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009⚫️勝手に発見、八犬伝 (第8話じゃなくて第9話だけど)

滝沢馬琴の創作姿勢を振り返れば、

彼が常に極限の’フロー状態’にあったことは想像に難くない。

朝から晩まで机にかじりつき、

老いて両の視力を失っても口述筆記を借りてなお、物語を紡ぎ続けたのだ。


彼にとって現実よりも、

その筆先から生まれる物語世界の方が鮮明であったという記録は、

魂の深い没入の証に他ならない。

『南総里見八犬伝』という、あまりにも巨大な叙事詩。

それは彼にとっての思想の結晶であり、

名声や報酬といった外的な誘惑ではなく、

ただ内側から噴き上がる「書かねばならぬ」

という衝動によってもたらされた偉業である。


’フロー’が最も純粋に、そして激しく生じる条件がそこには揃っていた。

完結までの道のりは険しく、難易度は絶望的に高い。

しかし馬琴にとって、

それは挑むべき「最高に心地よい負荷」であったに違いない。

自己と物語が境界を失い、現実と空想世界が一体化する境地。

彼は、その光の回廊の中で生きていたのだ。


いいなあ、馬琴・・・。


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