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『腫れ物扱いの先輩が、私には優しい』  作者: もんじゃ
『腫れ物扱いの先輩が、私には優しい』
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第36話


 今日は放課後に三者面談があるからと蛍に先に帰るように伝えた。

 三年生にとっては進路を決める為の大事な話し合いなので普通は両親のどちらかが来るものなのだが、俺の場合はどちらもいないので……叔父さんに「どうしましょうか?」と連絡したら「……大事なことだからきちんと伺おう」と仰ってくれて


 「……成績は以前より上がっています、この成績なら……」


 俺の横には叔母さんが来てくれている。叔母さんを見て担任教師は少し緊張しているようだ。


 「ふふ、頑張っているようじゃない、進学希望なら進学しなさい。うちの人も遠慮せず進路を決めるように言っていたわ」


 担任の話を聞いて叔母さんは嬉しそうに話す。


 「「失礼しました」」


 三者面談が終わり帰宅しようとしたら叔母さんが「家まで送るわよ」と腕を掴んでくる。


 「全然、顔を見せてくれないんだから!たまにはお寿司でも食べに行きましょ」


 嬉しそうに言う叔母さん。叔父と叔母のお金で生活させてもらってるので二人には頭が上がらない。「行きましょ」と引っ張られればついていくしかない。


 叔母の高そうなイヤリングを見ながら駐車場までついていくと……黒塗りの高級車があり


 「よっ、坊主。元気か?」


 「お久しぶりです、龍崎さん」


 叔父さんの『組』の龍崎さんがいた。龍崎さんは若い頃、叔父さんとタイマンをして負けた時に叔父さんに惚れ込んでついてきて……今では叔父さんの右腕という猛者だ。


 そして、死に戻る前の若い頃の俺の教育係だ。甥っ子という周りから七光りと見られがちな俺をそんな風に言わせない位に厳しく教育してくれた恩人で……悪い大人の遊びの教育係でもある。


 当時、俺が女を知らなかったことを知り、面白がって首根っこを掴み……お部屋に入ったらいきなり女の子と自由恋愛が始まるお店に放り込まれ……童貞を捨てた。後に叔母さんにそのことがバレて龍崎さんはめっちゃ怒られていたが。


 「ふふ、龍崎。お寿司食べに行くわよ!車を出して!」


 「ははは、よっしゃ行くぜ。姐さんの金だ遠慮せず食うぞ、坊主!」


 なんだかんだで死に戻る前は『組』の皆さんには世話になったし、今の俺の生活もこの人達のお陰で成り立っている。


 ……だから死に戻る前の俺は進学せずに叔父と同じ世界を選んだ。


 でも今は……その道を選んだら蛍が悲しそうな顔をするのが目に浮かび……消えない。


 


 

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