第64話
無性に疲れた俺は癒しが欲しくて蛍の教室に向かった。
「……食べ物って何を扱ってるんだ?」
そう思って見てみると、蛍の教室の前には『ベトナム料理』と書いてある。……ベトナム料理?フォーとか?良く知らないけど……とりあえず見てみるかと教室に入ってみると結構賑わっていた。
蛍はいるのかな?と見回してみても見当たらない。仕方ないから帰ろうかと思ったら一人の女子が近づいてきた、背が高く痩せた眼鏡の女生徒だ。
「……あのう、鳴海さんをお探しですか?」
「……あぁ、そうだけど君は?」
「は、はい。鳴海さんと同じクラスの風間です。すみません、今、鳴海さんは手が離せないんです……」
「それじゃ仕方がない」と帰ろうかと思ったら「……鳴海さんのお陰で助かりました」と風間が泣きそうになりながら言うので「何かあったのか?」と聞いたら……
……どうやら大変だったらしい。なぜこのクラスの出し物がベトナム料理になったのか……始まりはベトナムからの留学生の女の子が蛍のクラスにいたので「ベトナム料理なんて面白そう、他のクラスは真似できないだろうし」ってクラスのお調子者が言い出して反対もあったのに、結局それに決まって準備が始まったのだが新学期早々にその留学生の子が体調を崩して学校を休んでしまったらしい。どうするんだと言い出しっぺを皆が責めるんだが「俺は知らね」と逃げてしまい……結局、当日はクラスでも大人しい人間が残されて押し付けられてしまったらしい。
「……ひどい話だな」
皆して困っているときに蛍が「レシピがあれば私が作れます」と言ってくれて……なんとか開催できたとのことだ。
「……たいしたもんだ」
「……本当に、鳴海さんのお陰です」
風間がそう言ってくれて俺も嬉しかった。
「……風間さん、蛍は良い奴で……俺の大事な人なんだ。できれば仲良くしてやってくれ」
俺が頭を下げお願いしたら
「……は、はい」
何故か風間は顔を赤くして返事した。
「……それじゃ、頑張ってな」
そう言うと風間も頭を下げ「……ありがとうございます」と言った。
これで蛍にクラスでの居場所ができたら良いなと俺は素直に思った。




