045⚫️九九八十一
「で、これがその天井だな。」
‘ユキカゼ’は海中を巡行速度で帰還中。艦内は戦闘態勢レベル2。
ブリッジのスクリーンには、ボビーのヘルメットカメラの映像が映し出されていた。
焦げ跡の残る天井。そこに描かれているのは・・・。
大きな葉と、その陰から覗くライオンの顔。古い壁画なのに、不思議と生々しく見える。
「うーん、やっぱり天井画があったんですねえ。なんだろ、これ?」
「葉とライオン。・・・意味深ですが。」
通信士が報告する。
「艦長、衛星へのアクセスコードは四桁の数字であることだけは判明しました。ただしリトライは三回まで。ランダム入力は危険です。」
「四八時間ロックか・・・まあ、再挑戦はできるがな。」
「でも非能率的ですよ、艦長。」
一人の隊員が手を挙げた。例の‘ジャパニーズ話者’だ。
「艦長・・・今回のは、イスカンダルよりもっと基本的というか・・・小学校で習うやつなのですが・・・いや、簡単すぎるするなあ。」
「かまわん。言ってみろ。」
「葉っぱは8×8=64、ライオン、つまり獅子は4×4=16。九九で連想すると、 6416が浮かんでくるんですが。」
「ふ〜ん・・・ジャパニーズって、ヘンテコなんだな。」
「いや、バーバラ。ヘンテコと言ってはならんぞ。よし、試せ。」
「うわっ! 成功です! 衛星を捕捉!アクセスしましたあ!!」
「ほお。大したものだ。」
バーバラが胸を張る。
「わたしが行ってきたから、わかったんだぞ!もっと褒めていいんだぞ!」
「ありがとう、バーバラ。ああ、ボビーもだ。だが包帯が取れるまでは、自室で休め。」
「何を言う!わたしは元気だ! ボビーもそうだろ!」
「ふあーい・・・そうでありますぅ・・・。」
いや、艦橋にミイラ状態の二人組が立っていると、なんだか悪いが笑ってしまう。
その言葉を飲み込みながら、マチルダは苦笑し小さく息をついた。




