第79話:俺も
間が空いてしまい申し訳ございません。
今日は彩香と2人で遊園地に来ている。本当ならば明里も来る予定だったのだが、マサキと同様で遠征に行っているらしい。
それにしても、まさかマサキが俺のことを好きでいてくれたなんて///
結局昨日は、マサキの告白に動揺しちゃって、恥ずかしくてそのまま家を飛び出して逃げてしまっていた。
「ねぇ、聴いてる?ルナちゃん‼︎」
「ふぇ?」
「今の反応、絶対聴いてなかったでしょ!」
「ごめんごめん。ちょっと嬉しいことがあって」
「やっぱり。道理でさっきから幸せそうにニヤニヤしてわけだ」
「え?そんな顔してた?」
「うん。ところで、何があったの?」
「それは……言えないよ///」
「あ、また照れてる。さては、倉田くんから告白されたんじゃないかな?」
「ギクッ‼︎」
完全に見透かされた。俺の顔ってそんなに分かりやすいだろうか?
「この遊園地に来るのも久しぶりだね」
彩香の話題が変わった!チャーンス‼︎
「そうだね。前は大人数でドタバタしたけど」
たしか、この遊園地で初めて時空の歪みに遭遇したように思う。そう考えてみるとなかなか感慨深い。
「どこから行く?」
「うーん……やっぱりジェットコースターは?」
「いいよ!」
相変わらずジェットコースターは超人気で大行列になっている。これでは1時間は並ばなければいけなそうだ。
「かなり時間かかりそうだね」
たしかに1時間待つのはキツい。俺はもともと待つのが苦手な性分だ。苦手なだけで無理なわけでは無いのだが……。
「そういえばさ」
「ん、なに?」
「彩香って文化祭の演劇でなにするの?」
「私ね、演劇には出ないんだよ。そんなに役も多くないし」
「え、でも裏方とかも必要なんじゃ……」
「それも十分足りてるよ。私は討伐団の何人かで出店とかしようかなぁーって思ってるの」
話によると、討伐団は討伐団として参加するわけではなく、団員の中から数人ずつグループを作り、出店や出し物などをするという。もちろん、討伐団のメンバーでも、クラスの出し物・出店に参加する者もいるという。自由参加のようだ。
「そっか、じゃあ俺、彩香の出店に顔出すよ」
「ホント⁉︎ ついでに手伝ってもらうと助かるんだけど。手伝ってくれたら、うちの料金タダにするよ」
「まじ? どんな食物が出るか楽しみだなぁ〜」
焼きそば、たこ焼き、フランクフルト、わたあめ、唐揚げ、やきとり、…………いったいどんな出店なんだろうか‼︎
お祭りごとが昔から好きだったからとても楽しみだ!めくるめくフードパラダイス‼︎
「ヨーヨーすくいだよ」
「……………。」
まさかの食物じゃないという展開。正直、ガッカリだ。
□1時間後
そんなこんなしてる間に、すっかり1時間が経ってしまった。
彩香との話が盛り上がり、1時間があっという間に感じられた。
「いよいよ次だね、ルナちゃん」
「うん、久しぶりのジェットコースターだし、楽しみだよ」
マサキと2人で乗ったぶりだ。できれば、マサキともう一度2人で遊園地に行きたいなぁ。
順番がきて、乗り込み、安全バーを下げる。すると、下げた瞬間から彩香の顔は青ざめ、全身ブルブル震えだした。
「ちょちょちょい、ひょっとして彩香ってホントはジェットコースター苦手なんじゃ?」
彩香はなおも震えながら頷いた。
「じゃあ、なんで?」
「友達と一緒だったら、なんでも乗れる気がしたんだよね。実際、並んでる時は平気だったから。でも、いざ乗ると怖くて怖くて」
「でも、乗り掛かった船だし。怖がっても仕方ないから楽しもうよ!」
「う、うん……」
一生懸命励ましてはみたが、あまり効果の無い様子だ。
ジェットコースターは無情にも、うごきはじめた。
だんだんとスピードを増していくコースター。
「キャーー‼︎」
彩香は悲鳴をあげる。まだ、早いだろ!
