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魔導書ライラと集めましょう?  作者: 十六夜の懐中時計
第一章『法の書』を集めましょう?
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魔導書との対峙

 遊園地に行った次の日の朝、僕が目を覚ますと机に名刺サイズのカードが突き刺さっていた。

 まるでどこぞの全身タイツの美少女怪盗三姉妹の予告状の様であった。

 良く見るとそれはエルさんたちからの招待状であった。

『本日正午に██公園で例の件についてお話ししましょう。おひとりでお越しくださいませ。色の良い返事を期待しております』

 時計は9時を指している。あと三時間しかない。

 急いで横で眠っているライラを起こす。

「んー、もう少しー」

「駄目だよ! エルさん達からのお呼び出しだ。お昼には██公園に行かなきゃならない」

「ちぇー あの年増ビッチったら、余計なことしかしないんだから!」

 しぶしぶライラが起きる。

 僕も準備をしなきゃならない。あと三時間もすれば激戦が待っているのだから。

「でも、お昼ご飯はどうするの? 食べて行ったら気持ち悪くなりそうだけど、食べないとおなかがすきそうようね」

 そんなことよりもっと他に心配すべきことがあると思うのだが……

「じゃあ、お昼ご飯は少なめにしていこうか」

 律儀に答えてしまう僕も十分にのんきなのかもしれない……


 刻一刻と待ち合わせの時刻が近づいてきている。

 僕は、少しでも生存率を上げるために家じゅうで武器になりそうなものを片っ端から探した。

 だが、そんな都合のいいものがあるはずもなく、そもそも魔導書(グリモア)に物理攻撃が効かないので、そんなものを探すことはあきらめた。

 結局僕はなけなしの秘密兵器のみを持っていくことにした。カレンさんにもらった大剣である。

 これに関しては、カレンさんに感謝するしかない。まさか本当に役に立つ時が来るとは僕も思わなかった。

 家を出るときに、腰に大剣を携える僕を見てライラがすごい嫌そうな顔をしていたが……


 招待状の文言を無視してライラと██公園に来てみると、既にエルさんと充さんが待ち構えていた。

「おかしいですね? 私はここに若葉様のみをご招待したのであって、『蒐集』を呼んだ覚えはないのですけど」

 彼女は少々声を荒らげながらそう言った。

「人の契約者に手を出そうとする淫乱白メス豚がここにいるって聞いたから、その醜態をこの目に焼き付けてやろうと思ってここに来たのよ!」

 今日もエンジン全開のライラである。人を罵倒することとなると途端に語彙が増えるのはなぜなのか?

「何ですって? 私は太っているのではなくグラマーなのです! 自分の体が貧相だからってひがむのはやめてくださいな!」

「誰の体が貧相だって? 私は無駄のない完成された美そのものなのよ! あんたのは無駄に蓄積した醜い脂肪なの! アーユーアンダースタンド?」

 これは放っておいたらひたすらに罵倒しあうだろう。

 キャットファイトは萌えるとか主張する人種を僕は知っているが現実はここまで醜いものなのだ。

 話が進みそうにないので、僕は二人をなだめる。

「まぁまぁ、落ち着いてよ。エルさんも僕と話があるんですから、ライラにかまってないで本題に入りましょう」

「そうですね、まぁ、そこのちんちくりんがここに居る時点で若葉様がどのような決断をしたのか薄々感づいてはいましたが、一応聞かせていただきます」

 なんでこう、二人とも毒を吐かないと相手を形容できないのか……

 エルさんにそう問われた僕は大きく息を吸って答えた。

「今回の契約破棄の件はお断りします」

「後学のためにお聞きしたいのですが、なぜ断ったのですか? 契約を継続すれば、命の危機に何度も出会うのですよ?」

「それはライラも一緒だって僕は知ってるんです。本当は心優しい彼女をそんな場所に一人置いていくなんて僕にはできないんです!」

 僕の本心、思っていることをそのままエルさんに話した。

「ねぇねぇ、今どんな気持ち? 自ら出しゃばって人様の契約にちょっかいかけて降られるってどんな気持ち?」

 ライラはニヤニヤとエルさんの顔を指さして笑っている。

 彼女が本当は心優しいとか言ってしまった僕はなんだか急に恥ずかしくなってきた。

 今まで話に無関心だった充さんも、僕を信じられないものを見る目で見ている……

「そうですか。若葉様のご理解が得られなくて残念です。仕方がありません。充、始めましょう!」

 青筋を顔に浮かべながら、そう充さんに彼女は告げた。

「あぁ、もちろんだとも。散々、俺たちの契約を邪魔してくれたんだ。ここでさっさと朽ち果てろボケカスども!」

 これ以上の話は無駄であろう。

 あわよくば話し合いだけで終わらないだろうかと思っていたが、やはり僕は大四喜と字一色と四暗刻のトリプル役満を上がる必要があるらしい。

「ライラ、準備はいい?」

 そういいながら、僕は腰の大剣を引き抜き、素人なりに構える。

「もっちろんよ!」

 こうして、僕にとって初めての対魔導書(グリモア)戦が幕を開けた。


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