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目覚めると吸血鬼少女に  作者: らーめんま
第二章 つかの間の休息・文化祭編
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第80話:文化祭開幕



あれから1週間。今日は待ちに待ったマサキに久々に会える日なのだ。

マサキから昨日の夜に遠征から帰ったとメールで連絡があった。

今日は文化祭の日でもあるが、俺の頭の中は【マサキ>文化祭】になっている。


「じゃあ、行ってきまーす!」


「ルナさん、いってらっしゃい。私も後から行きますね」


玄関先にはマサキが待っていてくれた。

「マサキー、会いたかったよー‼︎」

マサキに飛びつき、マサキの匂い、暖かさを感じる。1週間ぶりの生マサキだー‼︎


「おいおい、誰かに見られたらどうする」


「マサキさん、無駄ですよ。ルナさんはこの1週間、毎日マサキさんに飢えてたんですから」


「その表現、なんか怖いな」


「少しすれば、元に戻ると思いますけど」


「なんだか、オレのせいでルナがどんどんダメなやつになっていってる気がするんだが……」


「それは否定できないですね。ルナさんは今まで、マサキさんのことが好きだということを心の中で押し殺していました。そして、今はその想いの全てを吐き出せる。言わば、今のルナさんはこれまでのマサキさんに対する想いを全て一気に放出した塊なのです」


「なんか、すまないことしたな。リリムはこんなルナは嫌だろ?」


「たしかに今のデレデレのルナさんは私には見向きもしないので嫌ですが……でも、幸せならオッケーです!」

グーポーズをみせるリリム。


「そうか……」

マサキは俺の頭を優しくなでなでしてくれた。あぁ、“俺”幸せだ。

ん、“俺”………


「ごごご、ごめん‼︎」

うぅ、どうしよう。いくら待ちわびていたにしろ、いきなり飛びつき抱きつくなんてやり過ぎだ。恥ずかしい///


「どうやら、通常状態に戻ったみたいですよ」


「そうみたいだな。こうなってみるとさっきのルナも愛おしいような……」







玄関先で時間を食ってしまい、俺とマサキは早歩きで学校に向かっていた。


「さっきはごめん、さすがにやり過ぎだったよね」


「まぁな」(実はかなり嬉しかったりする)