やがて、ジェットコースターは上へ向かって登り始める。その間は速度はゆっくりになるが、地面との高低差で彩香は悲鳴をあげる。
「キャーー‼︎」
まだちょっと早いだろ!
そしてついにジェットコースターは頂上へ!ここから一気に真っ逆さまに落ちていく。
よし、今だ!
「キャーー‼︎」
両手を広げて大声で叫ぶ。爽快だ!だが、隣で悲鳴は聞こえてこない。
「………」
彩香は頂上へ登り切った瞬間に気を失っていたらしい。
本来はここで叫ばなければならないのに……。
叫ぶなら今でしょ!失礼、今のは撤回だ。
「……、あれ、ここは?」
彩香が目を覚ました。時刻は午後5時。遊園地ももう直ぐ閉園の時間だ。
彩香はかれこれ4時間ほど気を失っていた。その間、ベンチに横にならせた。頭にベンチは硬いので、膝枕をしてやった。何気に膝枕は初めてだ。
彩香へ事情を説明した。
「そうだっの?ごめんね、ルナちゃん。迷惑かけて」
「いやいや、別に迷惑なわけじゃ無いし。それに、彩香のリアクション面白かったし!」
そうだ、彩香は気絶をして一波乱あったが、かなり楽しい1日になった。
家へ着いた頃には空はすっかりまっ黒になっており、星々がちりばめられていて綺麗だ。
「さてと……」
スマホを手に取り、電話帳を開く。
「どうしよう……」
いざ電話をかけようとすると、なかなかかけられない。昨日の事で、恥ずかしくてまともに会話ができる気がしない。
でも、マサキとは話したい!
勇気を振り絞って、電話をかける。
しばらく呼び出し音が部屋の中に響き渡る。そして……
「もしもし、ルナか?」
その声を聞いて、緊張しながらもホッとする。
「うん、昨日の事で話したいんだけど」
「あぁ、あの事なら気にしなくていいぞ。お前が嫌ならそれできっぱり諦めるし」
「いや、そうじゃ無いんだよ。俺は……その、あの……俺もマサキの事が好きなんだ!」
言った。やっと言えた。今まで心の中をせき止めていた物がなくなり、スッキリした。
「俺、マサキが他の女子とニコニコしながら話してたりすると、それがなんだか嫌だったんだ。たぶん、嫉妬」
「実を言うとオレもだよ。ルナが中村先輩の事を嬉しそうに話すとこを見ると、中村先輩に惚れてるんじゃ無いかと嫉妬してしまってな」
「そうだったの⁉︎ふふ、マサキっぽくない」
「ルナだってぽくないぞ」
2人で笑い合った。お互い、思いを伝えられた事、そして想いが通じ合っていた事が嬉しくて。今まで隠してきた事が可笑しくて。
「早く帰ってきてね」
「そんな言っても、1週間いないのには変わりないからな」
「ひどい、1日目だけどもう寂しいよ!早く帰ってこないと、真司くんに心変わりするかもしれないからね!」
実際、真司くんに惚れかけたのも事実だ。マサキがもしいなかったとしたら、間違いなく真司くんの事を好きになっていただろう。
「それは困る‼︎」
「あのね、この前の告白の返事はまだ保留にさせてもらいたいの」
「たしかにな。ルナには大事な戦いがあるんだもんな」
「うん。だから今は付き合うとか言って浮かれている場合じゃないんだ。だから、待ってて、マサキ」
今は浮かれていられない。だが、サキュバス率いる大軍に勝てたのならば、俺はマサキの彼女になりたい!
「当たり前だろ。いつまでも待ってるよ」




