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012⚫️ないものねだり

ええっ、そんな都会からわざわざ来たの? こんな田舎、何にもないよ。

それがいいって?変わった人だねえ。

不便さをレトロと呼び、長屋の暮らしを尊ぶ。

博物館級のブラウン管テレビを愛でる都会人の瞳は、不思議な輝きを帯びている。


うわあ、臨場感たっぷり! 本当に撃ってるみたいだ!

射撃の反動まで来るぞ、このゲーム最高!

お母さん、あとちょっとだけ!

仮想の戦場で引き金を引き、明日の学校を憂う少年。

それは、平和な国における’どこにでもある日常’の光景だ。


爆撃の合間に、浅い眠りにつく。

夢の中では、もうこの世にいない友が笑っている。

ああ、戦いなんて無くなればいい。学校に行きたい。

もう一度、みんなに会いたい。

そんな当たり前の願いが、この世界線では現実とかけ離れた望みになってしまう。


人は、自分の環境に無いものばかりを欲しがる生き物なのだろうか。

今、私が、そしてあなたがいるこの世界線がもし平和なのだとしたら。

それは、他の誰かにとっては奇跡のような、あまりにも恵まれた時間なのだ。


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