124アースホールのほとりの手紙(朱音)
あたしは、次の手紙へと紙をめくります。
次の手紙は、やたらに字の汚い手紙でした。
でも、、、
ドクン!ドクン!ドクン!ドクドクドクン!
めくった瞬間に、なぜか胸の鼓動が鳴りやみません。
彼は、ですね、字が汚いのです。殴り書きのような文字。でも、それは、確かに現代の文字であって、かつて、見慣れた筆跡もあるのです。
見た瞬間にわかりましたよ。これは、ベベルの手紙です。
あたしは、最初の数文字を読んでみました。
―――
XXXXX年XXX月XXX日
俺たちは、、、
(※手紙の内容は65話参照)
―――
たったの数文字をだけを読んだけのはずなのに、なぜ、こんなにも目頭が熱くなるのでしょう。
あたしは、その手紙を読み進めます。読み進めますが、途中で、なぜか眼から水がこぼれて、歪んで読めなくなります。
でも、袖でぬぐって、あたしは、読み進めます。
ベベル、セイイチさんと、クソババア。
それは、紛れもなくベベルの書いた手紙です。内容は以前にタツヤさんから聞いた通りです。
でも、その手紙の感触を手に感じながらも、何度も何度も読んでいました。
やはり、彼は、ベベルは、ここに来ていた。。。
あたしは、妖精さんに
「いつまで読んでるの?」
と言われるまで、その手紙を何度も何度も、読み返していました。
あたしの追い求めていたベベルは間違いなくここに来ていた。
その事実がわかっただけでも、あたしには、とてつもなく、涙が出そうなほどに嬉しいのです。
ベベルから少しだけ元気をもらえた気がします。ですが、どうも、まだあたしは気が乗りません。
これまであたしは、いわゆる、あらかじめレールが敷かれていた人生を過ごしてきただけ。
タツヤさん、霞さん、そして、妖精さん、この三人の中であたしは明らかに足手まとい。
お荷物でしかない。
ここにいても無駄に時間が経つだけです。
「そうですね、行きましょうか。」
と、ふと立ち上がったときに、ベベルの手紙を落してしまします。そして、裏返ったのですが、そこにも文字が書かれています。こちらは、古代文字です、、、かね?
筆跡はベベルによく似ているので、きっとベベルが古代文字でも真似したのでしょう。
「えっと、なになに。」
「『そんなところでウジウジしてるんじゃねぇ、自ら飛び込め。』」
「!」
この文面の真意はわかりません。
ただ偶然にいたずら書きをしたようにも見えます。
目の前のアースホールに飛び込むかどうかを躊躇している人に向けたメッセージのようにも見えます。
でも、あたしには、それが、今のグダグダしている自分に向けらたメッセージのようにも見えました。
「そう、、そうですね。」
そうです。足手まとい。そうです。あたしは足でまといですよ。この三人の中では。
『ウジウジしてるんじゃねぇ』
でも、確かに、そうです。足手まといです。それが何だというのです。
あたしの目的はベベルに会うこと。そのために、ここまであたしは来ました。
その目的を達成するのであれば、たとえ足手まといでも、三人に迷惑をかけようとも、突き進むだけ。
『自ら飛び込め。』
そうですね。このまま閉じこもっても何も変わりありません。自らが動かなければ、ならない。。。
「妖精さん!」
「急にどうしたのです。」
「タツヤさんと、霞さんのところに行きましょう。そして、アースホールへと行きましょう!」
申し訳ないけども、三人にはあたしが目的を達成するため、利用させてもらう。あたしの決意は固まりました。
ただ、あれ?よく見れば、手紙はまだ残っています。
ドクン!
よくわかりませんが、再び、胸が大きく鼓動を打ちます。何でしょうか、この胸の鼓動は。大きな不安と期待を感じぜにはいられません。
あたしは残された手紙を手に取ります。
その手紙も、古代文字で綴られていた手紙のようでした。
「なになに。『ば・か・が・み・る・~・。・お・し・り・ぺ・ん・ぺ・ん・ ・よ・う・せ・い・せ・し・り・ー・よ・り』・・・『バカが見る~。お尻ぺんぺん 妖精セシリーより』」
・・・
「ふざけんな!」
私は思わず、その手紙を地面に叩きつけましたよ。
そして、あたしは、隣にいる妖精さんをギロッと見つめます。
「あ、あの、妖精さん?」
「あ、あぁ、セシリーねぇ。昔、そんな妖精もいたのです。セシリーはイタズラ好きだったのです。」
少し言いたいことがあります。ですが、今はそれをしているときではありません。




