第52話:テスト終了
少し短めです。
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翌朝
「では、まずは洗濯からです。」
そう言われ、連れてこられたのは城の庭園。魔物の城だけあって、庭の芝生も毒々しい色をしている。
「2人にはその桶と洗濯板で洗ってもらいます。」
「ずいぶんと古風な洗濯の仕方をするんだな。」
現代っ子のルナには、あまり見慣れない道具だ。唯一見たことがあるとすれば、『桃太郎』の絵本でおばあさんが川で洗濯をしていたシーンぐらいだ。
「「え?古風??」」
しかしながらこの世界では洗濯機などもなく、桶で洗濯をするのが一般的とされているため、リシュナとエリーには、なぜルナが古風と言ったのか2人には分からない。
「だって、魔法もあることだし、それを使えば楽にできるんじゃ……」
「ルナちゃん、それは無理なのよ。」
「え、どうして?」
「たしかに魔法を使えば、とても楽だわ。でもね、誰もそんなことはしないの。自分の手で時間がかかっても心を込めて仕事をやりこなす。それが大事なのよ。簡単な話でいうと、魔法で料理を作ったのと手作りで作った料理では、どちらが美味しいと思う?」
「それは……手作りの方ですかね?」
「えぇ、その通りよ。魔法で作った料理はたしかに美味しい。でも、手作りの料理はもっと美味しいわよ。」
ルナはなんとなくわかる気がした。
ーーーあれは高校一年の頃、温泉旅行券が2人分当たったことがあった。両親は俺が四日間も1人になってしまうのが心配のようで、旅行を断念しようとしていたが、俺は「もう高校生なんだから1人でも大丈夫だよ。」と言って後押ししたことをきっかけに、旅行に行くことを決めたのだ。
その四日間は羽目を外せて家で自由にゴロゴロできたし、食べ物もカップ麺やコンビニ弁当などで済ませていた。
だが、3食とも、しかも四日間も店で買ってくる食物を食べていたため、最後の4日目は正直味に飽きていた。
その翌日に親は帰ってきて、久しぶりの母親の料理が食卓に並んだ。
母親の料理を口に運び、味わった。その時、感じたのだ。『あたたかい』と。
よく考えれば、母親の料理は毎日食べても飽きないし、美味しかった。これが、エリーの言いたい手料理の良さなのだろうか…ーーーーーー
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その後、洗濯や風呂掃除などのテストをやり終えた。
ルナ自身では洗濯と風呂掃除はまぁまあいい感じにできたため、自信はあった。
「それじゃ、2日目の2人のテスト結果を発表するわね。」
辺りには緊張感が漂いだしており、横目でリシュナをチラリと見ると、リシュナも緊張の顔つきで結果を待っていた。
「えーとね、2人とも合格でーす♪」
エリーの軽い感じの発表にツッコミを入れたかったが、合格は合格。それがとても嬉しかった。リシュナもルナ同様に喜んでいる。
そんな喜びも束の間、2人は早速担当場所をあてられる事となった。
「では、まずはリシュナちゃん。リシュナちゃんは魔臣のお一人であるサキュバス様の身の回りの世話を担当する班に行ってもらいます。続いてルナちゃんは第7魔物部隊の身の回りの世話を担当する班に行ってもいます。それでは明日からは2人とも別々だけど、それぞれの場所で頑張ってね!」
こうしてテストは終わり、今日のところは業務終了ということになった。
2人は夕ご飯を食べるため、食堂に訪れた。
お互い好きなメニューを注文し、受け取ってから空いたテーブルに座る。
さすがは城内の食堂。めちゃくちゃ美味すぎる。
「はぁー、それにしても今日も疲れたね。」
「うん。でもリシュナはすごいよな、いきなり偉い人の担当につけるなんて。」
「ルナだって十分凄いじゃない。合格できたし、第七魔物部隊の担当になったんだから。」
「リシュナのサキュバス様には負けるよ。やっぱり、料理が大きな失敗だったかな…」
「まだひきづってたの?そんなの気にしなくていいわよ。私が今度、料理教えてあげるから!」
「ホントに⁉︎それは助かるよ‼︎」
「ルナ、それよりも早く食べて行きましょう。ちょうど食堂も混んできて、待ってる人も多いから。」
「うん、わかった。」
ルナは残りのご飯をかきこみ、2人は部屋へ戻った。
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部屋
「私、これからお風呂はいってくるけどルナもどう?」
「えっ//」
リシュナの言葉に思わず驚きの声をあげてしまった。それもそのはず、ルナは元は男であり、心はまだ男のままである。(最近、少しづつだが、内面も女になっている自分がいる気がするが…)
そんなルナが超美少女のリシュナにお風呂に行こうと誘われれば、驚くのも当然だ。昨日はお風呂の誘いより、料理のショックの方が勝り、驚かずにフツーに断ってしまっていた。
「どうしてそんなに恥ずかしそうに顔赤くしてるのよ?」
どうやら、ルナは顔を赤面させていたらしい。
リシュナからしてみると、友達同士で、女の子同士、一度着替えの時に裸を見られているのに、なぜ今更恥ずかしがるのかという疑問が浮かぶのもたしかに当然だ。
「べっっべつに恥ずかしがってるわけじゃないから//」
「じゃ、入りましょ!」
「う………ん…………//」
リシュナに怪しまれないため、ルナは仕方なく了承した。
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大浴場
この城には浴場がいくつもある。使用人など下の階級のものがはいる浴場、中層階級のはいる浴場、そして、魔臣それぞれには個人の浴場があり、この国のボスであるサタンにも大きな個人浴場がある。
ルナたちは当然使用人のはいる浴場だ。といっても男と女は分けられているのでそこは安心だ。
「ルナ〜、いつまでそこに隠れてるのよ?」
やはり恥ずかしいルナは更衣室の棚の陰に隠れていたが、あっけなく見つかってしまった。
「なかなかいい身体してるんだから!恥ずかしがらなくていいのに。」
「べつに恥ずかしくて嫌がったわけじゃないし……// そ、それに……」
「いいからもう早く、入りましょ!」
リシュナはルナの手を引き、連れて行く。
浴場はとても広く、1番下のクラスの浴場とは言いながらも、綺麗にしてあるし、文句のない風呂だ。
この時間はまだ早いようで、人はまだまばらにしかいない。
「それじゃぁ、まずは身体でも洗いましょうか。」
「そりゃ、たしかに湯船に浸かる前に身体の汚れを落とすのはマナーだからね。」
風呂大国日本出身であるルナはいっちょまえに風呂について語っているが、リシュナはその話はほとんど聞いていなかった。
「せっかくだから、洗い合いっこでもする?」
「そっそっそれって、背中だけだよね??」
「全身でも全然いいけど。」
「ーーーー//」
「なんて破廉恥な」とルナはそう思った。
(本当ならば、元男だった俺にはとてつもないチャンスなのかもしれない。しかし、昔から俺はチキンだった。」
「どしたの?」
「背中だけでお願いします//」
(そしてやはり、今も俺はチキンのようだ。)
次回も来週の日曜日投稿です。




