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051●大器晩成
最盛期。
文化にも、文明にも、人の一生にも、確かにそう呼べる瞬間がある。
高揚感、充実感、達成感が同時に押し寄せ、
自分が‘波に乗っている’と実感できるときだ。
では、それはいつ訪れるのか。
「あなたは大器晩成型ね。」
亡き母はよく、そう言って笑った。
しかし、気がつけば老境に差し掛かっている。
伊能忠敬が測量を始めた年齢を越え、
信長と秀吉がこの世を去った年齢すら過ぎてしまった。
いったい、いつ晩成するんだ。
‘晩成’とは、どの晩を指すのか。
そもそも自分は‘大器’なのか。あやしい。
ふと彼は考える。
世界線をこえるようになった「今」。
見える景色が増え、出会える人が増え、
手の届く未来が静かに広がっていく「今」。
もしかすると、
これこそが、自分にとっての最盛期なのかもしれない。
‘波’に、いつの間にか乗っているのかなあ?




