第53話:夢の中の幼女ルナ
今回は、リシュナの夢の中の話です。
「りしゅなー、はやくおきて。」
頭の中に響いてくる天使のような声。この声で起きられないはずはない。
「おはよう!今日は早起きだねルナ…っえ⁉︎」
リシュナは驚いた。なんと、ルナが幼くなっているのだ。
いつものルナが幼くなったような愛らしい顔に、髪はセミロング、そして服装はいつものメイド服、だがサイズが大きいためダボダボになっている。天使のような可愛さだ。
「ル…ルナ、いったいどうしたの。体が小さくなっちゃってるけど?」
「…?」
リシュナの問いにルナは首を傾げているだけだった。
ルナが幼女になった理由は全く分からないが、もともと、眠く甘え状態のルナの可愛さに射抜かれてしまったリシュナにしてみれば、幼女ルナは常にその状態であり、背丈も小さくなったため本当の妹のようで素晴らしい存在だった。
「ま、理由はいいや。それより、私を起こしてたってことは何か用があるの?」
今日は休日だ。そのためリシュナも少し遅くまで寝ていた。
「あのね、りしゅなにはいつもおせわになってるでしょ。」
「そんなの気にしなくてもいいのに。」
「だからね、あのね、きっちんでるながじぶんであさごはんつくったの!」
そう言うと、ルナはリシュナの手を引っ張り、テーブルへと向かわせる。
どうやらルナは、日頃お世話になっているリシュナに手料理でお礼をしようとしているようだ。
「みてみて、じゃーん!」
ルナが料理がのっている皿を手に乗せ、リシュナに見せる。誇らしげにニッコリしている。
「か、可愛すぎる!いや、天使すぎる‼︎」
「ねっ、はやくたべて!」
ルナはリシュナが料理を食べてくれるのを今か今かと待ち望んでいる。
「その前に、料理の名前とか聞いていいかな?」
リシュナには見たことのないような料理が並んでいる。
「うん、いいよ!えっとねー、これがごはんで、これがおみしょしる、そしてこれがさかなのひもの‼︎」
「あっ、そう……」
リシュナには全てが見慣れない料理だった。
「じゃ、頂きます。」
リシュナはルナの料理はあまり美味しくないことを知っていたので、あまり期待せずに食べた。しかし、この幼女ルナの料理はいつもとは違う!美味しいのだ‼︎
「あじ、どう?」
ルナはリシュナの横であじの感想を待っている。
「すごく美味しいよ!ルナ。」
リシュナはルナの頭を撫でてやる。
すると、ルナは嬉しそうに「やったー!」とバンザイした。
リシュナがルナの手料理を食べ終わる頃、ルナはテーブルに頬杖をつきながら、ウトウトし始めていた。きっと、ごはんを作るために早起きをしたので、疲れたのだろう。
「ルナ、ベットで寝よっか。」
「う……ん………」
リシュナはルナを抱っこしてベットに連れて行き、横にならせた。
「おやすみ、ルナ。」
そう言って寝室を出ようとしたリシュナの手をルナが握りしめる。
「どうしたの、ルナ?」
「りしゅなといっしょじゃなきゃ、いやだ…」
寝室に1人になるのが少し寂しかったのだろうか。ルナは寂しそうな目で見つめる。
そんな目で見られては、この寝室から出ることはとてもじゃないけど出来ない。
「でも、私にも色々やることがあるから。」
「だめなの?」
うるうるした目でこちらを見てくる。これまた天使のような可愛さ!
「んー、でもきょうは休みだし、二度寝しても構わないわよね。うん、分かった。ルナ、一緒に寝ましょう。」
結局、リシュナは根負けしルナと一緒に寝ることになった。この場合、根負けというよりは、自分の欲に負けてしまったのかもしれないが…
□■□
目が覚めたのは、それから3時間経った頃だろうか。
ルナはもう起きているらしかったが、リシュナに小さな手でぎゅっと抱きついている。
「ルナ、もう起きてたの。」
リシュナがそう言うと、ルナは「おはよう、りしゅなー。」と言ってニッコリと笑った。
「ルナ、そろそろ部屋の掃除をしないと。」
「うん、るなもがんばる!」
リシュナが掃除道具を取りに行くと、ルナは後をトコトコと付いてくる。これも、微笑ましくて可愛い!
「それじゃ、掃除を始めるよ!」
「らじゃー、りしゅなたいちょう!」
どうやらルナは、掃除でごっこ遊びをしているつもりらしい。
リシュナ隊長と言われるのは少々気になったが、可愛いのでそのままにしておく。というか、のってやる。
「ルナ一等兵、部屋の隅の角にたくさんの埃が!直ちに退治してください‼︎」
「らじゃー!」
そう言ってルナは埃を掃除しに行く。
だが、そんな微笑ましい光景は突然に終わった。
「キャー!ゴキブリー‼︎」
なんと、床にゴキブリが現れたのだ!ゴキブリが嫌いなリシュナは驚きのあまり、床に倒れてしまった。その時の頭の打ち所が悪かったのだろう、リシュナの意識は朦朧としてくる。
ぼんやりとしていく意識の中で、自分に向かって大慌てで、駆け寄ってくる女の子が見えた。
「りしゅなー、どうしたの?ねぇ、ねぇ、へんじしてよ!」
しかし、リシュナは動かない。
「そんなぁ、うそでしょ?りしゅなー、しなないで‼︎」
大粒の涙を流しながら、必死でリシュナを呼ぶ声が耳元でかすかに聞こえた。
「りしゅなーおきて!おきて!おき………て……………て……」
だんだんと声が聞こえなくなり、リシュナの意識は深い闇の中に沈んでいった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「リシュナ、起きろ。風呂なんかで寝たら湯あたりするよ!」
どうやらリシュナは2人でお風呂に入った後、湯船に浸かり、そのまま寝てしまったらしい。リシュナは揺さぶってもなかなか起きないが、寝言で「ルナ可愛い」だの、幸せそうに笑ったりだのしている。どうやら夢を見ているようだ。
「疲れてんのかな?なんか変な夢も見てそうだし。」
起こしても起こしてもなかなか起きないリシュナを起こすというのもさすがに気が引けてきた。日頃からリシュナにはお世話になってるし、少しくらいは休ませないといけないのかなと思い、ルナはリシュナをおぶって部屋まで戻ることにした。
次回も一週間後の日曜日に更新します。




