112バンパイヤチャレンジ(アリエル)
そう、ここがこの城の宝物庫。
主なき城の地下に一角。ここに如何にも何かあります、と主張しているかのように、巨大で重厚な扉に、何重にも巻かれた鎖、そして、あからさまな魔法陣が付与されて、何かしらの封印の魔術が施されているのです。
そう、これこそが、我が妖精一族に期待をもたらし、毎度、毎度、苦渋の辛酸をなめさせられた宝物庫への入り口なのです。
かつての仲間からは、この重厚な扉の隙間から、光が漏れんばかりの黄金が山のようにあるのを目撃したというのです。
それからというもの、何度も鬼の居ぬ間を狙っては、何度も中身を運び出そうとするも、毎回、アイギスに見つかり締め出されていたのです。
ですが、もう、奴はいないのです。
そう、ついにあたしたち妖精の時代が来たのです。
もう、宝なんてどうぞ、持って行ってください、って言っているようなものなのです。
「さぁ、タツヤよ。お主のその刀で、この何重にも巻かれた鎖を断ち切るのです。」
「はぁ?アホか!別に俺は宝なんて興味ない。斬れなくはないが、そんなもん斬ったら刃がこぼれる。」
「何よ。ケチ。」
大丈夫なのです。
あたしには、同志がいるのです。
と、あたしは、霞を振り向くのです。
「アリエルちゃん、任せなさい!」
さすがなのです。すでに目が$マークになっていてやる気満々なのです。
「この程度の扉、あたしにかかれば、簡単に溶かせるわ。」
両手には、魔術で生み出した炎が生み出され、色も、赤から黄色、白、青へと、そして、黒色へと変化していくのです。
そして、炎の大きさも、徐々に大きくなり、この城を取り込まんばかりに、どんどん巨大になっていくのです。
巨大すぎて、自分も巻き込まれそうなほどに巨大になっていくのです。
って、ちょっと、これ、ピンチじゃないですか。
「おい、アホ!」
とタツヤが霞の頭を叩きます。
「何よ!」
「よく考えろ。俺たちを巻き込む気か!?」
「金のためならば。」
「おい!却下!」
確かに、それはきっと目の前の扉を溶かすことは出来るでしょう。けど、あたしたちも巻き添えを食らうのです。焼き妖精になってしまいます。
となれば、ついに可憐でもあり、天才ともいわれた、このあたしの出番が、、、
「あっ、なら、あたしがやってみます。」
あっ、朱音に先を越されたのです。
朱音は、この扉に触れてしばらく考え込みます。
「なるほど、問題ないでしょう。魔法陣で封印の魔術が施れたようにみえますが、他にも二重で封印の魔術が施されていますね。」
朱音はグローリーホールで見せたように、弾丸を一つ取り出し、気、つまりは、魔力を込め、その一発を銃に装填します。みな、その様子をゴクリと見守るのです。
ピー!
機械的な電子音が響くのです。RGF社の銃は照準が合うとこのような電子音がするそうなのです。
「朱音、行きます!」
パシュッ、ズドーン!!!
すごい音が轟くと同時に、扉を包むように、魔法陣の複雑な模様が描かれた結界が扉を包み込むのです。
土煙が舞いあがり、奥は良く見えません。
ですが、時間が立つと、徐々に土埃も落ち着き、魔法陣の複雑な模様が描かれた結界も徐々に小さく消失していくのです。
「成功ですね。」
「さすが!朱音ちゃん。」
と霞が朱音に飛びつきます。
土煙がおさまれば、そこには見事に大穴の開いた扉とご対面なのです。
そう、これで、我が先祖代々から受け継がれたバンパイヤチャレンジ、ついにこれで、チャレンジ成功の瞬間を迎えるのです。
あたしは、その扉にぽっかりと開いた穴に向かって飛び交います。
さぁ、中にはどんな、財宝があるのか?
妖精たちが代々狙っていた宝物庫。きっと凄い宝物がたんまりあるに違いないのです。
さぁ、ついに、宝物とご対面のときなのです!
「。。。。えっ。」
あたしは、見間違えではないかと、一度穴を出て、もう一度、扉に開いた穴に入るのです。
「えっ?。。。。なんですか。これは??」




