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魔導書ライラと集めましょう?  作者: 十六夜の懐中時計
第四章『ドグラ・マグラ』を集めましょう?
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魔導書との解析

「しかし、結局あの人達は何だったんだい、ライラ?」

 僕は、僕の膝に頭を乗せ涎を垂れ流しているカレンさんの頭を撫でながらライラに尋ねる。

「会いたくなかったヤバい魔導書(グリモア)が二人いるって言ったでしょ? ほら、前言ってた天然巨乳サイコ女も陰湿貧乳クレイジーレズ。その二人と契約者ってとこね」

 ライラがソファーに顔をうずめながらけだるそうに言う。

「ちょっと待つの、『蒐集』。『胎児の唄』はともかくライムちゃんのこと悪く言うのは許せないんだよ!」 

 グースはそう言ってソファーにいるライラをクッションでぺちぺち叩く。

「あぁ、そういえばあのシスコンレズはあんたの妹だったわね……」

 ライラは疲れからかいつもより小さな声でため息のようにそうつぶやく。

「じゃあ、黄髪の女性はともかくあの蒼い髪の女の子、ライムちゃんとやらが何で襲ってきたんだい?」

 僕は眠たそうなライラに罪悪感を覚えつつ尋ねる。

「あのドグラマグラって言うウシ乳女が派手に能力使ってシスコンレズを狂わせてんのよ。ついでに因果律も。おかげで二人の魔導書(グリモア)が攻めてくるなんてことになったのよ……」

 若干イライラしているのか、ソファーを足でポフポフ叩きながら彼女が答える。

「ちなみにライムちゃんの能力が『時間停止』、『胎児の唄』の能力が『狂乱』だから二人の能力が合わさると他の魔導書(グリモア)はても足も出ないんだよ」

 グースがご機嫌斜めなライラの説明に補足する。

「その割には、お姉ちゃんはあっさりとあの人達を撃退してたけど……」

 余裕をかましていた契約者であろう糸目の男なんて、しりもちついて泣き叫んでいたし。

「フフーン、それは私の若葉君を想う『お姉ちゃんパワー』があるからだよ! でもさっき使い果たしちゃったから、お姉ちゃんにチューして、若葉君!」

 そう言って膝の上のカレンさんは手を伸ばしてくる。

「何馬鹿なこと言ってんのよ! それに若葉にそんなに近づいてうらやま……破廉恥だわ! そこ代わりなさい、焚書官!」

 カレンさんの言葉を聞いたライラが素早く起き上がって、カレンさんの足を引っ張りながら叫ぶ。

 そして二人が取っ組み合いを始める。

「『蒐集』ったら本音がダダ漏れなの……」

 開いた僕の膝にちゃっかりと座ったグースがつぶやく。

「い、いや、本音なんかじゃないわよ。私はただ若葉が巨乳に惑わされないようにね、うん、そのね」

 少し早口になりながらライラは答える。

「でも、正直どうやってライムちゃんの『時間停止』を焚書官が打ち破ったのか気になるの。あの能力に勝てる人を私は見たことないんだよ」

 グースが取っ組み合う二人にそうつぶやくように尋ねる。

「いや、実際簡単な話だよ? 八握劔やつかのつるぎがあれば、時間停止なんていう現実改変ぐらいなら無効化できるもん」

 ライラと腕を合わせながら、カレンさんが何気なく言う。

「もんじゃないわよ…… それほぼチートじゃない!」

 ほぼじゃなくて完全にチートである。

「お姉ちゃんが上級焚書官だということ忘れてなーいー? 若葉君達と戦った時は家の瓦礫(がれき)とかのおかげで派手にけがしちゃったから負けたけど、私ぐらいの焚書官には魔導書(グリモア)が出す攻撃とか能力を無効化できるよう高級な八握劔やつかのつるぎが配備されてるんです!」

 彼女はえへんと大きな胸を張りながら、僕に誇らしげな顔を見せてくれる。

 思わず「ドヤァ」って擬音が聞こえてきそうなほどだ。

「あっちもダブル魔導書(グリモア)とかいう非常識なことしてきたけど、私達も大概よねこれ……」

魔導書(グリモア)同士の戦いで上級焚書官の援軍が現れることなんてありえないんだよ……」

 そりゃあちらさんも尻もちついて逃げ出すだろう。

「でもさ、それなら何で最後あの人達は逃げ出せたんだい? 僕らからは時間停止で逃げたようだけど、お姉ちゃんには効かないんでしょ?」 

 時間停止なしにカレンさんから逃げ切るなど不可能だろう。

 なんせ、玄関の瓦礫(がれき)に埋もれようが平気で公園まで僕たちを追いかけてくるような人だ。

「そういえばそうよね。何かあったの、焚書官?」

「若葉の手当てを優先したとかなの?」

 僕の疑問はライラとグースにとっても謎だったようで、僕らは一斉にカレンさんのほうを向く。

「う、うんまぁ、そんなとこだよ……」

 しどろもどろにカレンさんは答える。

「若葉を優先にしたから逃がしただけっぽいし、私も若葉も『蒐集』も責めないからはっきり教えて頂戴な」

 ライラの言葉に僕らもうなずく。

「本当!? じゃあ言うね。私あの時糸目の男にぶち切れた後傷ついた若葉君に近づいたら、若葉君が頑張って戦闘した時に流した汗が服に染みついててね。時が止まってるのに気づいたから、我慢できずに若葉君の胸に鼻をうずめてクンカクンカしちゃったの。それであいつらを逃がしちゃった……」

 照れながらカレンさんが答える。

 僕の言語機能は誤作動を起こしているのだろうか?

 そう疑いたくなるほど、頭のおかしい理由だった。

「ふっざけんじゃないわよ、このド変態!」

「自動小銃、今すぐ出てくるんだよ!」

 ライラとグースもこの理由では納得できないようだ。

 瞬間ゴーレムと自動小銃が現れる。

「何でよー、怒らないって言ったじゃんー 若葉君は許してくれるよね、ね?」

 そう言って上目遣いをしながらカレンさんが僕の腕を掴んでくる。

「お姉ちゃん、助けてもらった身だけどさ。けが人の心配より先ににおいをかいで興奮するって言うのは擁護できないよ……」

 それでもフォローできる人間など信者か覚者ぐらいなものである。

「若葉のお墨付きももらったし、覚悟なさい!」

「若葉に代わって私と自動小銃が折檻なの!」

「若葉君から痛めつけられるならまだしも、貴方達に痛めつけられる趣味はないの。ということでにげるんでーす!」 

 ライラとグースが叫びながら物騒なものとともに、カレンさんを追いかけている。

 カレンさんはその猛追をうまくかわしている。

 お風呂に入ろう。

 風呂は心の洗濯というし、僕はもう疲れた。

 銃声やら岩と岩がこすれるような音が響く中、僕は部屋を出て浴室に向かった……


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