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魔導書ライラと集めましょう?  作者: 十六夜の懐中時計
第三章『火打ち箱』を集めましょう?
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魔導書との激昂

「フフフ、敵の前で油断は禁物だぞ。君らもそうは思わないかね?」

 そう笑うカレンさんから放たれた火がライラを襲う。

 だがその前に僕はライラをどけて、炎と彼女の間に割り込む。

 そして僕の背中に炎が直撃する。

 燃えるような熱さであった。良く見れば、服に火がついている。

 だが、何とか間に合ったようだ。

 僕はライラを押し倒したまま、安堵の息を漏らす。

「若葉、大丈夫!? 背中が燃えてるんだけど!」

 彼女は身動きが取れないからか、ジタバタしながら僕に叫ぶ。

「大丈夫だよ。ちょっとはらえば消えるさ」

 立ち上がって、背中を手ではたきながら僕は彼女に優しく告げる。

「絶対大丈夫じゃないわよ! どうしてこんな無茶をしたのよ」

「そりゃ、君の契約者だからじゃないかなぁ」

 背中の痛みをこらえながら、僕は答える。

 実際、彼女の影響がなければ僕は多分怖気づいてここにはいなかっただろうし。

「お楽しみの所すまないが、仲良く燃える準備はできたかね、悪魔ども?」

 カレンさんがいやらしい笑みを浮かべながら禁書片手に僕らへそう告げる。

 相もかわらず、絶体絶命である。

 グースは能力の使い過ぎで動けないし、僕も痛みをこらえるながら意識を保つことが精いっぱいだった。

 そんな中、ライラはいつものようにあおり返すのではなく、沈黙を貫く。

「どうした、だんまりか? 所詮魔導書(グリモア)だな。もう打つ手がないんだろう?」

 僕らを嘲りながら、彼女は徐々に僕らとの距離を詰める。

「ねぇ、若葉。あとは私が何とかするわ」

 ライラが僕に囁く。

「どうやって何とかするつもりだい? あっちも瀕死とはいえ、流石に無茶が過ぎるよ!」

「大丈夫よ。いつも言ってるでしょ? 何とかなるさ(ケ・セラ・セラ)って」

 彼女は容易いことであるといわんばかりの軽い口調で僕に言う。

「そんな楽観が過ぎるよ……」

「だから、私を信じてそこで眠ってなさいな、若葉」

 そう言って彼女は微笑む。

 それはエルさんやカレンさんが行う邪悪なものを含んだほほえみではなかった。

 慈愛にあふれた、僕を本気で慮ってくれているほほえみであった。

 それと同時に僕の体から力が抜ける。

「あ? え……」

「お休みなさい、私の愛しの契約者」

 彼女のつぶやきが聞こえたと思うと、僕の意識は暗転した。


「愛しの君との別離は済んだかね、悪魔よ?」

 若葉が無事に意識を失うと、焚書官の耳障りな声が私の耳に響いてくる。

「あんたこそ、この世界に別れの言葉を告げなくていいの?」

「ハハハ、お前はこんな戦況にもなっても減らず口をたたけるのか? 全滅寸前のくせに大した気概だよ。その気概を称えて、この私が一瞬で焼却してやろう!」

 自分の勝ちを疑わないアレは高笑いをしながら、詠唱を開始した。

「我は嘆く。かのものの深き罪を。我は願う」

 こちらはゴーレムであれをたたくが、やはり避けられる。

 如何に瀕死とはいえ、腐っても上級焚書官ということでしょう。

 ゴーレムの鈍重な攻撃はアレに当たらない。

「忌々しいわね……」

 そんな時、視界の隅に都合のよさそうなものを見つける。

 それをとりに行きつつ、アレにゴーレムで攻撃を加え続ける。

「かの罪の浄化を。我らが主よ、かのものに救済という名の浄化を」

 やはり、のろまなゴーレムの攻撃は当たらない。

 そのせいか、先ほどからアレの口元は緩みっぱなしなのだわ。アレは既に勝利はゆるぎないものだと確信しているようね。

 傲慢すぎて腹立たしいというか忌々しいというか……

 まぁ、その油断のおかげでアレをどうにかできそうなんだけど。

「贖罪という名の慈悲を。今こそかのものに救いを与えん。」

 私は目的のものをゴーレムの陰で拾うことに成功する。

 そろそろアレの詠唱も終了しそうだし、すぐさま私は拾ったものを構え、ゴーレムを操作する。

煌け(ホーリー)贖罪nッ!」

 アレがいつものようにゴーレムを避けて得意になっているところを、私は『子守唄』が出した機関銃でぶち抜いた。

 銃の反動でひっくり返りそうになったのは内緒だわ……

「アハハ、敵の前で油断は禁物なんでしたっけ? 本当にその通りね!」

 銃の重い反動のせいで連射ができなかったけど、弾丸が彼女の左足にあたったようね。

 幸いにも彼女に致命傷はなく、左足に銃創を負う程度で済んだしね。。

「何とでも言うがいいさ。最後に勝てば――」

 何か言って逃げようとする素振りを見せる焚書官の四肢を私はためらうことなく撃った。

 右足、右手、左手、さっき撃ったけどもっかい左足。

「最後に勝てば、何ですって?」

 酷く意地の悪い笑みを浮かべながら、私は彼女に聞き返した。

「んぐ、ゴポッ、ぎ、さまぁあぁあぁ」

 あまりの痛みに吐き気を催しながら、焚書官が私に叫ぶ。


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