「それにしても、今日は文化祭日和だな!」


マサキの言う通り、今日は雲ひとつない晴天だった。そして今日は文化祭。あわよくば、マサキとデートの疑似体験を‼︎




その頃、凛も……

「あわよくば、ルナ先輩とデートの疑似体験いや、デートを‼︎」





早歩きの甲斐もあり、学校へは余裕で着いた。

校門を抜けると校庭では出店のテントがしっかりと立てられていた。


生徒玄関の自分の下駄箱を開けると、何かが大量に流れ出てきた。


「何これ……手紙?」

そのうちの一つを手に取り、封筒から便箋を取り出そうとした。


その時


「ルナ先輩、ダメです!」

凛が俺の手から手紙を奪い取り、粉々に破き捨てた。


「おい、俺への手紙を勝手に破るな!」


「何言ってるんですか!これは全部ラブレターですよ‼︎」


「えっ、らぶれたー?」


「そうです。毎日、ルナ先輩が登校する前に私が処分しているのですが、今日は量が多く、私が処分した後もこんなにたくさんの馬鹿どもが私のルナ先輩にラブレターを‼︎」

凛は怒りのあまり、握りこぶしからは血が出ている。強く握りすぎだ。


「なるほどな。皆、ルナと文化祭をまわりたいから、駆け込みのように大量のラブレターが入れられてたのか」


「マサキ、心配しないで。俺はマサキと文化祭まわりたいから‼︎」


「お、おう。でも、まずは演劇の方が大事じゃないのか?」


「そこんところはご心配なく。家でかなり練習してきたから」

マサキがいない1週間、リリムを相手役の代わりにして家で必死にセリフを覚えていた。その甲斐あってセリフ覚えは完璧だ。



なおもつきまとう凛から逃げ、教室にたどり着く。


「ルナ、おはよ!」

「おはよう、ルナちゃん!」

明里と彩香はすでに来ていた。



「「「おはよう、夜月さん!」」」

続いて、渡辺さん、木下さん、坂口さんが俺の元に駆け寄ってきた。


「いよいよだね!」


「そうだね」


「後で、衣装着にきてね。演劇の時間までに学校を回って宣伝してもらうから」


「うん」

前から聞かされていたが、文化祭の間中ずっと、ドレスを着なくてはいけないらしい。俺がドレスを着て、会場を回れば、図らずとも宣伝効果になるということのようだ。

だが、あのドレスを演劇だけでなく、ずっと着るっていうのは小っ恥ずかしいな。



あの3人から呼ばれるまでは、通常の制服でまわれる。

高校の一大イベントである文化祭に校内は盛り上がっていた。


「ーー以上のことに注意して楽しんでくれ。以上、解散!」

先生の諸注意が終わり、いよいよ文化祭のスタートだ。



「マサキ、行こう!」


「そうだな!」


まずは校庭に出て、出店を一通り見ていく。

すると、彩香ヨーヨー釣りの出店があった。


「あっ、ルナちゃん。来てくれたんだね!」


「うん! どう、売れ行きは?」


「順調だよ」


ということで、彩香と約束していた通りに店を手伝うことになった。


「で、なぜ浴衣?」

彩香からむりやり浴衣を着せられたのだ。


「こういう夏祭りっぽい出店は浴衣でやってるんだよ」

たしかに彩香も他のメンバーも皆、浴衣だ。


俺が呼び込みを始めて間もなく……客が殺到していた。


「さすがルナちゃん! 頼んだ甲斐があったね‼︎」

彩香は大喜びだ。にしても、俺ってなんでこんなに人気があるのだろうか。そりゃ、鏡で見てみればたしかに可愛いよ。でも、こんなになるほどかなぁ。


ヨーヨーはすぐに売り切れてしまった。


「おかげで大好評だったよ!」


「実際、自分でも驚いたよ。こんなに俺って影響力あんだね」


「当たり前だよ。だってルナちゃんだよ!」


「うーん……よく分からんけどわかった。にしても、結局俺の分までは余らなかったな」

せっかくなら俺もヨーヨー釣りしたかった。

これだけ売りさばいた自分が悪いので自業自得だが、やはりやりたかった。


「そう言うと思ってました!」

そう言うと、彩香は小さな段ボール箱を持ってきて、水槽の中に幾つかのヨーヨーを流し入れた。


「これは?」


「ルナちゃんと約束したでしょ。手伝ってくれたら無料でヨーヨー釣りしていいよって」


たしかに言われた。


「じゃあ、お言葉に甘えて!」

ヨーヨー釣りなんていつぶりだろう。たぶん、小学生以来だ。

久しぶりの挑戦で、なかなかうまく引っかからない。それに、前髪がちょっと邪魔だなぁ」

そうして、前髪をかき分ける。すると、パシャとカメラの音がした。


「な、なに?」


見ると、俺の背後でカメラを手に今もなおパシャパシャやっている男子生徒がいる。


「おい、勝手に撮るな!そして、誰?」

いきなり撮られた怒りと、誰なのかという疑問。


「これは失礼しました。僕は高1の高村です。今は写真部の活動として写真を撮らせてもらいました」

それを聞いて、不審者ではないことにまず安堵。


「で、なんで俺を?」


「学校で夜月先輩は有名ですし、その浴衣姿に色っぽいうなじ、そして前髪をかき分けながら、ヨーヨーを釣ろうとする姿。これは撮るしかないじゃないですか!」


「う、そうか………」

高村の熱い思いに押されて、反論できなかった。


「見て、ルナちゃん!すごく綺麗だよ‼︎」

高村の撮った写真を見て彩香が俺に手招きをする。

そして、俺もその写真を見てみる。するとどうだろうか。とにかくめちゃくちゃ可愛い。俺が男のままで、こんな女の子がいたら一目惚れしてしまうだろう。


「後で、オレにも一枚くれないか?」


「ちょっと、マサキまで‼︎」

マサキまでその写真を後でくれという始末だ。





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