013⚫️イケてる’なんちゃって’
「だけど、花火はいいけど、もっとこう・・インパクトが欲しくないか、ヒロ?」
「ふふ、ふふふ〜。よくわかってるね、ヤマト!そうなんだよ!せっかく’なんちゃって縮退炉’を積むんだから、やりたい装備、全部載せにしなきゃね!」
「その’なんちゃって’、いや’マイルド縮退炉’ってのは、そんなにイケてるのか?」
「’なんちゃって’でいいよ、それが愛称なんだから。でもね、中身はすごいんだ。コホン!大学の講義の時より丁寧に、でもざっくり説明するとね・・・」
本来、’縮退炉’とは恒星内部並みのエネルギーを人工的に再現する装置である。物質を極限まで圧縮し、生じた電子縮退圧を利用するこの装置は、一歩間違えば局所的なブラックホール化すら招きかねない、いわば「諸刃の剣」だ。専門の機関士が整備・点検・運用することが大前提である。
そこで考案されたのが、’マイルド縮退炉’、通称’なんちゃって縮退炉’である。この炉は、完全な縮退の手前、いわば「準縮退状態」の圧力差をエネルギーに変換する。電子を高密度に押し込んだ際に生じる、量子力学的な「押し返す力」。白色矮星を支えるパワーの源として知られるその電子縮退圧を、安全な範囲で取り出すのだ。
最大の特徴は、圧力が一定値を超えると縮退状態が自動的に解除される構造にある。暴走の危険がなく、エネルギーが暴発することもない。徹底した安全設計だ。 出力こそ本式に譲るが、「低出力・超長時間運用」における安定性は圧倒的で、理論上は数十年単位での稼働が可能である。そのため、停電が許されない大病院や、高級リゾート地、あるいは極めて安全意識の高い富裕層の間で、リーズナブルかつ信頼できる機関として重用されている。
日常生活に求められるのは、恒星間ワープのような刹那の爆発力ではなく、安全性を保証された持久力だ。その点において、この静粛でタフな動力炉はまさに理想的。実は、’ユキカゼ’のような「超愉快潜水艦」への搭載は、異例、超例外なのだ。「より多くの子どもたちが、喜びと希望を感じるように」と、設計者ヒロの強いこだわりが、この贅沢を現実のものとしたのである。
「どう、わかった?少し高価だけど、最高の心臓だよ。」
「ふーん、すごいんだな。で、どんなオマケの装備をつけるんだ?」
「それはね・・・ちょこっとだけ教えるぞ。秘密だよ! 実はねぇ〜・・・」




