表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

121/208

117覗き見られる者たち(タツヤ)

 

 まったく、さっきまで小さいのが二人、ずっと右側と左側で口論していたのだ。

 宝物庫に来てから、あのあとずーーーーーっとだ。夕食のときでさえ、口論している。まったく飽きないものだ。

 おかげで、耳が痛い。


 というか、一人はつい先日までラビリンスを破壊していたやつなのだのだが。。。

 言いたいことは沢山ある。

 どれだけラビリンスの多くの人達に悲劇を与えた。どれだけ多くの人達に失望を与えた。

 だが、まぁ、今は人間に危害を加える気はないらしいし、あの姿を見ると、警戒する気も失せる。

 別に俺の目的は、ラビリンスの人間を守ることではない。これよりも悲惨な世界なんて、過去の転生で何度も見てみきた。それに比べれば、この世界は、まだ全然いいほうだ。ラビリンスの人たちがどうなろうが知ったこっちゃない、、、というわけではないが、今は、それよりも、、、目の前に守るべき人がいる。


 と、俺は隣で寝ようとしている霞を横目で見る。


 あれだけうるさかったというのに、二匹がいなくなれば、突如と訪れる静寂。

 どこに行ったのか知らないが、しばらく二度と帰ってくるなだ。

 ようやく、これで落ち着いて寝れる。


 よっこらしょと、霞の脇に、霞に背を向けて横になる。


「ね、アリエルちゃんと、朱音ちゃん、それにあのバンパイヤ、どこ行っちゃったのかしらね。」


 背中越しに霞が話しかけてくる。二匹がいなくなったことは気づいていたが、朱音までいなくなっていたのか。


「さぁ、便所じゃねぇの。」

「ねぇ、ちょっとデリカシー。ストレートに言わないの!そういうところだよ。」


 そこで、どうでもいいことなのだが、ふと思ったことがある。妖精はトイレに行かないとは言っていた。朱音は、まぁ、人間だしな。で、アイギスだ。

 果たして、バンパイヤっていうのはトイレ行くのだろうか??

 正直言って、どうでもいいことなんだがな。


 ―――


「ふむ。便所ならば妾もいくぞ。最高血種であろうと、出るものは出る。」

「おい、言わんでよいのです。一応、妖精はトイレなんて行かないのです。」


 あっ、ちなみに朱音は人間です。便所は行きますが、RGF社で鍛えられたので、72時間までは耐久可能です。


 ―――


「まぁ、しばらくは静かでいいさ。当面、戻ってこなくていいぞ。」

「そんなことはないでしょ。まぁ、三人は待つとして、それよりも、あのレッドダイヤをどうやって持って帰るかよね。。。あたしさ、あのアースホールって呼ばれている大穴が使えないかなって考えてるのよ。」

「そうか。」

「なんとか、あれをコントロールできれば、この地底とラビリンスを繋げられて、凄いことにならない?」

「そうかもな。」

「だから、まずはアースホールで調査を進めようと思うのよね。」

「あぁ、そうか。」

「でもさ、あの穴ってとても深いし、重力が曲がっているでしょ。」

「そうだな。」

「。。。。。。ねぇ、聞いてる?」

「あぁ、聞いてるさ。」

「そうじゃなくてさ。。。。。。ね、やっぱり気にしているの?あたしの過去のこと。」

「そりゃ、気にしてるさ。けど、前に言った通りさ。霞が俺を受け入れなくてもいい。ただ、俺が霞の側にいたいだけ。俺が勝手に霞を守りたいだけだ。」

「ふーん、何か、本当のストーカーみたいね。」

「。。。まぁ、ストーカーでもいいさ。」

「ま、いいけどね。ね、ちょっと。背中向けてないで、こっち向きなよ。」


 と、霞は俺の背中をツンツンしてきた。

 寝返りをうち、霞のほうを向くと、霞は俺の顔を真っすぐに見ていた。


 少し目を泳がせてしまったが、俺も、霞の顔をじっと見返す。

 誰もいない広間。無音だけの時間がしばらく経過していく。


 霞の顔、あの人と同じかと思うほど、そっくな顔。

 それもあるが、こうやってじっと見れば、霞の綺麗な顔、キレイな瞳、柔らかな頬、潤やかな唇、その顔のパーツの一つ一つがこうも美しい。

 あらためて見蕩れてしまう。


 が、そんなときに、天井からホコリが舞い落ち、霞の顔へとかかりそうになる。ここは、アイギスの居城、非常に古くどこもホコリを被っている。だから、それほど珍しいことではないのだが、、、


「あっ、ゴミ。」


 手を伸ばし、少しだけ、霞の顔のほうへと顔を近づけ、ゴミを追いやる。そのとき、霞のほのかに温かい息遣いが顔にかかった。


「。。。」

「。。。」


 そして、また、しばらくの沈黙が続く。互いの顔の距離も少し近づく。

 だが、沈黙を破ったのは霞だった。


「あんた、よ~~~~~~く見ると、オッサンだけど、意外と悪くない顔しているじゃない。」

「霞、『よ~く』を伸ばし過ぎだ。」


 霞は寝返りをうって、後ろを向いてしまった。


「あんたさ、『受け入れなくてもいい』って言ってるけど、あたしは、そもそも『受け入れる』とか『受けれ入れない』とも言ってないんだからね。」

「えっ。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