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魔導書ライラと集めましょう?  作者: 十六夜の懐中時計
第二章『マザーグース』を集めましょう?
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魔導書との幻影

『昨夜未明、███県████市の███公園にて原因不明の器物損壊が発生しました。この件に関連した負傷者は現在確認されていません。███県警は逃亡中の殺人犯との関連性を含め、事件と事故の両面から捜査を行っています』

 翌日、いつものように登校しようと学校の用意をしていると、テレビニュースが公園の遊具が壊されたことを報じていた。

 もしかしなくても、昨日のゴーレムの件である。

 殺人犯には悪いが、彼にはそのまま警察の目を引き続けていただこう……

「若葉ー 早く行きましょ!」

ライラがそう急かしてくる。

 僕は支度を済ませて、彼女の待つ玄関に向かった。


「今日もゴーレムで遊びましょうよ!」

 学校が終わると、ライラが僕にそう提案してきた。

 もちろん、許可できるわけない。

「昨日のこともう忘れたの? また、問題を起こすから駄目だよ」

「次こそうまくやるわよ! だからお願いー」

 そう言って彼女は駄々をこねる。

 どこから彼女の自信はあふれてくるのだろうか?

「駄目ったら駄目だよ!」

 僕は語気を強めて彼女に言った。

 すると突然頭の中に声が響く。

『じゃあお兄さん、私と遊びましょ?』

「うん? 別にかまわないけど」

 突然の声に思わず僕は答えてしまった。

 先ほどまで地面に寝そべって腕を振っていたライラが突然跳ね起きて、僕に向かって叫んだ。

「ちょっと、若葉! 何暢気に答えてるのよ! 多分それ、幻影世界(ファンタズマゴリア)のトリガーよ!」

「え?」

 そう呟くと、僕の体が突然浮き上がった。

 そんな僕の上には、美しい白髪(はくはつ)の幼女がいた。

 彼女の体は真っ暗な夜空の中に浮かんでいたのだ。

 そんな中、フリル満載のファンシーなピンクのドレスを着ている彼女は笑っていた。

「やったー! お兄さんが遊んでくれるのね! じゃあ、歓迎しなきゃ、歓迎しなきゃ!」

 それと同時に僕の体は光の奔流となって、彼女の胸元に吸い込まれていく

「若葉ー! 絶対助けるから、それまでくたばるんじゃないわよ!!」

 僕が完全に吸い込まれる前に最後に聞こえたのは、そう叫ぶライラの声だった。


「ん、ここはどこだ? 確か僕は吸い込まれて……」

 目を覚ました僕は、あたりを見まわす。

 ここが彼女の幻影世界(ファンタズマゴリア)であるようだ。

 床には赤いカーペットが敷かれており、天井から豪華絢爛(ごうかけんらん)なシャンデリアが釣り下がっている。

 壁にはいくつもの肖像画がかかっており、高級な洋館かどこぞの城を思わせる内装であった。

「あ、お兄さんようやく起きたのね! 私は魔導書『マザーグース』 呼びにくいと思うから、気軽にグースって呼んでね!」

 そう言って、彼女は快活に笑う。

「僕は熊野 若葉って言うんだ。よろしくね。早速で悪いけど、外で友達が待ってるんだ。帰り方を教えてくれないかな?」

 僕は自己紹介をして、彼女に帰りたいという旨を伝えた。

「若葉ね。若葉は帰りたいのね? 勿論帰すつもりよ。でもその前に私と遊んでくれるんでしょ?」

 彼女は楽しそうに僕に話す。

「そうだね」

 実際僕は答えてしまったし、魔導書(グリモア)相手に約束を破って彼女を怒らせるのは少し怖かったので、僕は素直に肯定する。

「本当に遊んでくれるの!? いつもここに来るお友達はみーんな約束破って遊んでくれないのに…… 若葉はいい人なのね!」

 まぁ、質問に答えたら突然こんなとこに連れてこられて「遊ぼう」と誘われても、大抵の人は拒否すると思う。

 僕も魔導書(グリモア)の怖さを知らなければ、多分断っていたと思うけど。

「グースは何をして遊びたいんだい?」

 ライラが外で待っている以上、暢気にしているわけにもいかないので、僕は彼女に尋ねた。

「私、かくれんぼがしてみたいの! この洋館ぜーんぶ使ってさ。制限時間はなしで若葉が鬼ね!」

「あぁ、良いとも。何秒ぐらい待てばいい?」

 魔導書(グリモア)の遊びというから身構えていたけれど案外普通の遊びで安心した。

「能力で転移できるから、一瞬目をつぶるだけでいいよ!」

「分かった」

 そう言って、僕は目をつぶる。

「若葉は死なずに見つけてくれるかな? この私を」

 彼女の哀しそうなつぶやきが聞こえる。

 僕は驚いて目を開いたが、そこには誰もいなかった。

 多分グースはもう転移したのだろう。

「しかし、最後の彼女のつぶやきはなんだったんだろう?」

 この僕の疑念は数分後に晴れることになる。

 あまりうれしくない方法で……


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