人は逆だ。昔のあの頃を世界に戻りたい。空、海、山を死ぬ前をもう一度見ておきたい、というやつが多い。
みんな、それぞれの想いに、夢を載せちまった奴らだ。
ただな、実際にランクはあまり関係ねぇかもしれねぇな。
気のせいかもしれないが、さっきから魔術の強さがラビリンスを離れれば、離れるほど弱くなっている気がすんだよな。
昔、地上に人がいたころは、魔術なんてのはなかった。もしかすると、この地下深くの場所でしか使えない代物なのかもしれねぇ。
さて、とりあえず、後先考えず、ここまで来れたが、あとどんだけかかることか。地上に出れるまで1か月と見込んだ。それを見越して、食料とかの補給を備えてきたが、先はまったく見えない。
集まった老人の中には、かつて、この場所を覚えているという者もいるが、もはや遥か昔のこと。記憶は薄れているし、崩落も起きて当時とは大きく変わってしまっているところもあるらしい。
まぁ、ほぼ、未知の領域へと探索するようなもんだ。
それが、冒険の醍醐味というやつかもしれないけどな。
俺たちに今できることは、とにかく上へ進むのみ。それだけさ。




