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魔導書ライラと集めましょう?  作者: 十六夜の懐中時計
第三章『火打ち箱』を集めましょう?
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魔導書との復讐

グロ注意です。耐性がない方はブラウザバックをおすすめします。

「惨めな姿ねぇ、騎士様?」

 私はそう言って、ゲロをまき散らしながら、血走った目でこちらをにらんでくる焚書官を嘲る。

「んぐうううッ!」

 私が彼女に近づいて傷口を踏み潰すと、焚書官は声にならない悲鳴をあげる。

「あらあら、これじゃまるで豚じゃない」

 口元を手でおさえながら、私は彼女を笑う。

 若葉を眠らせた理由は主にこの光景を見せたくないからだった。

 私は結構今回の件について頭に来てて、元々この焚書官を惨たらしくいたぶるつもりだった。

 まぁ銃を見つけるまで勝算なんてほぼゼロだったんだけどね……

 焚書官とはいえ、若葉と同じ人を愉しそうにいたぶっている姿を若葉に見せたくなかったんだもの。

 い、いや別に若葉に嫌われるかもってことじゃなくことじゃなくね、若葉の精神衛生のためなのよ!

 何を焦っているのよ私! 自分の言ったことに言い訳とか恋愛中の童女じゃないんだし……

 少し自己嫌悪に陥っていたら、いつの間にか、焚書官が虫の息になっていた。

 いけない、ここで死んでもらっては困る。

「あ、ちょっとヤバいかも…… 『子守唄』、もう動ける? 動けるなら、コイツを治して頂戴」

 私は休憩中であるはずの彼女に尋ねる。

 初めは怪訝な顔をする『子守唄』だったが、私の言ってる意味に気づくと口元をゆがませながら了解してくれた。

「オッケーなんだよ! そーれ♪」

 彼女が手を振り降ろすと、虫の息だった焚書官が息を吹き返す。

「グッゲホッ、ん、これはどういうことだ? あれ、か、からだが」

 突然激しい痛みが軽減したアレは首を動かし周りを見渡そうとする。

 まぁ軽減しただけであって、体が動けるまで治療はしてないから、必死に動こうとする姿が芋虫みたいで滑稽なのよね。

「準備完了なんだよ。今すぐにでもコイツを壊そうなの!」

 笑いながら、声高らかに彼女は提案してくる。ただし目は全く笑っていない。

 やっぱり、若葉を眠らせといて正解だったわね。流石に今の彼女の顔を若葉には見せられないもの。

「じゃあ、何から始めようかしら。二度と若葉を殺そうとだなんて思えないようにしなきゃ。ここはやっぱり王道の梨かしらね?」

 私にとって若葉は身を挺して守ってくれるほど優しくて、甘えさせてくれて凄い頼りになる契約者。

 そんな若葉を殺そうとしたんだから、私はコイツを今から精一杯いたぶってあげなきゃいけない。

 優しい若葉はコイツを許すでしょうけど、私が許さない。許してたまるものか!

 その気持ちは『子守唄』も同じらしく、彼女も嬉々として拷問を提案してきた。

「せっかくだし、まずはネズミ責めがいいと思うの。コイツ、プライドがすごく高そうだから、ネズミ責めしたらさぞ愉快だと思うんだよ!」

「な、なんだそれは。私に何をするつもりなんだ」

 焚書官の顔色が一気に陰っていく。

 まぁそんな些細なことは無視して、私たちは話を続ける。

「良いわね、怒りネズミの箱はすぐ用意できそう?」

「もちろんなんだよ!」

 そう言って『子守唄』が再び手を振ると、ベッドが現れて、焚書官はそれに横たわった状態でひもで拘束された。

 『子守唄』の近くからは透明なガラスケースと一匹のネズミが現れる。

 ネズミは、今ドブから出たばかりだといわんばかりの汚さと臭さだった。

「ひい、ま、待て、何をするつもりだ!」

 焚書官は『子守唄』が出したネズミを見つけるやいなや、騒ぎ始める。

 私は淡々と彼女の腹の部分の服を破り捨て、ネズミを置いてガラスケースでふたをする。

「い、いや、汚いから、早くぅ、早く外してよぉ」

 焚書官が乙女のような悲鳴を上げる。

「何こんなところで悲鳴を上げてるのよ? 本番はここからよ?」

「じゃあ、スタートなんだよ!」

「え? これ以上何が起こるの?」

 もはや格式ばった口調で話すことを忘れて、生娘のように焚書官が私たちに尋ねてくる。

「「フフフ」」

 私たちは一緒に嗤っていた。

「ヒェ、何だか、温かくなってるよぉ……」

 焚書官は外見に似合わない幼い口調で呟く。

 うまくガラスの温度が上がっているようだ。

 中に閉じ込められたネズミも徐々に動きが活発になっていく。

「んぎゃ、あふい、あつい、あ、やめ、いぎゃい痛い痛いいい!!」

 熱くなったガラスが皮膚に当たって、焚書官は悲鳴を上げていた。

 それはネズミも同じで、どうにか熱から逃げようともがく。

 その結果、ネズミは焚書官の腹に穴を掘るのだ。

 ネズミの牙は案外丈夫で、どんどんと柔らかい乙女の柔肌を突き破っていく。

 それに伴い透明なガラスケースが血の色で染まっていく。

「いぎぃ、やめ、お願い!」

 焚書官は痛みでまともに命乞いすらできないようだった。

 それから数分して、焚書官がぐったりと首を前に倒す。

「そろそろ、潮時かしらね?」

「じゃあ、治さなきゃなの!」

 そう彼女が言うと、焚書官の体が、数分前のベッドに縛られた状態に戻る。

 だけど、心に刻まれた傷は消えないのよ。

「おねが、あれ? 元に戻ってる?」

 焚書官は状況が呑み込めていないようだ。

「さて、次はどうしましょうね?」

「さっき私が決めたから、今度は『蒐集』が決めていいよ」

「じゃあ、私コイツを雄牛に入れたいわ!」

「それはいい考えなの! すぐ用意するの!」

 そう言って、彼女がまた手を振ると、青銅製の大きな牛の彫像が現れる。

「あ、貴方たち、今度は何をするつもりなの?」

 おびえ切った焚書官は、可愛らしい口調で私たちに問う。

「いやー、少しあんたをあの中に入れて」

「あの像ごと火で温めるだけなの!」

 私たちは声をそろえて、彼女に告げる。

「い、嫌! いたいのはもう嫌なの! お願いだからいたいのやめてよぉ……」

 言葉足らずに懇願する焚書官の姿は、まさにいたいけな少女そのものだった。

 そんな姿を見て私たちは口をそろえて答えた。

「「だーめ♪」」

 満月の光が劇場を照らす。

 スポットライトを浴びた少女は、のどを嗄らすほどの美しい歌声を公園中に響かせ、私たち観客を楽しませる。

 ときおり、彼女がくれるリンゴやはちみつのジャムも、美味で私たちが彼女に飽きることはなかった。

 若葉が目覚める寸前まで私たちの観劇は続いたのだった。


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