第55話:尾羽頼也
前回に引き続き、お祓い屋のお話です。今回、なんとお祓い屋の名前が明らかに⁉︎
「ったく、昨日は結局一体も魔物倒せなかったぜ。」
神社の掃除をしながら、お祓い屋は昨夜、突然現れた魔法少女の一件を思い出していた。
「あいつの正体は誰なんだろうか?」
どうやらあの魔法少女は協力者らしいようなのだが、まだまだ…というか、全く情報がなく、謎な存在だった。だが、過去には謎の巫女の正体もルナだということを突き止めてみせたお祓い屋にとっては、今回の魔法少女の謎も解決したくてたまらなかった。というのも、彼は魔物退治などの依頼をうけ、その依頼料で生計を立てているため、ルナや魔法少女は商売敵なのだ。そのため、それだけ探すのにも気合が入るのだ。
「なんにもわからねぇけど、背丈から考えると高校生くらいのような気がするな。」
一つだけ残された鍵は彼女の背丈。小柄だったが、あのくらいの身長ならば、高校に普通にいてもおかしくない。となると、まずは高校の生徒をチェック&討伐団に何か知っているか聞いてみるしかない。
「よし、それじゃ早速行ってみるか。」
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◇高校・校長室◇
校長室に集まったのは、校長と討伐団団長五十嵐拓海、ルナの班のリーダーである宮原桜だった。学生の2人は時間帯が昼休みだったので、この場に来れたらしい。
「それで、尾羽頼也くん、今回の要件は何かな?」
「校長、そのことなんですが、今回御三方に集まってもらったのは、魔法少女のことなんです。」
「「「?」」」
ここにきて、お祓い屋の名前が分かったのは置いとくとして、頼也の言葉に対して、3人ともがどうやら知らない様子だった。
「一体どういうことか説明してもらえぬか?」
「夜中のことなんですが、俺が魔物と戦っていると、突然魔法少女が現れて魔物を退治したんですよ。」
「なるほどな。それで討伐団が情報を持っていると思い、来たのか。」
「はい、それもありますし、魔法少女の背丈が高校生くらいのような気がして。」
「すまぬが、魔法少女については初耳じゃ。じゃが、うちに在学しておる生徒ならどれだけ調べても構わんぞ。」
「ありがとうございます。ですが、調べたりはしないんで。」
「そうじゃったか?君ならとことん調べていきそうな気がするが…」
「大丈夫です。もっといい作戦がありますから。」
「作戦じゃと?」
「ええ、魔物がいるところに必ず魔法少女は現れるはずですから。」
高校では、情報を得ることができなかった。完全なる無駄足だ。だが逆に言えば、本当に昨夜が魔法少女の初陣と分かった。そのため、頼也の他に誰も魔法少女のことを知らなかったのだろう。
となれば、今夜も魔物のとこへ行き、そこで魔法少女の正体をつかむしかあるまい。
「そうと決まれば、魔物が出た時に向けて準備だ。」
頼也は神社に帰ると、武器などの準備を始めた。
と、その時!
頼也の水晶が光っている。これは魔物が出現した時に発せられる信号のようなものだ。
「チッ、明るい時間帯から早速出てきやがって……ん、でも待てよ?」
初めは準備もしていないうちから出現した魔物に舌打ちをしていた頼也だったがあることに気づいた。
「この時間帯に現れるということは、あの魔法少女も授業から抜け出さなければならないはずだ。」
時間を確認すると、まだ午後1時半だ。昼の授業があっている頃である。もしも魔法少女が高校生であれば、魔物の出現地点に魔法少女が現れた時点で、あの高校内で授業中に席を外した者が正体となる。頼也にとっては願っても無いチャンスだ。
「まずは現場に行かねーと。」
とにかく、まずは魔物のとこで魔法少女が本当に出現するかどうかを確かめなければならない。そして、もしも出ないのならば頼也が倒さねばならないのだ。
道具をリュックに詰めると、頼也は水晶をもとに魔物の出現地点に向かった。
場所に着いてみると、そこは廃工場だった。
「民間人に被害が及ぶことはなさそうだな。んで、肝心の魔法少女はどこだ?」
辺りを見回しても、いるのはこの前と同様のでかい犬の魔物だけで、魔法少女の姿は見つけられない。
「さすがに授業中には無理なのか?」
頼也が半ば諦めている時、彼女は突然現れたのだ。
空から降り立ったのだろうか、頼也と魔犬の間に魔法少女が舞い降りてきた。
「溢れる可愛さラブラブラブリー♡魔法少女ピュアハート登場!悪の手からみんなを守ります‼︎」
「よし!こいつが出てきたってことは、今高校の教室内を探せば、正体が突き止められるはずだ。」
「あら、ファン第一号くん!今日も来てくれたんだね♪って、ちょっとー、聴いてるー?」
頼也があっという間に走り去ったことに、ピュアハートは少々動揺した。
「行っちゃった……でも、きっと私と目を合わせるのが恥ずかしすぎて逃げ出しちゃったんだよ!」
プラス思考な彼女は、今さっき走って行った少年が、彼女の正体を突き止めるために行ったのは知る由もなかった。
「さてと、この前と一緒の子犬ちゃん。私があなたを浄化してあげる!」
魔犬の噛みつき攻撃を何度もヒラリとかわしていった。
「子犬ちゃんったら、ぜんぜん手応えないんだから。もう、さっさと終わらせちゃうよ♡」
そう言うと、ピュアハートは空に舞い上がり、ステッキを魔物の方に向けた。
「聖なる光の精霊たちよ、汝を浄化したまえ。シャイニングシャワー!」
ステッキから光の粒が名の通り、光のシャワーのように魔犬に降りかかっていく。
魔犬は間も無くして浄化した。
「やったー!二回目の魔物も倒せちゃった‼︎さてと、早く授業に戻らなくっちゃ。」
次回も尾羽頼也とピュアハートの話になります。
ルナがいない間のこっちの世界組の話を書いてみたくて書きました。




