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魔導書ライラと集めましょう?  作者: 十六夜の懐中時計
第一章『法の書』を集めましょう?
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魔導書との戯言

 カーテンの隙間から差し込む光が僕を起こす。

 ライラと出会ってから3日目の朝だ。

 妹も含め三人で朝食をとり、支度をしてライラと共に玄関をくぐる。

 剣に関しては持ち歩くか迷ったがやめておいた。

 エルさんたちに襲われるリスクもあるが、持ち歩いていたら僕の学園生活は確実に終わるだろうし……

 昨日と同じように通学路で認識阻害装置の動作確認を行う。

『ねぇ、若葉? 授業中暇だから学校の中探索してちゃダメ?』

 校門を抜けたとき、ライラはそう念話で問いかけてきた。

『オーケーを出すわけないだろう。君は今までの自分の行動を振り返ってみるといいよ』

『ん? 特に問題ないじゃない?』

 問題しかないと思うのだが。

 昨日カレンに剣を投げつけられたことをもう忘れたのだろうか?

『良いでしょ? お願いー!』

 彼女が上目遣いで僕の服をあざとく引っ張っている。

 何も知らない人だったら、喜んで了承してしまうだろう。

 僕も一瞬ときめいてしまった……

 不覚である。

『駄目なものは駄目だよ。僕が話し相手になってあげるからそれで我慢して』

『ちぇー 若葉なら童貞だしコロッと許してくれると思ったのになー チョロそうだし』

 チョロい点に関して言えば、ライラ以上の存在を僕は知らない……

『もう玄関つくから、気を付けて歩くんだよ』

『はーい』

 つまらなそうにライラがそう答えた。


 やっぱり今日もライラのおかげで、授業は全く理解できなかった……

 午後は僕の膝の上で眠っているだけなので、人畜無害で楽なのだが、午前中はずっと彼女の話し相手をさせられた。

 そのうち彼女はクラスメイトや教員に対してあだ名をつけることを始めた。

 彼女の中には遠慮や忖度などといった言葉が存在しないため、笑いを堪えることで精一杯だった。

 もういっそのこと授業時間毎に彼女へ麻酔を吸引させ続けたほうが賢明かもしれない。

 魔導書に麻酔が効くのかは不明だが……

 終業のベルが響く中、僕はライラを連れて教室を出ていく。

『若葉は今日の放課後、どんな面白いものに絡まれるのかしらね?』

 昇降口でライラがそんな不吉なことをのたまった。

『なんて不吉なこと言うんだ! そういうのを口にするとろくなことにならないんだから止めてほしいな』

『だって、一昨日は最高に尊いこの私で、 昨日は『法の書』と焚書官のお得なバリューセットなんだから、期待しないほうがおかしいわよ』

 人の不幸を期待しないでほしい

『これで今日『火の鳥』と出会ったら、若葉は不幸の数え役満で和了れるわよ!』

 そんな役満で和了りたくない……

 というか体感的には不幸の翻数なんてライラと出会った時点で26翻以上ついている気がする。

『そういうフラグを立てないでほしいな。もしこれで『火の鳥』とやらに出会ってしまったらどうするんだい』

『流石にあり得ないわよ! 例えるなら、天和と純正九蓮宝燈を複合で和了るくらいあり得ないわ!』

 そこまでいくとむしろ見てみたくなる程の超極低確率である(天和の確率が33万分の1で、九蓮宝燈の確率が22万分の1。複合時の確率なので両者を掛け算した726億分の1)

『それはさすがに言いすぎじゃない? エルさんの情報が正しければ、いつ会ってもおかしくないんじゃないかな』

『そんなことないわよ。もうどっか別のとこに行った可能性だってあるもの。なんたって世界は広いんだから!』

 おおよそ若者らしくない麻雀の話が続いたと思ったら、今度はロマンティックな話になってきた。

 まぁ、現実逃避と言ってしまえばそれまでなのだが。

『大体、そんなに知能を持っているわけじゃないんだから、意味も無くこの辺にとどまるなんてことはしないでしょ』

 僕は『火の鳥』について詳しくないけれど、渡り鳥と同じ感覚で考えて良い存在ではないと思う。

『とにかく、うじうじしても仕方ないからさっさと家に帰りましょ?』

『まぁ確かに、その通りだね』

 こういう思い切りのいいところは彼女の長所だと思う。

 僕も見習いたいものだ

『それに早く帰らないと、杏仁豆腐が楽しめないしね』

 彼女は僕を落胆させるプロである。


 そんなふうに話をしていると、辺り一面が緋色に染まっていたことに僕は気づいた。

 もう夕暮れ時だろうかとスマホのスリープを解除する。

 時刻は16時20分であった。

 早春とはいえ、流石にまだこんなに黄昏(たそがれ)る時間ではないはずだ。

 何かがおかしい……

「ライラ、辺りが変だけど、この現象に何か心当たりはあるかい?」

 そう言うと、ライラが笑い出して言った。

「この後一緒に雀荘行きましょ? 天和と九蓮宝燈の複合も夢じゃないわ!」

 まさか……

 あたりはますます濃い紅に染められていく。

 空の色はまるで空気に長く触れて酸化しきった血のような色をしていた。

 変化の中心には、煌煌と燃え盛る紅い鳥が悠々と飛んでいるのであった。


タイトルが解りにくいという指摘を頂きまして熟考の末、改題に至りました。

何卒よろしくお願いします


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