第57話:聖夜の奇跡
今回は前編です。
クリスマスということで、本編とは季節が違っていますが、本編と特別編を合わせた感じになってます。
真昼間(魔物たちの寝る時間帯は人間と昼夜逆転している)にルナは不意に目が覚めた。そして、まだまだ眠たい目からは、ハッキリと見ることは出来ないが、誰かがルナの枕元にいるのだ。
「ん?あれ、どうしたのリシュナ??」
初めはリシュナだと思っていた。だが、よく見るとリシュナは隣のベットでぐうぐう寝ていた。ということは、枕元に立っているのはリシュナではないということになる。
眠い目を一生懸命に擦り、だんだんと眠気がとれ、視界が開けていく。
そして、枕元に立った影がハッキリと見えるようになった。
「サッ、サンタさん⁉︎」
なんと、その正体はサンタクロースだったのだ。
ルナはサンタクロースは嘘の存在だと思っていた。というか、ほとんどの人がそうだろう。幼い頃にサンタクロースは本当にいるんだと大人に信じ込ませられるが、誰もが小学生の間に気づき、大人の嘘ということに気づき、逆に子供が大人の嘘に合わせて信じているふりをする。
これがほとんどの人が経験してきたものだと思う。
しかし今、ルナの目の前には紛れもなく本物のサンタクロースがプレゼントが入っているであろう大きな白い袋を持って立っているのだ。
「君へのプレゼントじゃ。」
「えっ!おれ……私への?」
サンタクロースはルナに袋から一つのプレゼントボックスを取り出し、渡した。
「この箱を開けると、君は1日だけ元の世界に戻れるのじゃ。大切に使いなさい。」
「どういうことですか?」
「使えばわかるじゃろう。」
「あっ、はい。プレゼントありがとうございます。」
「わしもそろそろ次に行かなければな。それではメリークリスマス!」
「…メリークリスマス。」
こうしてサンタクロースは去って行った。急なことで頭が混乱しているルナは受け取ったプレゼントを見つめていた。
「元の世界か…」
思えば、この異世界に来たのが随分と昔のように感じられる。今はこうしてリシュナといういい友達もできて、そこそこ楽しい生活を送れているが、元の世界が恋しいのも事実だ。
「開けてみるか。」
ルナはプレゼントボックスの紐に手を伸ばした。リボンをほどき、箱を開けてみる。
「まっまぶしい‼︎」
箱を開けたとたん、まぶしいくらいの激しい光がルナを包み込んだ。
その次の瞬間、ルナはこの世界から姿を消していた。
目を閉じていても差し込んできていた光もなくなり、ルナはまぶたを開いた。
「ここは…」
初めはぼんやりしていた視界だったが、徐々に焦点も合っていき、ルナの目には見慣れた懐かしき自分の部屋が映り込んだ。
と、次の瞬間!
「っっって、えっ⁉︎」
ルナは叫び声をあげた。それもそのはず、なんとルナは仰向けに寝ているマサキにまたがる形で転移していたのだ。
「なんかちょっと重たいな…って、ルナ⁉︎」
「マ、マサキ‼︎」
「なんでルナが、というかなんでおれの上に乗ってるんだ?」
「そ、そういうマサキこそなんでおれのベットに!」
「それは…ただ、お前のことが心配でちょくちょくリリムと話すためにお前の家によって、たまたま疲れてこのベットで寝てただけだよ。」
お互い、唐突なことで驚いていた。
/ガチャ/
「マサキさん、昼ごはんがまだのようだったので、炒飯作ってきましたけど食べます?」
ルナの部屋の扉を開ける音とともに、ルナにとって聞き覚えのある、懐かしい声が聞こえてきた。
「え、ルナさん⁉︎」
リリムは驚きのあまり、炒飯ののっていたおぼんを落としてしまい、炒飯がひっくり返った。
「リリム!久しぶり‼︎」
「ルナさん、なぜここに?というか、お二人とも何やってるんです??」
「あっ!いや、その〜これは別になんでもないんだよリリム。」
「そ、そうだぞ!さっき、ルナが突然ここに現れたんだ‼︎」
「そ、そうなんですか?」
その後、どうにかリリムの誤解が解け、リリムとマサキの2人になぜこうなったのかの経緯を教えた。
「なるほど、とするとルナはクリスマス1日の間だけ、こっちの世界に戻ってきたってわけか。」
「そうだったんですね。納得しました!」
「これでこっちの経緯は話し終えたけど、2人はなんでこの世界に?」
「俺たちは、町で買い物をした帰りで突然この世界に戻されたんだ。」
「そうなんです。理由が全然わからなくて。」
「そうだったんだ。でも、よかったよ!また会えることができて‼︎」
/グーーッ/
ルナのお腹がなった。ルナは恥ずかしそうに顔を真っ赤にした。
「ごめん、ちょっとお腹減ってて。」
「では、私は改めて3人分の炒飯作ってくるので待っていてください。」
「ありがとリリム。」
「ありがとなリリム。」
その後、リリムが作ってくれた炒飯を3人で食べた。
「あー美味しかった!リリムの料理食べたの久しぶりだなぁ。」
「そんなこと言われたら照れてしまいますよ//」
ルナはマサキとリリムと過ごすこの時間がとても楽しかった。異世界に行く前は当たり前だと思っていた日常が実は特別だったと気付いたのだ。幸いリシュナに出会えたことで楽しい日々を過ごせているが、もしリシュナと会えていなかったら孤独な日々が続いていたかもしれない。その点ではリシュナに感謝だ。
「ルナさん、せっかくですからマサキさんと一緒に外に出かけてはどうですか?」
「そうだな。クリスマスだし、ツリーやイルミネーションが綺麗なショッピングモールにでも行ってみるか?」
「え!マサキと2人で⁉︎」
「別にそんなに驚くことはないだろ。昔はよく2人で遊びに行ってたし。」
「それはそうだけど、今の俺は女なわけで、クリスマスに2人で一緒にいるなんてまるでデートしてるみたいかなぁと思って//」
明日に続きを投稿します。




